良い本に出会った。
ってか、陽明学徒の私としては、陽明学に関連する本はみんな「良い本」なんですが。
いくつか取り急ぎ引用。
■ 筆者が、かつて、苦学生のころ、大塩平八郎の本を買いたいけど、お金がなくて変えずに、古本屋で逡巡していたら、、、
「大塩平八郎を勉強しようという人だったら、しっかりお金を払うことは間違いない」
どれだけ平八郎、信頼されているんだ、、、
すごいですね。
私も200年後くらい、私の本を買おうと思って逡巡している人に、本屋の店主が「中山達樹を勉強しようという人だったら、間違いない」と思われるくらいになりたし、、
三島由紀夫が武士道を論じて
- Self-respect
- Self-sacrifice
- Self-responsibility
って言っていたんですか。
さすが三島。いい3要素。
■ 以下は、熊沢蕃山の、君子の特色8箇条の一つ。
上記に続くのが、これ。
神も、天も、同じ意味で使っている。江戸時代中期の人だから、熊沢蕃山にはキリスト教は全く入っていないはず。それでも「神」って言葉を使うんですね。
■ その熊沢蕃山(17世紀半ばの人、1650年くらい)が、以下の「人君は民の父母」って言葉を使った。
ピンと来るのが、JFKが尊敬した唯一の日本人、上杉鷹山。
内村『代表的日本人』にも、藤原正彦『藤原正彦の代表的日本人』にも、両方に載っている代表的な日本人は、上杉鷹山だけ。
その鷹山の鷹山たるゆえんは、17歳の君主就任時に「主君は民の父母」って歌を詠んだこと。
受けつぎて 国のつかさの身となれば忘るまじきは 民の父母
その鷹山の、100年も前に、熊沢蕃山が「人君は民の父母」って言っていたんですね!
蕃山好きの私もこれは知らなかった。勉強になりました。
熊沢蕃山→?→細井平洲→上杉鷹山って系譜で、「人君は民の父母」が伝わったようです。蕃山、恐るべし。
■ 「人を相手にせず、天を相手にせよ」と西郷南洲がいう。
その「天を相手にする」ってのは、どういうことかというと、「自らを欺かない」こと。
■ 大塩平八郎の座右の銘は、「慎独」と「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」なんだ!
私も大好きな2つ。朝2時起き、って朝早起きと同様、大塩平八郎には親近感しか感じない。
■ 以下は松蔭の句。
世の人はよしあしこともいはばいえ
賤(しづ)が誠は神ぞ知るらん
…賤、ってのは一人称の謙譲語。それがし、みたいな意味。
こんな歌が松蔭にありましたか。
世の人は我を何とも言わば言え
我なす事は我のみぞ知る
って坂本龍馬の言葉とそっくりですね。
■ 「狂」が大好きな松蔭の言葉。
私ももっと狂わないと。
論語でも、君子の価値として「狂」を2番目に置いています。
■ 高杉晋作の言葉。
独歩登天の志。
いいですね、独歩登天。
シラーがウィリアムテルに語らせた「強い者は一人でいるときが, もっとも強いのだ」を思わせる。