最近読んだ出久根達郎『百貌百言』(←名著)に、昭和天皇が、侍従から「陛下は人徳がおありに、、」と言われて、「いや、ただ薄氷を踏むように生きているだけだ」って仰った、というエピソードが出てきた。
ググっても出てこない。あまり有名なエピソードではない。
人徳は、生まれついたものでも、豪傑然・大人然とした鷹揚な姿勢から生まれるのでもない。
薄氷を踏むが如く、慎重に、特には臆病に、気を使って、気を張り詰めているからこそ、生まれ出るもの。
インテグリティに似ている。インテグリティってのは、不完全な人間が、謙虚に向上心を持って、完全を目指すそのプロセス。
常に完成はない。一ミリでも上へ。
その謙虚で慎重な姿勢を、昔から、「薄氷を踏む」と評してきた。
〜〜〜以下引用〜〜〜
魏徴は『詩経』にある、「戦戦兢兢として、深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し」という気持ちでないと国は治められないと言っている〜〜〜引用終わり〜〜〜
こちら(谷沢永一・魏徴)
※ リンク張れませんが、「天皇 人徳 薄氷を履む」あたりでググると、他に、関西大学の、和歌みたいな文献がヒットする。
和歌の世界でも、「天皇が薄氷を履むように生きてきた」のは知られているよう。
インテグリティも、徳も、薄氷を踏むように、丁寧に生きることから生まれる。その一挙手一投足に、精神を注ぎ込むことから生まれる。
ちょっとまだ抽象的ですが、取り急ぎ。おって具体例を考えて書きます。