デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

腎ガンのメモリー 1 (発見~手術)

2013-09-21 17:07:05 | 腎ガンのメモリー

 はじめに

 国民の二人に一人がガンを患い、三人に一人ががんで亡くなる時代です。当然、誰しもガンを怖れています。なのに・・・不思議ですね、「自分はガンにならない」と思っている人が多いのだそうです。そして私も(根拠もないのに)そう信じていた一人でした。

 ガンはある日突然やって来ます、胃ガン・肺ガンなどポピュラーなものから腎ガン・虫垂ガンなどレアーなものまで・・・。がんの出来る場所により医療は大きく異なり、比較的レアーとされる腎ガンに罹られた方にこのメモリーが幾らかなりお役に立てば幸いです。

 (1) 発見、告知まで…が~ん!と言うことはなく冷静に

 2010年秋、ある方を「偲ぶ会」で胸がザワザワ。脈をとるとはっきり!飛んでいました。掛りつけ医に紹介された病院で検査を受けると、「いわゆる不整脈(期外収縮)ですが、危険なものではない」と診断されβブロッカーの服用を始めました。

 翌年6月、掛りつけ医から「胸腹部CTを撮りませんか」と勧められ単純(造影剤ナシ)CTを撮りました。結果は「腎臓に腫瘍があり、要精検です」。否応なく受けた精密検査で「3cmの腫瘍です、悪性か否かは細胞診で確定します。たぶんガンです」と。

 いつ頃からガンが「皆告知」になったのか・・・実に淡々と事務的に告げられました。しかし告知されても意外なほど冷静でした。私が冷静だったのは、「ガンなんてあり得ない」と言っていた妻が、私になり代わり?周章狼狽し、動揺した所為かもしれません。

 (2) ガンになってラッキー?

 腎ガンでは「~7cmをステージ1(T1)、ステージ1は更に前期(T1a…~4cm)、後期(T1b4~7cm)に分けられます。ステージ2ぐらいまでは血尿、痛みなど自覚症状は殆ど現れないため発見が遅れ、突然!末期が判る例が多い所為か、「難しいガン」とされています。

 腎がんは、三大療法のうち化学療法、放射線療法が効かず、選択肢は手術に限られます。肺や骨に転移していれば結構!難しい状況です。しかし診療機会と医療(検査)技術が進み初期に発見される例が増えました。それに伴い当然!寛解も増えています。

 私は初期に見つかりましたが(T1a)、不整脈がなければCTも勧められず、自覚症状のないままステージ2(7cm超)、ステージ3(周囲組織浸潤)、ステージ4(転移)と進んだでしょう。不整脈があってラッキー! 早期にガンとわかってラッキー!だと思っています。

 (3) セカンドオピニオンと病院選び

 検査を受けた病院は人口36万人の市で1、2の大病院なのに「腎がんの専門医は私一人、手術はウチでは出来ません」「他の病院を紹介します」と。当惑し、隣市で泌尿器科医院を開業する私の中・高時代の親友に電話で助言を求めると、「すぐ来い」と。

 彼の出身医大の後輩が泌尿器科の准教授で、腹腔鏡下(内視鏡)手術の権威の由。「では紹介を」となり、その場で准教授の携帯に電話をかけてくれました。「先輩のご紹介なら喜んで引受けます」との声が聴こえ・・・親友にも巡り合わせの幸運にも感謝しました。

 私の例は、セカンドオピニオンと病院選びの参考にはなりません。ただ私は腎がん手術、腹腔鏡下手術に定評のある病院、医師を予めネットで把握していました。紹介された准教授も事前にマークしていた一人です。病院(医師)の事前リサーチは必須です。

 (4) 主治医にご対面!

 病院(医師)との出会いは、或る意味、人生を左右します。2011年6月、紹介された大学病院の泌尿器科に妻と参りました。診察室に入ると准教授は笑顔で「M先生(私の親友)から伺っています。最善を尽くします」。それだけで不安が解け信頼が生まれました。

 最初の病院から検査データ(CD)が送られ、再(追加)検査は短時間で済みました。数日後、「初期の腎ガンです。稀に良性の場合もありますが、手術が必要です」と。更に腹腔鏡下手術か開腹手術か、全部摘出か一部摘出か・・・など詳しい説明がありました。

 腫瘍は小さくても動脈に近く慎重な手術が必要なことなど、絵を描きながらの丁寧なインフォームド・コンセントでした。約30分・・・「腹腔鏡下で部分切除、状況によって開腹あるいは全摘に切替える」との結論。心から信頼し「先生にお任せします」と。

 (5) 入院まで(ちょっと脱線します)

 入院・手術は「概ね1か月後」と決まり、その間、出血に備え自己血の貯血(400cc)、麻酔医からの説明、入院に際しての準備・留意事項の説明を受けました。その間、平常通りに仕事をし、併せて入院・手術に伴う挨拶、引継ぎ、打合せ等をしました。

 入院・手術は人生で2回目です。最初は社会人1年目の秋、扁桃腺全摘手術でした。こじらせて高熱を繰返し入院~手術~退院に2か月。学生時代からの下宿で一人暮らしでしたから、カノジョ(現在の妻)に何かと世話になり、未だ頭が上がりません。

 手術の1週間前、医師から携帯にメールが入りました。手術は7月27日、入院はその前日、個室希望の有無など。それから入院までの一週間は、喩えはきわめて不適切でしょうが、処刑直前の人はこういう心境なのかも・・・と思ったりしました。

 (6) 入院の日・・・お酒はぬるめの燗がいい 女は無口なひとがいい 

 仕事は、入院3日前の金曜日(23日)にキリをつけ、同僚から温かい激励を頂きました。土日は「暫く行けない」温泉に日帰りで出かけたり、シマジロー(猫)と遊んだり、好物のご馳走を頂いたり、入院セットを荷造りしたり・・・して過ごしました。

 入院の日、スーツケースを引き海外旅行にでも行くように家を出ました。タクシー、電車、タクシーと乗継ぐ間、落ち着かず心がざわざわ。八代亜紀「舟唄」・・・お酒はぬるめの燗がいい/女は無口なひとがいい・・・無口な妻を有難く思いました。

 受付の後、泌尿器科病棟のナース詰所へ。担当看護師さんに個室に案内され説明を受けました。妻が帰った後、歯並び矯正中の美しく、少し若い(笑)担当看護師さんからヘソ掃除など羞かしい儀式の洗礼。シャバはまだ勤務時間中に最期の晩餐?を頂きました。

 (7) 処刑台?のエレベータ 

 折角の晩餐も消化吸収される午後9時頃、担当看護師さんが来室、にこやかに「すみませ~ん、浣〇させていただきますね~」「は、はい、ど、どうぞ」。「初めてですか?」「は、はい、どうも」。そんな会話だったか、そんな浣〇、否、そんな感じ・・・。

 その後「眠剤、出しましょうか?」「はい」。翌朝、別の美しすぎる看護師さんが「眠れましたか?」「はい、お陰様で」。「では浣〇しますね~」「えっ?昨夜しました」「直前に、も一度ですぅ~」。「し、知らんかった」「でも、しますぅ~」。

 午前9時。妻に送られ看護師さんと手術室まで歩き、処刑台、否、手術台に。寝かされるや麻酔をかがされ1、2、3、4、5・・・。後に小説に書くため手術室を観察したかったのですが、アッ!という間に意識喪失、小説に・・・書きようがありません。

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4 コメント

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1番のり? (SORA)
2013-10-01 00:28:39
コンバンハ~デ某さん!

早速mおっ邪魔します(笑)
デ某さんは、ブログはされないのかしら・・・?と首を長くしてお待ちしておりました。
デ某さんのことだから、ブログはされていなくても今までの経緯はきちんと綴っていらっしゃった事とお察ししていました。改めて手術のことなどブログに記されながら感慨深く思いだされたのではないでしょうか。

デ某さんならでは旅の話ユニークなセンスで素敵なブログになさってくださいね。
また、病気の方では色々と参考とされる方が大勢いらっしゃると思いますのでデ某さんの観点からアドバイス等期待しています。

デ某さんのブログライフが、楽しいものでありますよう・・・ますますのブログでのご活躍お祈りしております。

私のブログにBOOKマークさせてくださいね。
これからも よろしくお願い致します。
返信する
心強く思いました…Re:一番乗り? (デブと某医)
2013-10-01 08:17:20
soraさん

お訪ねくださりありがとうございます。

> デ某さんは、ブログはされないのかしら・・・?と…
実はその気は「まったくなかった」のですが、
soraさんのブログに刺戟され…むらむらっと(笑)

> されていなくても…経緯はきちんと綴っていらっしゃった事と…
> 手術のことなど…感慨深く思いだされたのではないでしょうか。
仕事に使っていたメモ帳に入院時から何かと記録していました。
でも時系列に記憶を甦らせることに使っただけでしたね。
「がんで入院手術」「仕事からリタイア」と人生の大きな節目の年、
一つ一つの出来事が記憶に鮮明に刻まれていましたから…。

> 旅の話ユニークなセンスで素敵なブログになさってくださいね。
旅行記は旅をしないことには書けません(笑)
その意味でもせいぜい旅に出なくてはなりませんね、
時間の自由度は無限大に広がりましたから…。
尤も、懐の自由度は低下する一方ですからねぇ(泣)

> 病気の方では色々と参考とされる方が大勢いらっしゃると思います
> デ某さんの観点からアドバイス等期待しています。
まだまだ「参考にさせていただく」ことばかりですけど、
勿論!私の体験、記録がお役に立てるのは望外の幸せです。
そう思い、これまでの感謝をこめて…と思っています。

> デ某さんのブログライフが、楽しいものでありますよう…
> ますますのブログでのご活躍お祈りしております。
ありがとうございます。soraさんを目標に励みます。

> 私のブログにBOOKマークさせてくださいね。
この種のことにどうもなれなくて…。
しばらく失礼させていただくかもしれませんが、ご指導ください。

なお、コメントについてですが、
旅行記のサイトで知り合った「讃岐おばさん」と仰る方が一番乗りでした。
soraさんに訪ねていただきほんとうに心強く思いました。
soraさんのますますのご活躍をお祈りします。

 デブと某医
返信する
2番が似合うようです! (SORA)
2013-10-01 15:42:02
今、コメントの返信があるかなぁ~と覗いたところ
コメント1番乗りだったと思っていたら”2番”でした(笑

どうも私、何でも1番にはなれないようで
今日も仕事が休みでジムへ行ってきたのですが、今月ジムで行われている「年代別の握力コンテスト」というのに参加してきましたが、30~40代女子の部で2位でした(笑)
1位は、ジムのスタッフさんでした。
どのくらいが年齢の平均握力か知りませんが、周りの方に
「凄い!今月いっぱい測定だから1位狙える!」と言われてきました^^;;
女子で握力が強いって、何だか力持ちみたいで恥ずかしいですが、癌を患った者でも健康な人より凄い!って心の中でガッツポーズしちゃいました(笑)

昔からですが、私は何でも1番にはなれず影に隠れた存在が似合うようですというか、陰に隠れているほうが落ち着きますね~

私事になりましたが、これからも宜しくお願いします

返信する
地味に歓んでいます (デブと某医)
2013-10-01 17:31:44
> コメント1番乗りだったと思っていたら”2番”でした(笑)
> どうも私、何でも1番にはなれないようで…

私は学生時代を終わるまで2番も3番も縁がなくベッタ!から〇番!ばかりでした。
勉強であれスポーツであり芸術であれ…1番になる方って凄い!ですよねぇ。
仕事ではそれなりに1番になったりして…「自分らしくないけど悪くないなぁ」と…(笑)

> ジムで行われている「年代別の握力コンテスト」というのに参加してきました
> 30~40代女子の部で2位でした(笑)
凄い!じゃないですか!
ジムのスタッフさんが1番はルール違反ですから(笑)事実上の1番です。

> 周りの方に「1位狙える!」と言われてきました^^;;
> 女子で握力が強いって、何だか力持ちみたいで恥かしいですが…
1位になったらジム使用料?タダにして貰いましょうね(笑)
恥かしい…なんて仰らずピカピカに目立ちましょう。

> 健康な人より凄い!って心の中でガッツポーズしちゃいました(笑)
soraさん、もうすでに健康人ですって!
ガッツポーズした時、二の腕に力コブできました?ポパイのような!(笑) 

> 影に隠れた存在が似合うようですというか、陰に隠れているほうが落ち着きますね~
私もそうです。
偉大なるスタンドプレイヤーを眺めつつ地味なバイプレイヤーであることを誇りとして…。
ブログのスターでいらっしゃるsoraさんとこうしてお話できて…地味に歓んでいます(笑)

ご活躍と、ご健勝を心より祈りつつ…デ某より
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