モ・ジンソプからピアスを奪って受け取って、ミエは上機嫌で教室へと向かう。
まるでミッションクリアしたかのような達成感だ。
服装検査は安定の無事通過。
ふ〜知り合いってバレるとこだった!
あっ・・私がカツアゲされてると思ったのか?
先ほどチョルが話し掛けて来た理由に、ようやく思い至ったミエ。
けれど学校では話せないのだ。
学校でのキム・チョルは、透明人間なのだから・・・。
<モヤモヤ・・>
授業が始まるまでの時間、教室は談笑の声で賑わっていた。
しかしこの二人は真っ直ぐ前を向いたまま、互いに黙っている。
チラッ
ふと、キム・チョルの横顔へ視線を流すミエ。
チョルはいつものように難しい顔をしている。
先ほどの出来事を改めて思い返してみた。
聞いてたら二人は知り合いっぽかったな
「なんだよキムチョル〜」
モ・ジンソプの話し方からして、全くの初対面という感じではなかった。
二人の接点が何なのかは謎だが、ミエは思いの外納得していたのだった。
[気分良く納得したファン・ミエに対して]
この人は未だ納得いかないらしく、むっつりとした顔をしていた。
機嫌良く鼻歌を歌うミエとは対照的に。
すると、予想外のことが起こった。
「おい」 「!!」
「えっ??話しかけんの?」
「お前、さっきの奴とどうやって知り合った?」
「え?誰?モ・ジンソプ?」
突然そう聞かれて、ミエは要領を得ないままぼんやりと答える。
「あ・・別に?」
チョルの頭の中では、
今まで見聞きして来たモジンソプについての出来事が浮かび上がっていた。
「モ・ジンソプに振られたって」「また?」
泣く女子も、チヤホヤする男子も、彼に関する噂と共に山ほど見て来た。
そんなトラブルメーカーが、ファン・ミエと一体どんな繋がりがあるというのか・・。
チラ、とミエの方を見てみるチョル。
ミエは、というと・・・。
親しい仲じゃありませ〜ん
何ともすっとぼけた表情で、チョルとの仲を皆に知られないようにしていた。
チョルはもう一度話し掛けた。
「おい」 またっ?!
「ピアス渡せ。俺が返しとく」
「えっ?」
思わずミエが聞き返すも、
チョルは無表情のまま前を向いている。
あ・・
「ダメ!」
ミエはチョルからの申し出をソッコーで断った。
それにはこんな訳がある。
[ファン・ミエはそれなりに正しい理由で即答していた]
そしてさらにこう続くかもしれない。
「二人は知り合いなの?」
・・という流れを計算しての即答だったのである。
しかしチョルは「ダメ」と強く言われたことにムッとしていた。
ダ メ?