今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

箱根へ噴気を見に行く

2015年05月25日 | 東京周辺

今回の帰京の第一目的である箱根に行ってきた。
大涌谷の様子を見に行くため。

もちろん、立入禁止なのは知っている。
だから、遠望と周囲の探索で我慢する。

なぜそうまでして行きたいかというと、サーモグラフィで地熱を確認してみたいから。
すなわち計測マンの血がうずくのである。

小爆発の危険に備えて、車の運転時に使用している帽子型のヘルメットを名古屋から持参。

箱根に行く時は自然と小田急のロマンスカーを使う。
箱根は別荘地と高級旅館と美術館がひしめくちょっとグレードの高い観光地なので、新宿からその気分にひたりたい。 

ただ箱根湯本からは、きっちり節約して、登山鉄道やケーブルより安上がりな路線バスで目的地に向う。

西武系の伊豆箱根バスで、早雲山の先の「上湯」で降りる。
ここは大涌谷の麓で、さっそくバス停前の道路脇の斜面から湯気が出ている。
サーモグラフィを照(ア)てると、50℃を表示した。

持参したメットをかぶり、さらに道路を進むと、水道管理の広場をすぎる左側の木立の中に噴気がモウモウと上っている場所がある。
ここだ。ここが現在唯一立寄れる噴気スポットだ。
サーモでの温度分布を示す(右画像の上がサーモ画像で十字記号の白い部分は68.4℃を示す。
下が同じ場所の写真画像で、サーモで同時に撮れる )。

山腹一帯の地面から噴気が雲のように湧き出し、樹齢100年以上ありそうな大木を枯らしている。
ということは、最近になってこのような状態になったわけだ。
硫化水素の臭いはないので、大胆に近づいてみる。 

不気味に口をあけた噴気孔にサーモを照てると 90℃を越えた。
ただしサーモが測っているのは地面であり、噴気そのものではない。

戻ると、私のような身なりをした中年男性が「いつも来ているのか」と声をかけてきた。
「初めてだ」と答えると、彼は毎週見に来ているという。
彼によれば、ここの噴気は、四年前の3.11以降から出現し、最近になって拡大してきたという。彼に伴って、 水道管理の広場に行くと、噴気帯の全貌が見わたせる(写真)。
彼は写真を撮って帰ったが、私はさらに噴気帯に近づき(マネしないでね)
、あちこちにサーモを照て、地面を手で触れてみる。

玉川温泉(秋田県)の岩盤地帯の熱さと硫黄臭さに比べるとたいしたことはない。 
ただし山体が膨張しており、爆発の危険性はこちらの方がありそうだから油断は禁物。

これで来た甲斐があった。
ただ、谷の西側も見てみたいので、通行止めになっている大涌谷への分岐を
通過して姥子(休止しているロープウエイ駅がある)まで行く。

姥子の船見岩に登って大涌谷を遠望すると、黒卵を売る小屋あたりのいつもの噴気(写真中央)の左に、別の噴気帯が広がっているのが見える。この噴気帯の左の延長上にさきほどの上湯の新しい噴気帯がある(5月5日の記事「気になる箱根の火山活動」の写真とも見比べてほしい)。ちなみに写真右側の峰が箱根で一番最近に出現した冠ヶ岳。

ニュース映像になっているのは造成温泉設備がある大涌谷の東斜面だが、あそこは立寄れず、その上をヘリコプターが舞っている。
気のせいか時たま地鳴りのような音がする。 

姥子からバスで往路を戻った。
休止しているロープウエイは小田急系なのだが、その代行バスが走りたい道路は西武系の縄張り。
いつもはライバルとして箱根を棲み分けている両社だが、代行バスは呉越同舟よろしく両系列のバスが走っていた。

バスに乗っている間に、埼玉で震度5弱の地震があったらしいが、まったく気づかなかった(携帯に緊急地震速報が通知されていた)。
そもそも箱根では地震は日常茶飯事。

箱根は文字通り”活きた”火山博物館だ。
温泉と美術館だけではもったいない。
さまざまな山中の火山地形を探訪してこそ
、箱根を真に堪能できる。