青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第二話⑤

2021-01-20 | 第一話〜第三話

三月一日、韓国は三一節(サミルジョル)の祝日。

[このようにマジで忙しいミエだったが]

色々と多忙なミエも、始業前の最後の1日ということで一人街を歩いていた。

口笛を吹きながら、上機嫌のミエ。

ジリン

 

すると、近くで自転車の音が聞こえた。

振り返ったミエの目に、彼の姿が映る。

[一方、実際にあの子と顔を合わせることはほとんどなかった]

彼はミエには気付かぬまま遠くなる。

リアルな世界の端と端で、彼と彼女の接点はなかなか繋がらない。

 

<これからなくなるもの>

 

「ただいま〜!」「ご飯は?」「食べて来た!ムンク〜!」

帰るなりミエは、飼い犬・ムンクに手を伸ばす。

「チューは!」

ムンク(3)オス♂シーズーミックス

ムンクにおかえりのチューを要求したミエだったが、ムンクはスルーして行ってしまった・・。

そんな折、電話が鳴った。

「ミエ、電話出て!」「うん!」「走らないの!」

「もしも・・」ツーツーツー

「え?!」

ピッ

電話は出るなり切れてしまった。

その旨を母親に伝えると、母は顔を顰める。

「ったく絶対壊れてるわ!「私のせいじゃないよ〜」

電話機は相変わらず調子が悪いようだ。

 

 

 

その夜、ミエはラジオを聴きながら勉強していた。

”おばあちゃん、鍾路五番街ですよ。鍾路五番街の薬局ですよ!
薬剤師が十九名、三十年の歴史です!”
”君の方がよく知ってるよね!”
”おばあちゃんが毎日00薬局〜00薬局〜と教えてくれましたよ!”
”ははは ふふふ”

昔からあるレトロなラジオCM。
 
それを聞きながらミエは、道徳の教科書を読む。
 
「うちにあるものは全部古かった」

薬局のCMは終わり、

続いてラジオのパーソナリティが話題の”ファイアボーイズ”を紹介する。

”大変お待たせ致しました!
ファイアボーイズ、あなたたちに尽くしてまいります!”
 
”こんばんは〜燃える〜ファイアボーイズでーす!
はい〜!今回の新曲も色々とありました〜”

ファイアボーイズ に若干冷め気味のミエは、聞きながら大きな欠伸をした。

教科書の内容も、ミエの日常からは遠く、つまらなかった。

このまま横になったら、寝てしまいそうだ・・。

 

 

ミエは起き上がると、久しぶりに空を見ようと双眼鏡を持って窓を開けた。

「ふんふんふ〜ん♪」

 

お向かいの家からは、掃除機のような音や家具などを動かしているであろう音が、

しきりに聞こえて来ていた。

大掃除かな?

ミエは双眼鏡を覗き込み、二つのレンズを空高く上げる。

「星、一つだけよく見えるな」

「あれ何の星だろう?」

街の明かりで、名前も知らないたった一つの星しか見えない。

ミエは五年前に見たあの星空を思い出した。

「そういえば田舎ではすごく見えたっけ。本当に地球は大気汚染で滅亡するのかも」

記憶の中の夜空をなぞっていると、居間から母の声が掛かる。

「ミエー、リンゴ食べなさーい」「あー・・」

ジリン、

不意に聞き覚えのある音がして、ミエは思わずレンズをそちらに向けた。

ドン!

「うわっ!?」

突然目の前にいるかのように、少年の姿がレンズのすぐ向こう側に見えた。

ミエは驚きのあまり、タンスの上で尻餅をつく。

ズンッ

その衝撃で、ガタが来ていたタンスはメキメキと歪んだ。

グラッ、とバランスが崩れる。

ミエがそんなことになっていようとは露ほども知らぬ少年は、自転車を引いて歩いている。

ミエの視界はまるでスローモーションのようだ。

名も知らぬたった一つの星が、ミエのことを見ていた。

ブゥン

[うちにあるものはことごとく古くなっているから]

先ほど読んだ道徳の教科書の一節が蘇る。

遠い世界の物語だと思っていたそれと、ミエの今がシンクロした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話⑤でした。

さすがスンキ様・・だんだんと色々な伏線が張られているのが分かって来ますね。

少し謎を残して進んでいく、そしてそれが全然不自然じゃない。。

あ〜〜やっぱりスンキ様は天才じゃ〜〜〜(滾るオタク)

そして最後のブゥン、チートラの仮想世界への入り口を思い出してドキドキしました^^

 

次回第二話⑥に続きます★


第二話④

2021-01-18 | 第一話〜第三話

それではここで、<超多忙★girl ファン・ミエ>の今について語ろう。

[みなさんファン・ミエがもうすぐ受験生になること忘れてませんか? 

誰よりも忙しくとても敏感な時期なので、よく知らない子と仲良くなることに
 
気を取られてる時間なんてないのです。]
 

それもこれも、皆が「あの子と仲良くね」とミエに言い残して行くからである。

受験を控えた超多忙のミエには、はっきり言ってそんな暇は無いのだ。

[友達がみんな塾に入った関係で、一人で勉強をしなければならないファン・ミエは、]

「アンタも来たら?」 「ヤダよー!」



[ストレス解消のために時々友達に会い、漫画やビデオも見て]

[今はちょい冷め気味だけど、ファイアボーイズ兄さん達の録画ビデオも見たり、]

 

”忙しい”ミエはストレスを溜めないために色々と忙しいのだ。
 
友達とライブビデオを観ながらコールアンドレスポンス(愛してる!ファイア!永遠に!ボーイズ!)
 
をするのもその一環。
 
 
 
 
親友のイ・ユンヒ宅にて、友たちはファイアボーイズ を踊りながらクリスマス前の時間を過ごしていた。
 
「もう雑誌とか全部売ろうと思うんだけど」
 
「くれたら全部売ったるよ。じゃあもうコンサート行かないの?」「うん」

ミエはもうファイアボーイズ からは卒業するようだ。

残り少ない中二の日々が、カウントダウンをするように減っていく。

そしてこの頃はインターネットの出始めでもあった。

[ PCでインターネットもして]*ユンヒのお父さんのPC

[勉強は標準装備]

目まぐるしく変わる時代の節目に、勉強という重りがのしかかる。

毎日毎日問題集と向き合っていると、あくびも出るというものだ。

ミエはまた小説の中に漫画を差し込む手法でコミックを読んでいた。

「あんたが言ってたその転校生はまさにー・・」

「大魔王と呼ばれた、火の鳥の伝説番長だよこのバカ!」

なんですって・・?!

なんとタイムリーな・・。

ミエは思わず「大・・」と呟いて目を丸くする。

「馴れ馴れしくすんじゃねぇ」

どこか聞き覚えのあるセリフを言う伝説番長がきらめきを飛ばす中、ミエママの声がした。

「ミエ〜勉強してるんでしょうね〜?」

「うんー!」

作戦は成功。

そしていつしか年は明け、1999年が幕を開けた。

1999年と言えば・・

[図書館で勉強・・と見せかけて関係ない本も見たりして]

1999最後の日

ノストラダムスの大予言 終末の日が来る!

1999年恐怖の大王が降りてくる

人類の滅亡がうんちゃらかんちゃら・・

あっちにもこっちにも大魔王。

ミエの周りでは最近大魔王フィーバーである。

 

 

 

[飛行機を数えるのも止めた]

忙しすぎて、夜飛行機を数えるのも最近はやめてしまった。

「何機まで数えたかも忘れちゃった。また最初からやんなきゃ」

 

多忙な日々は、

指の間から砂が溢れていくように、日々の間に少しずつ何かを落として行ってしまう。

時間はそんなことなどお構いなしに、次々と新しい何かを連れてやってくる。

 

[新しい教科書 新しいノート]

[また予習して]

「ミエ、りんご食べる?」と言いに来た母は、遂にミエの秘密を目にしてしまったらしい。

[勉強以外のことがバレて大惨事]

「そんなこったろうと思ってたわよ!!」

「ぎゃっ!お母さん!これ借り物だから!破ったらダメェーーー!!!」

母の逆鱗に触れた1月。

静寂も激しさも引き連れてミエの日々は続く。

[始業に備えて髪も切った]

そして気になるクラス分け。

3年12組は、イ・ユンヒ ファン・ミエ ノ・チへ ゴン・チソン この4名が当選した。

 

[その子達と同じクラスになった記念にカラオケも行って]

熱唱するミエの傍で、友たちは思い思いの会話をしていた。

「モ・ジンソプ(学年1のイケメン)は9組だって」

「結局一度も同クラにならなかったな・・」

「てかアンタの前髪マジでヤバイわ」

完ペキだ・・とはぁはぁするミエに、辛辣な一言が飛んだりもした。

はて、何か忘れているような・・

・・ミエの懸念は置いといて、兎にも角にも3月が目前に迫っていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話④でした。

1999年と言えばノストラダムスですよね〜懐かしい・・。

世界が滅んだらどうしよう、とビクビクしてたの思い出しました

 

さて、韓国では学校は3月始まりなのだそうです。

何かが始まる予感!ワクワクしますね〜〜〜

 

第二話⑤に続きます

 

 


第二話③

2021-01-16 | 第一話〜第三話

<ミエはずっと我慢していた>

さてここから、ミエの勉強部屋事情を見ていこうと思う。

[その日の夜]

大魔・・転校生が引っ越して来たその日の夜、

ミエはずっとあることについて考えていた。

あること、とはズバリ、ミエが使っている勉強机のことなのである。

<ミエの勉強机>
 
[お父さんが結婚前に使っていた机と椅子。
 
めちゃダサい]

[お母さんが結婚前に使っていたタンス。
 
古くて曲がっている]

[超開きにくい]

引き出しを開けようにも、立て付けが悪くてガタガタと引っ掛かる。

ミエはずっとそれが不満なのだ。

「ミエ、ご飯だよ!」

呼ばれたミエが食卓につくと両親は早速、

今日越して来た”お友達家族”の息子の話をしていた。

「あの子がやったんじゃないんですって」

「そうだろうとも。とっても優しい子だったじゃないか」

前の学校では誤解されたみたいだけどね。でも転校して来て良かったみたいよ」

「ミエ、アンタも変な目で見ずに、あの子と仲良くしなさいね。分かった?」

そう言われたミエだったが、ミエの頭の中は机と椅子のことでいっぱいだった。

 

<少しも受け入れられない>

 

「私も!デュオバック買って!」

「机もタンスも椅子も、全部古いじゃん!周りにあんなの使ってる子誰もいないよ!」

*デュオバックとは・・韓国で知らぬ者はいないと言われるほど有名な良い椅子。ちょっと高い。

必死に訴えたミエだったが、両親には少しも受け入れてはもらえないのだった。

「あ、そういえば電話機やっぱり壊れてるみたいだわ。とにかくお金がかかって・・」

「騙し騙し使っていくか」 「あーーもう!」

「デュオバック買ってくれたら勉強頑張るから!」「騙されないでよ」「ハハハ」

「お父さん頑張って働いて絶対買ってやるからな」「あなた、余計なこと言わないで!」

一人娘に甘い父親と、割と常に厳しい母の間で、ミエは夕飯を頬張る。

一方、そのデュオバックの持ち主といえば・・

「食べてから片付けなさい!」「おい!メシだぞ!」「お兄〜早く〜!」「早くしろ!」

デュオバックを持つ少年は絶賛片付け中だった。

それぞれの夜が更けて行く。

 

<タンスの用途>

夜も更け、月が真上近くに上がる。

キイッ、とミエは窓を開ける。

「ふんふんふん〜♪」

鼻歌を歌いながら、タンスに半身乗せたミエが夜空を見上げる。

双眼鏡を覗き込みながら。

すると・・

「ねぇ!」

「あなた、ファン・ミエだよね?」

向かいの窓から、ミエに話かけてくる女性がいた。

「ヤッホー!私のこと覚えてる?」

それはキム・ソンジョン(21)大学生 であった。

ミエは彼女の昔の姿をぼんやりと思い出す。

田舎で出会った一家の長女、背の高いスンジョン姉さんだ。

「あ・・こんばんは!スンジョンお姉さん!」「ハハッ、中坊が一丁前に敬語使ってんじゃん!」

「うん・・あ、ハイ!」 「プハハッ!」

姉さんは笑いながら、ミエが持っている双眼鏡を見てこう聞いた。

「てか何してんの?UFOでも探してんの?」

「いいえっ!飛行機の数を数えています!1000機になるまで!」

「へ?なんで?」

「なぜなら、1000機集めたら願い事が叶うんです!」

「どういうこと?飛行機をどうやって集めるの?」

「いや、集めるって言葉はアレですけど見つけたらチェックしてるって言うか・・」

「???」

真夜中の窓越しでの会話は、閑静な住宅街に響き渡っていたらしく、

ワンワンと犬が鳴き「静かにして下さい!」とご近所からクレームが入った。

スンジョン姉さんは手を振りながら、ミエに別れの挨拶をする。

「ま、とにかく弟と仲良くしてやってね!二人とも気が合えば自然とそうなるかな!じゃーね〜」

パタンと閉じられた窓を見ながら、ミエは一人こう呟いた。

「みんなしてそう言われても・・?」

スンジョン姉さんも、スンジョン姉さんのお母さんも、

ミエの両親も、決まってミエにこう言った。

彼と仲良くしてやってくれ、と。

ミエは空を見上げながら、少し途方に暮れるのであった・・。

 

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第二話③でした。

話題のデュオバック↓

良い椅子ですね!ただお値段が5万ウォン〜30万ウォンと少しお高めとか。

新しいインテリアに憧れるミエちゃんの気持ちわかるなぁ〜

 

第二話④に続きます

 


第二話②

2021-01-14 | 第一話〜第三話

大魔王が転校して来たー・・!

その衝撃ニュースは、瞬く間に学校中を駆け巡った。

しかしミエにとっては、彼は「単なる噂」のその先に居る存在かもしれない。

<これからはご近所さん>

[翌日の早朝、大魔・・いや転校生の家族が引っ越して来た。]

ミエは母親に連れられ、向かいの家へと出向いた。

「スンジョンちゃんママ!」

そこは去り際にミエに告ったあの少年が住んでいた家だ。

今日から新しく、この家族が住むことになる。

「あら!来てくれたの!」

「おはようございます」

「あらあら、あなたミエちゃんね!久しぶりだわぁ。可愛いわねぇ」

深々と頭を下げるミエに、スンジョンママは目尻を下げる。

「大きくなって!」

「大きくなんて!クラスで一番小さいんですよ」「可愛いわ〜」

モジモジするミエ。

ミエは以前からスンジョンママのことが好きだったそうだ。

しかしそんなスンジョンママにも、悩みがあるようで・・。

 

<うちの子がやったんじゃないのです>

「あの子は絶対そんなことしないの。なのに、

平和に暮らしてたうちの子に、同じ学校の子が喧嘩をふっかけて来て・・」

そう言ってため息を吐くスンジョンママに、ミエママは同意し首を縦に振る。

「そうよね、小さい頃から優しい子だったもの。礼儀も正しくて」

「そうなのよ、息子だからって色眼鏡じゃなくて本当に優しいの。
無理矢理転校させたわけじゃなくて、もうあの学校は嫌だって言ってね・・でもこっちの学校は勉強もレベル高いみたいじゃない」

「それでうちのダンナとあちらのご主人が訴訟レベルの取っ組み合いになって」

「ええー?」

「小さい頃から体が大きかったら度々周りと揉めてね・・」

ママ同士の会話に花が咲く中、ミエはふと気がついた。

引越し荷物を運ぶ業者の人たちの中に混じって、一人傷だらけの顔の少年がいるのを。

それに気がついた彼の母親は、その背中に向かって呼びかける。

「ほらアンタ!来て挨拶しなさい!
小さい頃遊んだミエちゃんとお母さんよ。わかるでしょ?」

ペコッ

キャップを目深に被ったまま、少年は軽く頭を下げて行ってしまった。

「やだ、あの子ったら」

「いいんですよ。思春期真っ盛りなんだし。それにしても本当に大きいわねぇ・・イケメンだし」

顔中傷だらけの、素っ気ない態度の息子。

彼の母親は心配そうな眼差しで息子を見つめていた。

「ミエちゃん、あの子と仲良くしてやってね。昔はよく一緒に遊んだものねぇ」

「へ・・?」と思わずミエはそう言った。

脳裏に浮かぶ昔の記憶と、スンジョンママの言葉はあまりにも駆け離れていたからである。

 

<ミエは努力した>

場面は再び五年前の夏に飛ぶ。

「なにしてんの?!」

夏休みに田舎の村に滞在したファン・ミエ、10才。

大人たちから仲良くしなさいと言われたので、ミエは頑張ったのである。

「おじいちゃんがご飯食べろって!」

「どこ行くの?あたしも一緒に行く!」

そう言って、彼の後を追った時だった。

大きなサンバイザーを目深に被った少年が、初めて声を出したのは。

「なれなれしくすんじゃねぇ」

清々しいほどに拒絶され、ミエは涙目だ。

彼の母親が必死に慰めてくれたのを覚えている。

ひぃん・・ 「あの子恥ずかしがり屋なのよ」

・・ということもあって、

ミエは五年越しの「仲良くしてやってね」に何も返せないのだった。

 

<それじゃまぁ、ハイ>

何も言わない、いや言えないミエ。

そんな彼女の前で、彼の母親もまた、何も言わない。ただ返答を待っている。

あ・・ハイ!」 「ミエちゃんありがとう!^^」

心の底では納得してなくても、選択肢が与えられていないこともある。

この場面では、ミエはYesという他なかった。

 

<注目の的は>

「それじゃ今度お餅持って来ますね」「あらやだ、いいのに」
 
「お引っ越しがんばって。さぁ、家に入ってくださいね」

 

「さようなら」 「それじゃあね〜」

ペコリと頭を下げながらも、ミエはあるものから目が離せなかった。

それが見えなくなるまで、ミエはずっとそれを視線で追っていたのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話②でした。

韓国では、お引っ越しの際お餅を配ることがあるそうです。

その名も「イサトック(引っ越し餅)」。写真ティラミスかと思った人

上の茶色いのは小豆らしいのですが、日本の小豆餅と違って甘くないのだそう。

日本は引っ越しといえば蕎麦ですが、今は日用品とかのが多いのかな・・

こんなとこにも文化の違いが見られて面白いですね

日本語版が出る際は是非とも韓国のまま連載して欲しいものです・・

 

次回第二話③に続きます!

 


第二話①

2021-01-12 | 第一話〜第三話

真っ青な夏空に、燦々と太陽が照り付けていた。

立ち上るような草の匂いの中、ミンミンと蝉が鳴いていた。

[1993年夏 00県の田舎にある村]

それは今から五年前のことだった。

ミエと、その少年が出会ったのは。

「この子がファン・ミエだよ。さ、挨拶しなさい」

10歳になるミエ。父親から言われた通りに少年に挨拶をする。

「こんにちは!仲良くしようね!」

「・・・・」

・・・・。

しかし少年は一言も喋らない。

周りで鳴く蝉の声が、一段と大きく聞こえるようだった。

挨拶のために上げた手が、所在なさげにしゅんと萎む。

目をパチクリとするミエの前にいる少年が、時を越えて再び彼女の前に現れた。

 

<知ってる子>

五年前、夏休みに出会ったあの少年。

随分と大きくなっているが、雰囲気はどこか変わらないように思えた。

合ってるよね?

お母さんが言ってたあの子・・

顔はどんなんだったっけ?名前は・・

ぼんやりとモヤのかかったその記憶を呼び覚ますには、いささか時間が経ち過ぎていた。

けれど気まずさと恥ずかしさに胸を痛めた感情を忘れ去るには、まだ経過が浅いようで・・。

「あ・・」

ミエは再び、五年前の夏を思い出していた。

 

<あの子があの子で>

[ファンミエ 10歳]

[海に行くはずの計画が頓挫し、嗚咽していた1993年の夏]

ミエの悲しみは、それはそれは深かった。

なだめる父親を前に、10才のミエは足をバタバタさせながら大声で泣いた。

「海行きたいよー!海行くって言ったじゃん!!」

「渓谷はめちゃめちゃ涼しいぞ〜?なぁミエ?渓谷でも浮き輪使えるぞ!

とうもろこし畑もある!ミエが大好きなとうもろこし!」

「いつ好きって言った?!」

しかしそこは所詮10才。

なんだかんだと言いくるめられたミエは、両親と共に田舎の村へと向かったのだった。

「もう泣かないの」「来年は絶対に海行こうな」「ぁかった・・」

[実際は宿泊費を浮かすためだということも全て分かっていた10才]

所詮10才、されど10才。

ミエは全て分かって納得した上で、その田舎の村へと向かったのだ。

そして冒頭のシーンへと戻る。

「あ・・」

[そして海の代わりに来ることになった、”お父さんのお友達家族”の田舎の家に]

[同い年の男の子]

 

その少年は、同い年と思えないくらい大きかった。

少年のお父さんも、ミエの父親より20cm近く大きい。

すごーい かっこいいなぁ・・  「二人で仲良く遊びなさい」

そう言われたミエは、冒頭のように笑顔で挨拶した。

[だから仲良くなろうとしたけど]

気まずくなったあの気持ちのことを、何となく心は覚えていた。

しかしあの少年が今の姿に繋がるかと言われると、驚きの方が大きかった。

[けど田舎に住んでいたあの子が、
 
この付近ではかなり(遊び人が多いことで)有名な高句麗中学に通っていたなんて]

わっかんないなぁ、と思いながらミエは、先ほどの出来事を友人に話そうとした。

すると・・

「ねぇユンヒ、私さっき廊下で・・」

「おいっ!!!大魔王が転校して来たぞ!!」

同じクラスの男子が、ものすごいインパクトと共に教室に入って来た。

「7組だって!」 「えー?!」「勘弁してよー」「マジでうちの中学に来たの?」

「ホントに?」「マジでくそデカいんだって!大学生みたいだって!」

騒然とする教室。

しかしミエは、あることに衝撃を受けていた。

大魔王?

今みんなあの子のことを話してるんだよね?まさかそれがあだ名だっていうの?
 
 
大魔王??
 
 
あの子が?

「ファン・ミエは衝撃を受けた」

とあるが、それは少年が大魔王呼ばわりされたことに衝撃を受けていたのではなかった。

1998年に中学生であだ名が大魔王?
 
いやちょっとそれ幼稚すぎん??

周りではクラスメイトが、「高句麗中の友達がアイツのことマジで恐ろしいヤツだって言ってた」と噂話を広めているが、

大魔王の衝撃を喰らったミエの耳には入ってこなかった。

「ほらほら静かに!なんでまだこんなにうるさいんだ!みんな本開け!」

担任が入って来て、クラスは徐々に静かになる。

ユンヒはミエに先ほどの話の続きをこっそりと促した。

「てかさっき何の話しようとしてたん?」「ん?なんでもないよ!」「何さ〜」

さわさわとした騒めきは、いまだそこら中に残響をこだまさせる。

[学校は一日中大騒ぎだった]

[大魔王が人を殴って転校して来たという噂が、瞬く間に駆け巡った。]

変わらない日常に走る突然の衝撃は、その後ミエの運命をも動かすことになるのだがー・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話①でした。

高句麗と百済・・遥か昔に日本史でやったな〜〜となんでもないとこで懐かしくなってました

あだ名大魔王・・1999年間近のこの年だと、身近な存在だったんでしょうね、大魔王・・。

そして第二話の表紙?はこちら↓

昔スンキさんのインスタにアップされてましたね^^

カラーで見れて感激です!

第二話②に続きます