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デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

続! 漂流アドベンチャー

2021-10-12 10:39:58 | 名残の季節
 漂流アドベンチャー ... 私も人生を漂流しています。漂流すなわちアドベンチャー(冒険)ではありませんが、何が起きるかわからない人生ゆえ 誰にとってもアドベンチャーかな? まぁそんなキリのない小理屈は置いておきましょう、ここは視たまま感じたまま!ということで ...。
 
  

 前回の鳥島につづく漂流アドベンチャー(2) はフィリピンのバタン島。遠州灘~太平洋に出ると黒潮がやや南に蛇行、小笠原諸島を縫うように漂流し貿易風と北赤道海流に乗ってグルッと迂回、西へと流された先がバタン(馬丹)島。鳥島までの5倍! 3500kmのアドベンチャーです。

  

 バタン島までヨット「風のバラ」号は2週間の漂流でした。一方、江戸時代前期(1668年)尾張大野村の材木運搬船の乗員15人の漂流は1か月余。水桶は嵐で吹き飛ばされ飲料水もなく、15人が1か月余の漂流をどう生きぬき 島でどのように暮らし どのように日本に帰ったのか...。

  

 「らんびき」という蒸留器があります。ギリシャ語に由来する名称で旧くから世界中で使われています。材木運搬船の船頭 次郎兵衛が遺した漂流記にも、海水を沸かしその蒸気を冷やして水を作る「らんびき」について記され、1日2升の水を作り雨水と併せて飲用したようです。
   池内さん達もヨットの船内で「らんびき」のやり方で水を作りました。
   材木船ですから燃やす木は多く、鍋に海水を入れ沸騰させ 蓋の真ん中に円い小穴を開け竹筒を通します。
   竹筒から取り込んだ蒸気を冷やすため もう一つ鍋をおき その鍋に冷たい海水を入れ 蒸気を冷やします。

  

 長平たちが辿り着いた鳥島は無人島でしたが、バタン島には住民がいました。次郎兵衛ら15人は住人に捕えられ殴打され下帯まで身ぐるみ剥がされ「下人=奴隷」とされます。台風を凌ぐため天井まで1m半の低くて狭い粗末な棲家が与えられ 部族間の合戦に狩り出されたりも ...。

  

 漂流記に『年寄は働き悪しき候とて親にても打ち殺し候』との記述があります。島全体が貧しく、働けなくなった年寄は撲殺される習わしがあったようで 次郎兵衛ら二人がここで撲殺されました。日本の「姥捨て」にも似た習わしと言うのでしょうか ... なんとも無惨ではあります。

 島に2年4か月滞留することになりますが、脱出の奇策を思いつきました。島には金属素材がなく遠くマニラで手に入れていました。そこで『日本には金銀鉄などが豊富にある。帰ってそれらを持ち帰りたい』と提案すると諒解され、斧一丁と造船のための木々伐採が認められました。

  
     「ブタラオ」の樹。斧一丁で伐り出し製材、14mの船を作りました。モチベーションの高さ!

 2人が撲殺されたものの13人はこの船で黒潮にのりまっすぐ!2000kmを漂流、五島列島に帰着しました。9年後、日向(宮崎)に23人のバタン人が漂着、戻らない日本人を追ってきたのではないかと伝えられています。なお一行?は幕府によりオランダ船でバタン島に送還されました。

  

 なんともサラリとした紹介になってしまいました。今週 10/15日(金) 午前9:00~ BSプレミアムにて「漂流アドベンチャー(3)」が放送され、明治の冒険野郎 水谷新六の「幻の宝島」探検の跡を追います(2018年放送)。「プレミアムカフェ選」シリーズの貴重な再放送、ぜひご覧下さい。


  

過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
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名残の季節 https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ce82e1c580f64c8ab8d43e2c674a481d

10 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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らんびき (リーのママ)
2021-10-12 15:07:16
らんびきって初めて聞きました。
蒸留器のことなんですね。
まさにアドベンチャー!海水から真水を作るなんて。
田舎暮らしとかキャンプとか登山とか漂流とか、便利な生活から離れて、人は何を求めているんでしょうね。
その昔の漂流は、生きて帰れることが奇跡だったことでしょうが、経験や技を尽くして生き延びた人たちの精神力は凄いです。
私ならすぐに海に飛び込んでしまいそうです。
姥捨て山と撲殺って、一見撲殺が残酷そうですが、捨てられた山で命が尽きるまで生きることを考えるとどっちもどっちなのかも。
返信する
漂流人 (遠音)
2021-10-12 15:08:46
それに近い旅をしていましたから
天候の変化に恐怖や 暴走族に囲まれたり・・
色々体験しました。 今はスマホがありますから
武器になりますね。
TVをほとんど見ていません。
旅行に出ようといつも中止するので
新聞も気の毒で購読できません
こんな風に紹介されると嬉しいです。
ありがとー したっけね~
返信する
Re : リーのママさん「らんびき」 (デ某)
2021-10-12 20:50:39
リーのママさん
つづけてのコメント ありがとうございます

らんびき。
様々なタイプがあり 池内さんが新たに使った"らんびき"は
1時間 ペダルを踏み続けると 1ℓの真水ができる装置。
池内さんは2時間頑張り 心おきなく2ℓの真水でシャンプー&シャワーを...。
なお活性炭と綺麗な砂利を少しだけ用意し イザ!という時は、
筒にガーゼか布切れで包んだ活性炭と砂利を詰め、
泥水を "濾す" だけできれいになります(煮沸は必要)

> まさにアドベンチャー!

その言葉で思い出したのが「ポセイドン江戸番茶」さん。
旧い友人で 滅茶!映画好きの女性です。
彼女の映画評は映画より面白い!です、好みがややマニアックですが...。
「ポセイドン江戸番茶」「夜な夜なシネマ」で検索してください。

> 田舎暮らしとかキャンプとか登山とか漂流とか
> 便利な生活から離れて、人は何を求めているんでしょうね。

子ども心かもしれません。でも子ども心で命まではかけません。
「そこに山があるから」とも少しちがうでしょうね。難しい!

漂流も それが「チャレンジ」であれば「冒険(アドベンチャー)」。
でも意図せざる危機として向き合う漂流であれば 冒険ではありますまい。

> 私ならすぐに海に飛び込んでしまいそうです。
♯Me too! すぐ「楽に死ぬ方法」に走りそう...

> 姥捨山と撲殺

意図せざる死 そして激しい苦痛を伴う死は 総て理不尽で人道に反します。
その意味で 私は(場違いながら)戦争は勿論!「死刑制度」にも反対です。

ジョーン・バエズ「思い出のグリーン・グラス」
https://www.youtube.com/watch?v=eHEXUdgiYxI
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Re : 遠音さん「漂流人」 (デ某)
2021-10-12 21:07:39
遠音さん
こちらにもコメント おそれいります。ありがとうございます

> それに近い旅をしていました

ロビンソン・クルーソーならぬ ロビンソン・エゾトオネサン! (笑)
それにしてもよくぞ無防備なボヘミアン風ジャーニーをされました
羨ましいです

> TVをほとんど見ていません。新聞も... 購読できません

TVも新聞もかつて!の値打ちは喪くなりました。
「第四の権力」どころか ... "社会の木鐸" の圏外!のマスゴミが殆どです。

> こんな風に紹介されると嬉しいです。

それなりの労はありますが 一言!で報われることが多いです、たとえ自己満足でも!

着心地の良い&お似合いのパジャマが見つかって良かったですね。
また こっそり教えてください、妻に奨めてみます(笑)
ではでは したっけねぇ~
返信する
私も1回目から見ました。 (沙羅)
2021-10-13 12:10:09
無人島へ流れついて生き延びるのも大変なことですが、今度は人の居る島に流れ着いたら奴隷にされて。
どちらが過酷なのか。
しかし両方の船乗りたちは知識をフルに使うこと、体を使うこと、不屈の精神力で生還を果たします。
特にバタン島から島にない金属を持って返ってくるからと船出許可を島人からもらうくだりは興味深いです。
島人もこのまま逃げてしまうかもしれない、あるいは途中で遭難するかもしれないと思わないでもなかったのに、許可したのはいかに島が貧しくて金属を渇望したかと示していますね。
そのあたりをついた船乗りの知恵に感服します。
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Re : 沙羅さん「私も1回目から見ました」 (デ某)
2021-10-13 15:06:10
沙羅さん
コメント 嬉しく拝読しました。ありがとうございました

"無人島" そして "有人島で隷属"。
無人島である鳥島にも かつて開拓者が定住した事実はあった由。
しかし狭い島に火山噴火 ... 人の定住には無理な自然環境でした。
一方、無人の島は渡り鳥の天国となり、あるときは人による "地獄" ともなりました。
そして有人のバタン島では辿りついた人を奴隷に...。
鳥は自らの身をもって人に恩恵をもたらしましたが、人は人に対して(鳥にも)過酷でした。

> 船乗りたちは知識をフルに使うこと、体を使うこと、不屈の精神力で生還を果たします。

旧くはロビンソン・クルーソー漂流記(小説ですがモデルがあります)
そして長平はじめ江戸期の実際の漂流記。
究極の危機における人間の底力にほんとうに感動します。
なお「馬丹島漂流記」は、当時この島には文字文明が不十分であったため、
彼の地で歴史史料として再評価されている由。これは或る意味で "恩返し" かもしれません。

> 島にない金属を持って返ってくるからと船出許可をもらうくだりは興味深い

沙羅さんの思われたこと、私もまた思いました。
バタンの島民は「人質として数名を残す」よう命じなかったのだろうか?とか...。
しかし 「許可したのは」沙羅さん仰るとおり 私も
「いかに島が貧しくて金属を渇望したか」が総てであったに違いないと思いました。

沙羅さんのコメントで この "漂流" について改めて「網を広げ」られました。
ありがとうございました
返信する
Unknown (ひねくれくうみん)
2021-10-18 12:39:28
 バタン島、なんとも怖い島ですね。その割には、「日本には金属がたくさんあるから持って帰る」
と、見え見えのウソを信じ込んでしまうなんて、案外、人が良かったりして。
 海も好きですが、小さな船で漂流するのは勘弁です。若い頃、漁船に乗せてもらったことがありますが、酔ってしまって非常に苦しかった。

 
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Re : まっすぐ!くうみんさん (デ某)
2021-10-18 13:52:37
くうみんさん
コメントありがとうございました

先週の金曜日、「漂流!アドベンチャー(3)」を視ました。
拙ブログでは(2)で終わりにしますが(笑)
(3) は「宝の島」..."日本にとって正真正銘の宝島" への漂流記でした。
漂流!という冒険…くうみんさんも「病みつき」になられるかもしれませんよ。

さて今夕は読売交響楽団の大阪公演に参ります(フェスティバルH)
小林研一郎指揮で スメタナの交響詩「わが祖国」全曲(6曲)。
「モルダウ」ぐらいしか聴いていませんので、
全曲一挙上演 ... ワクワクしています。

ではでは...。
寒くなりましたね。くれぐれもお身体大切にお過ごしください
返信する
お知らせ (沙羅)
2021-10-22 11:48:09
ブログご訪問ありがとうございました。
そちらのお返事にも書いたのですが念のため。
今朝「こころ旅」で出発点が弓ヶ浜でした!
短い時間でしたが海が映り島根半島や反対側にはシルエットの大山も小さく。
デ某さんにお知らせしたいと思いましたね。
完全版は今日のBS3午後7時から。
再放送はBS3、24日の午前11時半からですよ。
返信する
Re : 沙羅さん (デ某)
2021-10-22 13:44:25
沙羅さん
コメント&貴重な情報 ありがとうございました

> こころ旅」で出発点が弓ヶ浜でした!
> 海が映り島根半島や反対側にはシルエットの大山も小さく。
> 完全版は今日のBS3午後7時から。
> 再放送はBS3、24日の午前11時半からですよ。

「こころ旅」は滅多に視ませんので、
郷里「弓ヶ浜」が放映されるとは まったく存じませんでした。
本日 午後 7:00 BSプレミアム … 録画 セットしました
ありがとうございました

夏は海水浴… 秋冬は「タコ」「カレイ」釣り…
また 地引網が引かれると 友人達と網引きの手伝い(邪魔?)に行き
獲れたイワシ・アジなどを漁師さんに頂いて帰りました。

思い出がぎゅっとつまった弓ヶ浜ですが、
ちょうど私がよく行ったあたりの浜が埋立てられました。
父は反対運動に参加、深夜の議会傍聴などにも行きましたが、
「本日の議会は流れました」とのアナウンスがあり
「良かった!良かった!」とみんなで帰宅したところ
未明に「再開」され 埋立議案が可決されました。
騙された!と みんな憤っていましたが...後の祭ではありました。
たぶん 放送されるのは埋め立てられなかった浜のあたりだと思います。
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