青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第一話⑧

2021-01-10 | 第一話〜第三話

「うーわ、超でか!」

転校生らしき少年を目にしたミエは、思わず心の声が漏れ出していた。

少年は母親らしき女性に連れられて、職員室へと入って行く。

モ・ジンソプ(この学校一のイケメン)よりデカいな
顔はなんであんなことなってんの?どこで怪我したんだろ?
あれ高句麗中の制服だよね?転校生かな?
やっぱうちの制服よりイケてるわ
これからうちの制服着なきゃいけないなんてカワイソ〜クソださチェックズボン・・

色々と思うところのあるミエだったが、心に一番浮かんだのはこのことだった。

私もデカくなりたい・・

あの人くらいデカかったら、制服も買ってすぐピッタリだよね?

私もピッタリの制服着たい

実は、ミエはクラスで一番小さい女の子なのである。

大きくなるから、と嗜められて用意された制服は、もうすぐ3年になろうというのにブカブカだ。

もう背もあんま伸びないだろうけど、お母さん制服お直ししてくんないもんなー

特にスカートはずっと膝下で、それが一層制服のダサさに拍車をかけるのだった。

はっ

「休み時間終わっちゃう!」

そう口にしてミエは廊下を駆けて行く。

もうじきチャイムが鳴るであろう学校の廊下には、もう誰もいない。

教室まで突っ走るミエだったが、何かが心に引っ掛っていた。

その引っ掛かりが、彼女の足を止める。

「あれ?」

「私あの人どっかで見たような気が・・?」

そう言って振り返った瞬間、頭の中が急激に巻き戻った。

あれはまだ10月に入ってすぐのこと。

母親から今度越してくる”お父さんの友達家族”の話を聞かされた時のことだ。

「けどどうしてこっちに引っ越して来るの?」 「それがね」

「その家の息子がアンタの中学に転校して来るから、それでー・・」

その記憶の引っ掛かりをきっかけに、ミエはもっと遠くにある記憶の断片を思い出した。

「あ」

子供の声が聞こえる。

「いっしょに行こう〜」と。

サンダルで砂利道を走った感覚が、足の裏に蘇る。

次々と記憶がこぼれ出る。

空に満天の星が広がっていたこと、

その夜の中で、必死に大声を出して走っていたこと。

「いっしょに行こうよぉ〜〜!」

はぁ、はぁ、と切れる息。

10才の自分が、一生懸命誰かを追っていた。

「ねぇ〜〜〜〜!」

「いっしょに行こうよぉ〜〜〜〜〜!!!」

思い出したのは、数億の星が瞬く夜に向かって進む、少年の後ろ姿。

ミエはその記憶の映像を脳裏に再生させながら、一人廊下に立ち尽くす。

「あ」

「あの子だ・・」

五年ぶりに呼び覚ました記憶の断片。

消えていたその記憶が、今のリアルな世界に繋がって来るー・・。

 

 

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第一話⑧でした。

ようやく第一話、これで終了となります

チートラと比べて2〜3倍あるような感覚ですが、このペースでの連載すごいですね・・

ブログでは一週間かけて一話を記事にしていく、というペースになりそうです

遅くて申し訳ありませんが、ぬるりと見守っていただけると幸いです

 

第二話①へ続きますー!