『北朝鮮制裁を安保理決議 結束示すも石油禁輸は見送り』という記事を見て、制裁が上手く進んでいない事がよく理解できた。最も重要なところで逃げ道を作っていては制裁が制裁でなくなってしまうのである。北朝鮮は、中国とロシアの間で制裁をうまく躱している。大国を上手く操ることで自国に有利に働くことを知ってしまったのだ。国連の制裁を見ても完全な制裁は何時も見送られている。
北朝鮮の息の根を止めることは出来ても、そこまでやったら中国とロシアに被害が出ることを恐れているのだ。ここまで来ると、息の根を止める制裁、即ち石油のバルブを閉めることは難しいのだろうか。若しも、北朝鮮で暴動が発生し、政府の転覆が実現したら無政府状態になってしまい、住民たちが国境に押し寄せてくることを恐れているのだろう。無政府状態にしないための手をどのように打つかである。
中国とロシアは、北朝鮮の無政府状態を無くすためにソフトランディングを考えているのかもしれない。一つは中国とロシアに近い共産主義の政権の樹立である。もう一つは、韓国との合併である。北と南の合併は出来そうで出来ない事情がある。それは云わずと知れたアメリカの存在だ。韓国はアメリカが突き放すことはしないだろう。北と南が合併する場合、どのような政権を造ることになるのか、という重要な問題がある。
そもそも、北と南が分割されたのは、選挙なのだ。当時のスターリン首相は自由選挙をすることに問題を感じていたはずだ。公平な選挙が出来ない限り、今回も、北朝鮮と韓国の合併は難しくなるはずだ。例え合併したとしても内紛で再び対立が起きて国内が混乱に陥ることだろう。朝鮮半島に統一国家を作るには一体どのような政治形態にするのだろうか。中国やロシアが主体になるのなら共産主義一党独裁国家だし、アメリカが主体になるのなら民主主義が主体の国家になるだろう。
果たして朝鮮半島に統一国家の設立は出来るのだろうか。北朝鮮の様な独裁国家に統一するとしたら、今の韓国にいる人たちは果たして我慢できるだろうか。いや、資本主義を韓国にいる人たちは捨てることが出来るのだろうか。北に近い大統領を選んで、今更「共産主義は嫌だ」というのは矛盾している。朝鮮人が望んでいる統一国家とはどのような形なのだろうか。まあ、日本人が心配することはないだろう。勝手に好きな国家を作ればいいのだから。
北朝鮮が今のまま進むことになれば、周辺国家は脅威を続けて懐いて行かなければならなくなる。いや、核兵器をちらつかせるような国家を果たして周辺国は認めることになるのだろうか。核爆弾のスイッチを握っている人間が正常ならいいのだが、そのようには見えないのだから恐ろしいのだ。
