今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

中津川温泉にラドンはあるか

2010年01月24日 | 計測
後期試験も終わったので、締めの慰労として、
定宿である岐阜県東濃の中津川温泉「ホテル花更紗」にいつもより1泊多く3泊した。
ここの湯はナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉(美肌の湯)なのだが、
中津川市の多くは苗木花崗岩帯におおわれ、そこから湧く泉は、
花崗岩からの放射線を含んだラドン・ラジウム温泉となる。

前回(昨秋)の利用時は、帯状疱疹の緩和を兼ねて、
付近の日帰りラドン温泉に毎日所を変えて入りに行った。
今回も、同じく中津川のラドン温泉に入るつもりだが、計測オタクと化した私の目的は、
ガイガーカウンターを持参しての放射線量計測(ただし水中は測れず、空気中しか測れない)。

まずは、途中に、苗木城趾の入口にある「ラジウム温泉かすみ荘」に立ち寄る。
ここは民宿なので、玄関でインターホンで要件を告げ、廊下を進んでこじんまりした浴室。
幸い客はほかにいない。
ガイガーカウンターのスイッチを入れ、この機器は水に濡らせないので、片手だけを湯舟から出して入浴。
湯の出口にかざすと最高0.4μSv/hr(マイクロシーベルト毎時)に達した。
ちなみにわが名古屋宅内は0.07μSv/hrなので、その5倍以上
(機器の表示は小数点以下3桁だが、時間変動が大きく測定誤差があるので、
点1桁のみを示す)。

ホテル花更紗にチェックイン。
さっそくここの大浴場に、ガイガーカウンター持参で入る。
といってもここは放射能泉を謳ってはいないので、放射線量は期待しない。
それでも、館内・客室内で0.15-0.2μSv/hrと名古屋宅の倍あるし、浴室内は0.3を越える。
更に露天風呂の外側に配置されている岩(おそらく地元の花崗岩)にかざすと(写真)、最高0.7μSv/hrに達してびっくり。
個別の岩によって値が異なるのは、他の温泉宿で経験済みだが、このような高い値は初めて。
地元の苗木花崗岩なら、この放射線はラドンだろう。

翌日の立ち寄りラドン湯は、坂下町にある「かたらいの里」内の弱放射能泉。
湯舟の縁で0.3μSv/hrだった(あくまで本計測は空気中であって水中ではない)。
なにかもっと高い値を計測したい。
ならば、中津川市営の鉱物博物館に行って、展示されている鉱石を測りまくるとしよう。
苗木地区を走行中も助手席のガイガーカウンターは0.2μSv/hrを越えることもあった。

博物館に入ったが、ガラス越しの石は正確には測れない。
幸い、地元の苗木花崗岩が直(じか)においてあるので、
その上にガイガーカウンターをかざすと、だいたい0.4μSv/hr。
また、ガラス越しだが、展示されていた燐灰ウラン石の前では、0.7μSv/hrに達した。
さすがウラン。

最後に、館前にある大きな苗木花崗岩のペグマタイト(花崗岩の粒が粗いやつ。晶洞という結晶の洞窟ができるのが特徴)
の浅い晶洞にガイガーカウンターを立て掛けたら、
いっきょにガリガリ音が激しくなり、0.9μSv/hrを越えた(残念ながら1.0越えには至らず)。
これ、いままでの計測で最高値!
さすが苗木花崗岩。満足。

実は、ホテル花更紗の露天風呂の岩で0.7μSv/hrを出したのもペグマタイトで浅い晶洞もついていた。
ちなみに博物館に載っていた中津川温泉(つまりホテル花更紗)の成分分析では、
ラドンが58.7(×10のマイナス10乗)キュリーあり(≒0.87μSv/hr)、
ラドン温泉と名乗る最低ラインの30(×10のマイナス10乗)キュリー以上をクリアしており、
泉質として「弱放射能泉」でもあることも示されていた(平成11年調査)。
ホテルがそれを名乗らないのは、その後泉質が変わったためか(ホテル内の成分表は平成19年)。

ナトリウム炭酸水素塩泉として膚つるつるが効能の中津川温泉は、総檜の浴室Aが気に入っているのだが、
もう一つの岩風呂と称する浴室Bはタイルの浴槽なのでありがたみに乏しく、
こちらがメインの日にあたるとハズレ気分だった(その日は併設のスパ施設を積極利用)。
この浴室Bをラドンを放出する苗木花崗岩による真の”岩風呂”にすれば、
本来ある弱放射能泉を強化することになり、2種類の浴室があることの積極的意味がもてるというもの。
ちなみに浴室Bの露天風呂にも0.7μSv/hrを出す岩がある。

ただし真のホルミシス効果(低レベル放射線による総合的生体調整作用)を期待するには、
これの10倍のラドン濃度が必要で、
しかもまじめにホルミシス効果を期待する湯治は温泉療法医の指導のもとですべきである(オーストリアのハイルシュトレーンのように)。
まぁ観光地の温泉としては、若干のラドンがある程度でいいのでは。
私自身、この宿の利用目的は医学的湯治(数週間必要)ではなく、
精神的な気分転換(リラックス&リフレッシュ)だから、2-3泊でいいわけ。

ところで当地の温泉に詳しい読者なら、なぜこの付近で最高濃度の「湯の島ラジウム温泉」(ローソク温泉)を計測しないのか、疑問に思われるだろう。
あそこはちゃんと宿泊して、日帰り客で混雑しない夜間に複数の源泉をじっくり計測したいのだ。

参考資料:中津川市鉱物博物館常設展示解説書(平成11年)

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