青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
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第二話⑦

2021-01-24 | 第一話〜第三話

涙目で見上げた夜空には、満月が浮かんでいた。

片手にゴミ、片手にムンクのリードを持ったミエが、悲しみに暮れている。

悲しい

 

ゴミ捨て場には、色々なものが無造作に置かれていた。

その中を、ミエはムンクを散歩させながら歩く。

 

その時、ミエのすぐそばでゴロゴロとキャスターが回っていたのだが、

ミエは気づかず散歩を続けていた。

「ムンク〜こっちおいで」

そしてふと視線を上げた、その時だった。

「・・・・」

 

掃き溜めに鶴、

ならぬゴミ捨て場に・・

「デュオバック」

欲しくてたまらなかったデュオバックが目の前にあることに、

ミエは興奮を隠せなかった。

「デュオ・・」

けれどその椅子のところに、人がいることにようやく気が付いた。

その人は、デュオバックの近くに持っていた段ボール箱を捨てた。

ビックリした、と呟きながらミエはさっと壁に身を寄せる。

「・・・・」

ミエは羨望と苛立ちの入り混じった視線でその人を見つめた。

何?あのデュオバック、今あの子が捨てたっての?

「・・・・」

少年はゴミ捨て場にしゃがみ込み、何やら見ている様子だ。

俯いて、手で目の当たりを擦っている。

・・?そうだよね?

暗くてよく見えないので確信は持てないが、おそらく彼はお向かいの少年だ。

あの子・・キム・・

・・スンジョン姉さんの弟

たとえ心の中でも、ミエはその少年の名を決して口にしなかった。

気まずさと気恥ずかしさで胸がいっぱいになるから。

ミエはただ、ワクワクしながらその時を待っていた。

なんでずっとあそこにいるんだろ?あの子が去ってから私があのデュオバックを・・

と、その時だった。

ワンッ!

ビクッ、と少年は思わず体を震わせた。

ミエは突然鳴き出したムンクを抑えるので精一杯だ。

「ワンワンワンワン!」

「ちょっ・・アンタ!何っ・・!ちょ、ムン・・

「ク・・」

ワンッ!と一際大きくムンクが鳴いた時、

少年がこちらを向いているのが見えた。

赤い目元は、その満月の光で潤んでいる。

しかしミエは、今の状況を処理することで精一杯で、それには気がつかない。

そんな二人の始まりを、ただ満月は見ていた。

 

[1999年3月1日 新学期 Dー1]

[この少年は近い将来、]

[この少女にとって永遠に忘れることの出来ない、

この世で最も特別な少年になる。]

[そして・・・]

物語はすでに始まっていた。

けれどゴミ捨て場に立ち尽くす二人は、まだその行き先を知らない・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話⑦でした。

これで第二話は終わりです。

最後にイラストがありました

なんだかこの物語を象徴する絵ですね^^

早く二人の絡みが見たいですね〜〜!

 

第三話①に続きます!