今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

玉川温泉で放射線量を計測したら

2010年08月25日 | 計測

※本記事は日付にある通り、東日本大震災の半年前のものです。この記事を書いた私が半年後の原発事故に対してどのような態度をとったか、もし関心があればカテゴリー「東日本大震災関連」あるいはバックナンバーで当時の記事をご覧下さい※

東京の実家から出発する夏休みの温泉旅は、名古屋からは行きにくい東北地方にしている。
毎回新たな旅先にしているのだが、今回はどうしても数年前に行った玉川温泉にしたい。
なぜなら、昨年購入したガイガーカウンタでぜひ北投石の岩盤の放射線量を実測したいから。

玉川温泉といっても泊まる宿は「新玉川温泉」。
場所は「玉川温泉」から徒歩10分ほど下流にあるだけで、
同じ源泉を使っているので、強烈な泉質は同じ(「 」は宿名で、温泉はいずれも玉川温泉)。
こちらは宿代は高いが湯治宿ではなくホテル的な分、居住性もいい(ベッド、洗浄器トイレ)。

といっても客層は、やはり湯治客中心なので平均年齢は高い。
でもこちらなら私のような旅行気分の客も泊まりやすい。
「玉川温泉」の湯治客は、ご存知の通り、生きる希望を賭けて真剣に湯治しているので、
私のような温泉詣の旅人は肩身が狭い。

まずは挨拶がわりに「玉川温泉」に入浴し、
pH1.2の源泉100%の浴槽は皮膚のあちこちがヒリヒリするので、長居はせず、
さて、いよいよガイガーカウンタを持って、岩盤浴地帯に向かう。

温泉宿の通りでスイッチを入れたが、値は東京宅とたいして変わらない。
実は、昨年出版された『医師がすすめる放射線ホルミシス2 ラドン浴の実践』(インフォレスト)という本が、
私と同じ計器(Inspector)での測定をすでにやっている。
その本に値が高い地点が載っているので、そこを目指す
(同じ地帯でも1m移動するだけで値が大きく変る)。

遊歩道から外れて、まずは鳥居の方に向かう。
鳥居付近は地熱が低いため、岩盤浴には向かない地帯なのだが、
ゴザを敷いて寝ている人いつもいる(右写真)。
彼らはここが”特別な”ポイントであることを知っているのだろう。

事実、鳥居の前の広場状の所に近づくと(写真左手前)、
ガイガーカウンタのガリガリ音がにわかに激しくなり、どんどん数値が上昇する。
我がガイガーカウンタの今までの最高値は、
岐阜県中津川市のホテル花更紗の浴室内の花崗岩での1.078μSv/hなのだが、
その数値をあっさりと越えて1.430μSv/h(以下同単位)に達する。

だが、まずは地熱の高い岩盤浴地帯を測りたいので、ここに留まらずに先に進む。
岩盤浴の中心地帯は、やはり本にあるように、語るに値しないほど平凡な数値。
でもせっかく来たので、100円ショップで買ったゴザを敷いて、岩盤浴を楽しむ。

寝転がる場所を探していると、地面からの噴気に当たって足の指を火傷するほどになった。
ぞうりを履いて来たせいでもある。
周囲をみると、皆ちゃんとした甲のある靴を履いて来ている。
なるほど夏だからといって噴気地帯にぞうりでふみこむのは素人だ。

充分すぎるほど体が温まったので、今度は放射能を浴びようと、
ふたたびガイガーカウンタを片手に、歩き回る。
遊歩道脇の岩に計器をかざしていると、通り過ぎる人が「そこは値が高いの?」ときいてくる。
そのうち人が集まって来て、あそこを測れ、こちらの値はどうか、と注文してくる。
さすが玉川温泉に来る客は違う。
他の温泉地だったら、私の行為は「何やってるの?」と質問されるだけなのに。

何人かは私の後についてきて、一緒に計測数値を読む。
だが、数値の方は先ほどの記録を更新しない。
つまり、岩盤浴地帯のいたるところがラドンガスで満ちているのではなく、
そのほとんどは、通常値なのだ(むしろ硫化水素が高いはず)。

そうこうしているうちに、鳥居の近くに戻ってきた。
先ほどの記録値を見せようと、数人を引き連れてそこに向かう。
そこは岩盤が平坦に露出した場所で、寝転ぶのに丁度いい。
垂直に高い露岩よりも平坦な露岩の方が値が高い傾向であることがわかった。
つまり平たんな露岩の方が、地中の北投石が分厚いのだろう。
そこで数値を見ながら数人で感心しあっていると、
近くで寝ていた女性が「お兄さん、こっちも測って」と私を手招きする。
今や私は岩盤地帯の人気者と化した。
"お兄さん"なんて言われたのも久々なもんで、喜んで計測しにいく。
これが”おじさん”とか”お父さん”とかだったらこうはサービスしない。

その女性の場所は、2.200を越えた。
あっさり記録更新。
一緒についてきたおじさん(彼も「お兄さん」というべきか)は,
岩盤浴の所には北投石はなく、ここは川底だった所だから北投石が成長したのだ、と説明する。

彼らはこの記録更新で満足して、私に礼を言って帰っていった。
私は一人残って、地面にカウンタをかざしながら、さらに高い場所を探す。
そして見つけた。
カウンタはガリガリ音からガガガと連続音になった。
まるで放射能怪獣ゴジラがすぐ近くに居るかのようだ。
いや、科学的には、間近に居るのは、ゴジラではなく、”ラドン”の方なのだが。
そこは5.000を越えた。
ここに来る前は、0.500が出ても喜んでいたのに。

ここは同じ鳥居前でも人が集る場所(そこは2.200)から少し離れているので誰もいない。
なのでこの一人用の小さな露岩面は、この後3日間、私のラドン浴専用となった。

でも、本による最高値を示したポイントをなんとか見つけて計測したい。
本によると北投石の標柱付近というが、その付近一帯は低かった(平らな岩盤がない)。
ところが、道脇の2つの岩に囲まれた、もともとの人気スポットがたまたま空いていたので、
地面を計測したら、7.200を越えた(右写真では7.296)。
やはりここだったのか。
取り囲む岩の方は、1.000をわずかに越える程度だが、
人が寝ころぶ地面の値が凄い。
地面の下が北投石の詰まった岩盤にちがいない。
この場所はもう”ホルミシス・ルーム”と言っていい。

ちなみに、玉川温泉でも測器を貸し出しているそうだが、
国産の安物で、値がリアルタイムに出ず、しかも値が安定しないようだ。
その点、この”インスペクター”は値が安定していて、本とほとんど同じ値を示した。

玉川温泉自体は、強酸泉であり、放射能泉ではない。
そして地熱を利用した岩盤浴は、単純な温熱効果でしかない(蒸ノ湯のオンドルと同じ)。
玉川温泉に来るほとんどの客は、この2つを堪能するだけで終る。

でも、ここはそこらの放射能泉に負けないホルミシス効果が期待できるのだ。
いわゆるガンに効果が期待できるのは、塩酸でも地熱でもなく(温熱療法的効果はあり?)、放射線である。

つまり、玉川温泉に来たなら、温泉浴・地熱岩盤浴・ラドン岩盤浴の3つを堪能できる。
しかもその3つそれぞれが、トップレベルであるというのが凄い。
ほんと、玉川温泉ほど温泉地として”凄み”を感じる所はない。

ちなみに、噴気孔近くであえて長時間寝ころぶ人がいるが、
いくらなんでも硫化水素は毒にこそなれ、体にいいとは思えないんだが。

☞玉川温泉の綜合評価は「玉川温泉:最高のパワースポット」へ

 


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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
放射線量 (nakamura)
2011-07-06 21:06:20
玉川温泉で放射線量が比較的高い所は、
7.2マイクロシーベルト/アワー
ですか。

医学的にはどの程度の量がホルミシス効果が期待されるんですかね。
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ホルミシス効果 (山根)
2011-07-06 23:32:47
nakamuraさん、今は時期が時期だけに、「ホルミシス効果」について話は控えています。
なので、話すのはここだけにしておきます。

ホルミシス効果は、一般的には10~100μSv/h の間とされています(記事の単位表記が不充分だったので修正しました)。ただしこのレベルの値の場合、医師による診断と時間制限が必要で、素人が勝手に浴びてはなりません。
言い換えれば10μSv/h より低いと、ホルミシス効果が確認できない、気休めレベルということになります。
その意味で玉川温泉のあの場所は、素人が適当に浴びても問題ないレベルです。

ただラドンに関しては、4μSv/hが下限ともいわれています(ベクレルからの換算)。鳥取の三朝温泉は8μSv/hなので、効果ありということになります。
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台湾北投石 (よしえまん)
2011-07-20 11:06:42
北投石を調べていて先生のサイトにたどりつきました。実は6年前に台湾北投石たるものを購入し浴槽に入れて使ってきましたが。。この頃の放射能うんちゃらで、不安にかられ販売元に連絡したところ・・。ドロン?? 行方知れずみたいな・・。私としては ラジウムも出ないただの石ころだった方が許せて、恐れているのは物凄い放射線を出すものだったら~どうしよう~6年も被曝したのかしら~!!が、一番恐れているんですよ。どうやって真偽を調べたら良いかしら~。お知恵を拝借できませんか??
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Unknown (山根)
2011-07-21 22:29:46
よしえまんさん、たぶんその石はインチキな気がします。なので放射線の心配も無用。お金が無駄になっただけです。本物かどうかは、ガイガーカウンターに当てればいいだけです。
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硫化水素 (バンビマン)
2012-07-25 06:22:21
最近、硫化水素が梗塞などの改善に効果があることをどちらかの大学で発表したのを見ました。
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有る得る事 (山根)
2012-07-25 09:30:32
バンビマンさん、私もその記事を見ました。
青酸カリですら、医薬効果があるのだから、そういうことも有りうるかなと思います。
玉川温泉て、田沢湖の魚を絶滅させた硫酸入りの湯、原発被災地以外では最高の高い放射線、そして自殺に使われる硫化水素、これらをありがたく浴びに行く地なんですよね(この3つが揃った地はここだけ)。そして”効果”が口コミで拡がって、一年中賑わっている。すごい所です。
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ガイガーカウンター (まりりん)
2013-11-14 15:15:41
私は、関西なので三朝に行ってガイガーカウンターで測ってみたいです。
あそこも。ラドンですよね?硫化水素は大丈夫かな?

このインスペクターほしいんですが、ヤフオクは詐欺の噂もあるし、どこかで安く本物を売ってないですかね?
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三朝温泉 (山根)
2013-11-16 17:34:39
まりりんさん、私は今年の秋に三朝温泉に行き損ないました。来年リベンジします(フル装備で)。
あそこは玉川温泉と違い、正真正銘の放射能泉なので硫酸系はまったくありません。

インスペクターは原発事故以来、高値になっています。ウクライナ製のものがもう少し安いようです。
ただγ線だけでなく、α線・β線も測れるのをおすすめします。東京でもγ線は平常値ですが、軒下のマイクロスポットは福島由来のβ線が計測されます。
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この温泉は (ryokko)
2016-09-24 09:48:41
ちょっと気になったので、書いてみます。
私は平成27.9.30~平成27.10.30まで湯治したものです。
がんの治療で治らないという診断で、玉川に来ました。新玉川温泉では、とても
ひどいめにあいました。バイキングと称する、味は、みな、たくあんの味でした。
とても食べられないので、フロントにそう言いました。嫌なら食べないでください。
で、食べ物がないので、私は花輪と、田沢湖のスーパーに買い出ししました。
宿の対応に驚いて、すぐキャンセルして、家に帰りました。殺されるかと思いました。
こんな温泉が、今も生きているのが不思議です。
感想まで。






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Unknown (山根)
2016-09-30 21:01:53
確かに、ネットでは同じ宿や店なのに利用者の評価がまったく異なる場合があって戸惑うことがあります。私にとっては、食事は満足するものではありませんが、リピートするに値する所でした。人によっては、「玉川温泉」の方で自炊した方がいいかもしれません。
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