今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

6月の猛暑の原因は

2022年06月25日 | お天気

本日東京の私設「本駒気象台」で36.9℃(12:48)を記録した。
一方、気象庁アメダスの「東京」では35.4℃と低く出たのは、観測機のある露場が涼しい北の丸公園の森林に囲まれた場所(周囲の森林が空気を冷やす)に移転してから。
※:それ以前は気象庁舎並びの道路脇にあったので都心部の気温を代表していた。ちなみに”ずるい”と騒がれた群馬の「館林」も移転後は鳴りを潜めている。

この「東京」の気温を東京都市部の代表値と見なさない方がいい(アメダス「練馬」の最高気温は36.8℃なので、本駒とほぼ同じ)。

いずれにせよ35℃をこえる”猛暑”となったのは確か。

6月のこの猛暑の原因をすかさず気候変動に持っていくマスコミの誤謬も指摘しないと。

気候変動は、(時間的、空間的に)マクロスケールの現象なので、年平均気温の短くても数十年スケールの変動傾向(トレンド)に基づいて議論するもの。
ミクロスケールの日最高気温(極値)で論じてはならない。

これは、特定企業の株価がある日のある時間帯にすごい変動(高騰、暴落)した原因を、マクロ経済現象に帰そうとする誤謬と同じ。

これらの正しくない因果推論は、東日本のとある人が癌を罹患したら、福島原発事故のせいだとする論理と同じように、科学的な推論ではなく、自分の信念に合致したものに原因を帰そうとする素朴な認知・思考バイアスにすぎない(すなわち、心理学の研究対象となる歪んだ心理傾向)。

素朴な素人ならまだしも、マスコミという公共的情報機関がこんな素朴な誤謬を犯すようでは、情報発信機関としての価値(情報リテラシー)を疑うわざるをえない。

ちなみに、過去の6月の最高気温は、本駒気象台では2020年に35.5℃、愛知の日進気象台では2011年に36.6℃を記録している。
これらの地で毎月の最高気温を私はデータ化しているが、たとえば6月の最高気温による気温上昇の経年トレンドは確認されていない。
これは気候変動(温暖化)の否定ではなく、気候変動自体は最高気温(極値)ではなく平均気温(全変動の重心)で論議すべきだからだ。
すなわち科学的(最も洗練された)推論は正しいデータに基づかなくてはならない(大学でこういう教育をしているのだが…)。

ちなみに、著しい高温に対する、気候変動よりももっと小さいスケール(時間的、空間的)での原因としては、ラ・ニーニャ、日本付近の気圧配置、ヒートアイランド、フェーンなどがある(それぞれスケールが異なる)。
気象関係者は、異常高温についてはまずフェーンから疑う。
本日の気圧配置は、”梅雨明け直後”の様相と等しい。

追記:同日、群馬県「伊勢崎」で40.1℃〔15:20〕を記録した(6月の最高気温の記録)。
こういう記録的な高温はたいていフェーンによるもの。
14−15時の伊勢崎は西風(5−6m/sと結構強め)だったので、上信国境(関東山地・浅間山)の山越えの(乾いた)フェーンによる昇温といえる。