デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

行きしひと 去りしとき

2020-03-03 23:57:51 | 人生の棚卸し
 「行きしひと」ではなく「逝きしひと」と記すべきかもしれません。でも切なくて そう記すことができません。二月、敬愛する先輩が旅立たれました。ミモザが彩りをましても風はなお冷たく、いつもより一日多い二月なのに 瞬く間に駆け足で去り行きました。

    
                               京都 由良川畔のミモザ

 今日 三月三日は 「風のフェリシア」さんが旅立たれた日。いつの間にか 一年が経っていました。昨年の二月、「少しずつ悪くなるのではなく どかん!どかん!とまるで崩れるように...」「ひとり朽ちるのはむずかしい」「壁をつたい 床をはっています」と...。

 昨年2/1の拙ブログ「去りゆく日 去り行く人」にコメントを寄せた彼女、栗本薫(中島梓)の最期について記した2/10のブログ「レクィエム…転移」に寄せたコメントが拙ブログへの彼女の最後のコメントとなりました。絶えだえの息遣いに…胸が騒ぎました。

  以下彼女のコメント…「〇ぬ」「惑星にが誕生しして」「誕生してから」の途切れ!は原文のまま
  「〇ぬのは怖くない」と私も思う一人です。
   この青い惑星にが誕生ししてから、〇ぬことに失敗した人はいないので(^^)
   突然の変調ですが、この地球に生命が誕生してから


    
                            3/3 京都御所 閑院宮邸前にて

 今日 京都御所を散策した後、学生時代の友人との「研究会」に参りました。世相を論じ思いを論じ、ついでに学ぼうとする程度の会ですが、そこで論じられたテーマの一つが「反日の韓国と親日の台湾」。ふっと!台湾で亡くなった向田邦子さんを想いました。

 向田邦子さんは1981年夏、台湾にて航空機墜落事故により51年の生涯を閉じました。その旅立ちから間もなく40年ながら、そう遠い昔のことに思えないのは、今なお彼女の作品が放つ光ゆえでしょうか。それともその才と女優さんのような美しさゆえでしょうか。

    
                            文芸春秋1983.8臨時増刊より

 向田邦子さんと長く共に仕事したTVプロデューサー久世光彦著「触れもせで」。そこに描かれた向田邦子像には紛れもなく彼女への讃歌があり愛があり恋心が顕れています。向田さんの旅立ちから十年余を経て上梓されたレクィエムであり恋文でもありましょう。

 『無頓着なふりして無邪気に見せる狡くて可愛い人』『あの人の半分は 待っていた人。待っていたのは 何だったのか、誰だったのか...』『彼女には爪を噛む癖があった。爪を噛むのは良くないワ…という歌が好きで、酔うと小さな声で口ずさんでいた』『彼女はどこにでも居そうで どこにも居ない、そんな人だった』。

 こうした記述からも氏の心の裡は想像に難くありません。それがこの著のタイトルとなる「触れもせで」には更によく顕れています、少し我が心と重ねあわせつつ...。

 『彼女のアパートに泊まったことだって何度もある』『二十年の間 彼女の体のどこにも唯の一度も触ったことがない』『暖かい手だったのか冷たかったのか、柔らかだったのか骨ばっていたのか、私は知らない』『熱い肌を幾度合わせても何もわからない人もいる。指一本触れもせず十年たってしきりと恋しい人もいる』。

    

  高田恭子さん「みんな夢の中」をUPしていたのですが
       やっぱり「爪」がいいかなぁ....もうよしなさい悪い癖/爪を噛むのは良くないわ....



  【補遺】… 2022.11.22 記
     向田邦子さんのTVドラマ作品は度々再放送され(つい先日も!)そのたびに「なんて惜しい方を…」と。
     彼女の短篇集、随筆集が書棚に数冊あり ふっと思い出しては読み返し そして… 喪失感に襲われます。
     亡くなられて40年余 まるで恋しているかのように…。


12 コメント

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花の姿 (リーのママ)
2020-03-04 17:37:32
由良川畔のミモザ。見に行きたいとおっしゃっていましたが、素敵なお写真になりましたね。
京都御所の梅の花も、何だか気品のある姿に見えるのは京都御所という響きからでしょうか。
切ない思いに溢れた文章には、どうコメントしていいやら迷いました。
好きな音楽を聴いて時をやり過ごしてくださいね。
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ミモザ (沙羅 )
2020-03-04 19:20:31
「風のフェリシア」さんが亡くなられて1年なんですね。
でも3月3日は私の誕生日。。
悲しい、、

2月の記事を読んでデ某さんの悲しみを思い何も言えませんでした。
もともとコメント欄は閉じていましたが。

ミモザは春を告げる明るい花ですが、今年は明るく見えませんね。
世の中の状況も個人的にも。

私の好きなミモザは花いっぱいの園芸種ではなく瀬戸内海に自生しているミモザなんですが、かつては公園にあったミモザはみななくなってしまい、寂しい限りです、
一つだけ台風で真っ二つに裂けても小さく残った木に復活の葉が芽生えましたが花芽はありません。
来年咲いたらいいのにな。
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Unknown (小父さん)
2020-03-04 20:05:07
とても素敵なページ構成だと思っています。

前回の春に...の
プレスリーの「輝く日を仰ぐとき」...
も何か書きたかったです(汗)
プレスリーは子供時代にか?黒人教会のゴスペル・ソングを随分聴いていたとテレビでやっていましたね。

本題です。
敬愛する先輩が旅立たれたとのこと。
後先になりましたが、ご愁傷様です。

別れはいつも寂しいものです。
私はしばらく別れから遠ざかってはいますが...。

2019-03-04 08の「やがて来る春に 太陽の光を浴び薔薇の花を咲かせることを」も拝見しました。

私は感性が弱いせいか、この日のも今日のも正直なところ論理的には繋がらないところがあります。

2019-02-10 21レクィエム ... 転移
も斜め読みしました。
こちらは哲学の香りが高く、時間をかけないと理解できそうにないです(泣)

向田邦子さんのことNHKテレビドラマ『阿修羅のごとく』しか知らないのですが、軽いショックを受けました。

航空機事故の頃は名前しか知りませんでした。

うわぁー、以下も深いです。

「爪」いいですね~。
シャンソンでしょうか?

貴兄のこのページ格調が高すぎて、私が訪問するには10年くらい早い気がしました。
どうも有難うございました。
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淋しいですね (夢ちゃん)
2020-03-04 20:30:36
こんばんは。
季節は巡り、誰かとの別れに直面する。
明日は我が身か、凡人さんか・・・
そんなことを考えない日はないくらいの毎日です。やっぱり夢子はちょっと変人ですね。
でも、静かな部屋でポツンと一人でいると、心が楽な方??にかたむいていってしまうのです。会いたくなってしまうのです。子どもみたいですね。
強くなりたい!!前向きに生きたい!!
夢子に教えてくださった本ですよね。
時間の余裕ができたら読んでみようかなあと今思っています。
とりとめのない(なかみのない)文章でごめんなさい。
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向田邦子さん (讃岐おばさん)
2020-03-04 23:26:26
お父様の転勤で、高松で過ごされた事もあったそうですね。
転勤族の上司から何度も聞かされていました。
台湾上空での事故、本当に悲しい出来事でした。

コーラス仲間で同い年の方が亡くなられました。
昨年7月の演奏会が終わって、今年の第40回記念演奏会を楽しみにしていたのに。
昨年10月に癌が再発、今年に入って、コーラス仲間には知らせずに。
「ありがとうあなたへ」という歌を練習していますが、1人で歌っていると涙が出てきます。
きっと一緒に歌いたかっただろうなと。
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時の流れ (遠音)
2020-03-04 23:41:36
ミモザのお写真すてきに撮れていて
こちらには無い樹木ですからほんとうに
見てみたいです。

何を書けば良いのか・・書き始めたものの・・
ありがとうございます。の感謝の
気持ちだけを。きょうは・・
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Re : リーのママさん「花の姿」 (デ某)
2020-03-05 00:11:25
リーのママさん
早速にコメントくださりありがとうございました

> 由良川畔のミモザ...
小さな花瓶に生けられたミモザ、花束のミモザも素敵ですが
由良川畔に立つミモザに圧倒されます。

> 京都御所の梅の花も、何だか気品のある姿に見える…
気品ある?梅花、御苑の「出水の小川」傍にあります。

> 切ない思いに溢れた文章には、どうコメントしていいやら...
申し訳ございません。困りますよね。でも受けとめられたままに...。

> 好きな音楽を聴いて時をやり過ごしてくださいね。
弥生三月、京都へと往復する電車の中は殆どマスク姿で埋まっていました。
四月には明るい空、人々の晴れた表情に出会えますよう祈りたいと存じます
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Re : 沙羅さん「ミモザ」 (デ某)
2020-03-05 00:30:23
沙羅さん
コメントありがとうございました

> 「風のフェリシア」さんが亡くなられて1年...でも3月3日は私の誕生日。
フェリシアさんと行き来のあった沙羅さん、思いがけない巡り合わせですね。
でも沙羅さんは沙羅さんでいらっしゃいます。
お誕生日おめでとうございます。
実は翌4日はわが妻の誕生日です。

> 2月の記事を読んでデ某さんの悲しみを思い何も言えませんでした。
> もともとコメント欄は閉じていましたが。
こうしたブログ記にコメントは難しいと思います。
閉じていたのは...様々な思い、情況からでした。

> ミモザは春を告げる明るい花ですが、今年は明るく見えませんね。

腎がん友から「ミモザの花言葉は優雅、友情」と。
この幸せの黄色が世界を明るくしてくれますよう!祈りたいと存じます

> 私の好きなミモザは...瀬戸内海に自生しているミモザなんです
> かつては公園にあったミモザはみな なくなってしまい寂しい限りです
機会がありましたら和知の自然食レストラン菓歩菓歩をお訪ねください。
由良川畔のテラスで陽光をいっぱい浴びながらゆったりしたひとときを...。

> 一つだけ...小さく残った木に復活の葉が芽生えましたが花芽はありません。
> 来年咲いたらいいのにな。
きっと 咲きますとも!
返信する
Re : 小父さん (デ某)
2020-03-05 01:05:21
小父さん
たくさんのお訪ねとコメント ありがとうございました

> とても素敵なページ構成だと思っています。
ちょっと気羞しいですが...ありがとうございます。

> 前回「春に...」の プレスリー「輝く日を仰ぐとき」も何か書きたかったです
「アメージング・グレイス」もプレスリーが歌うと黒人霊歌風に...。
そこには もう一つのプレスリーがありますね。

> 敬愛する先輩が旅立たれたとのこと。別れはいつも寂しいものです。
その方ではありませんが、或る先輩から贈られた言葉に
『良い笑顔をすればよい笑顔が返る。良い挨拶をすれば良い挨拶が返ってくる。
 良い仕事をすれば良い人生が待っている』と。
私はこれに『良い別れがあれば幸せな出会いが待っている』と。

> 2019-3-4「やがて来る春に 太陽の光を浴び薔薇の花を咲かせることを」も拝見。
「The Rose」... 素晴らしい歌です。

> 私は感性が弱いせいか、この日のも今日のも...繋がらないところがあります。
どうぞ 感じるまま 受けとめられるままに!
繋がるものが少しでもあればそれはそれで嬉しく、
たとえまるで繋がらずとも それはそれで読んでいただき嬉しく...。

> 2019-2-10「レクィエム ... 転移」も斜め読みしました。
栗本薫(中島梓)さんのその書を読んでいただければ!とは思います。
でもこのブログ記を訪ねお読みくださっただけでありがたく思っています。

> 向田邦子さん...『阿修羅のごとく』しか知らないので軽いショックを...。
知れば知るほど 小父さんもきっと「なんて粋な方なんだろう」と(笑)

> うわぁー、以下も深いです。「爪」いいですね~。
向田邦子さんが聴かれた「爪」は どなたが歌われた「爪」か...。
様々な方がカヴァーされていますからね。

> 貴兄のこのページ格調が高すぎて、私が訪問するには10年くらい早い...
くれぐれもそんなこと仰らないで下さい(今!隠れる穴を探しています)

プレスリー「Amazing Grace」
https://www.youtube.com/watch?v=B3XdXEJEI4E
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Re : 夢子さん「淋しいですね」 (デ某)
2020-03-05 01:25:51
夢子さん
コメントありがとうございました

> 季節は巡り、誰かとの別れに直面する。
季節は巡り 人は巡り 出会いがあって別れのときがくる ... 諸行無常です。

> 明日は我が身か、凡人さんか・・・
> そんなことを考えない日はないくらいの毎日です。やっぱり夢子はちょっと変人ですね。
明日は ひとしく いつか 誰にも!
夢子さん 凡人さんの影響でしょうか 薫陶によるものでしょうか...
とても哲学的でいらつしゃいます。

> 静かな部屋でポツンと一人でいると、
> 心が楽な方?にかたむいていってしまうのです。会いたくなってしまうのです。
夢子さんの天性の楽天性かと...。
ひとは時にそれを「天然」と言いますけど そんなことはありま...す。

> 強くなりたい!!前向きに生きたい!!
きっと天然に、否! 自然に 強く前向きに生きてはると思いま~す!

> 夢子に教えてくださった本ですよね。
> 時間の余裕ができたら読んでみようかなあと今思っています。
はい。時間にも心にも余裕のあるときに!

新型コロナ... くれぐれもお気をつけください。
無闇に出歩かず「深窓の箱入り奥様」としてゆったりお過ごし下さいね
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