◎ 小川村のマンホール蓋には銀河鉄道をイメージしたであろう蒸気機関車が描かれている。下の鳥かごのようなものは小川天文台。外周に星が並び、星空のロマンを感じさせるデザイン。
◎ 小川村のマンホール蓋には銀河鉄道をイメージしたであろう蒸気機関車が描かれている。下の鳥かごのようなものは小川天文台。外周に星が並び、星空のロマンを感じさせるデザイン。
■ 隣家の柿の木のヒヨドリを観察する。ヒヨドリはなかなかシックなデザインだ。全体をグレーでまとめ、アクセントに目の後ろを茶色にしている。
今日の午前中は何羽も飛来して、色づいた柿を啄ばんでいた。既に半分も無くなっている柿がある。
鳴き声はカラスのカーカー程単純ではないが、ビービー、ピーピーと聞こえる。彼らはとにかく元気がいい。
◎ 北安曇郡池田町の農集排のマンホール蓋。ハーブのカモミール(キク科)の花を外周に、北アルプスとカエデ、特別町木のシラカバを内にデザインしている。枠にはVパターン。
火の見櫓370
生坂村下生野にて
◎ 長野県内77市町村を巡り、背景に火の見櫓を配してマンホール蓋の写真を撮るなどという意味不明な企て。この組み合わせができない自治体もあるかもしれないが、できる限り。
生坂水鳥公園のカモ。動物を描く多くのデザインがそうであるようにこのカモも左向き。
660 東筑摩郡生坂村下生野 後方の建物は生坂南部交流センター
■ 細身で逓減が小さい。従って末広がりのカーブもごくなだらか。もう少し逓減率が大きくてカーブもはっきりわかるのが好み。4角形の櫓に4角形の屋根、同見張り台という一般的な組み合わせ。
屋根を受けるフレームの構成が分かる。半鐘は屋根下、中央に吊り下げてある。木槌とともに裸電球も下げてある。
手すりの飾りはあっさりとしたもの。
脚元にも半鐘を吊り下げてある。柱がこの山形鋼で大丈夫なのは、柱4本の共持ち効果だろう。そう、火の見櫓は
下から上まで立体構造なのだ(って、構造のことはよくわからないけれど・・・)。
■ 毎年秋になると南木佳士の作品を読みたくなる。『冬物語』を再読した。
**時の流れとは、老いと病と死だけを運んでくるものなのか。**(「空の青」44頁) こんなくだりが沈んだ心に同調する。
本書に収録されている12編の短編の中では「ウサギ」が好き。
**「ウサギは淋しいと死んじゃうってのはほんとかなあ」**家族との夕食の席での会話から、主人公の私は小学生の時の出来事を回想する・・・。
**「(前略)あなたさえいなければ、私はこのクラスで理想の教育ができると思うのよね」**(124頁)と、担任が涙を流した。問題児ではあったが、学業では誰にも負けないつもりでいた私。
四年生の秋に転校生が来た。清子という名前だった。容貌の愛らしさだけでなく、学業成績でもクラス全員の注目を集め、体育で五十メートル走をやれば新記録。
ある日私は清子にいたずらをする。学校で飼っていたウサギを清子のランドセルの中に入れたのだ。清子は全く気づかずにランドセルをしょって下校していった。
予想に反して、何もなかったかのように清子は振舞う。彼女のふところの深さに対する憧れの念。初恋だった。
中学にあがる春、清子は転向していった。
やがて東京に出て進学校と呼ばれる都立高校に進んだ私。浪人して通い出した予備校で私は清子と再会する。張り出された模試の成績優秀者に清子の名前があったのだ。
**「だから、とてもなつかしいんだけど、こうして会うのは今日だけにしましょうね」**(132頁) 一回だけのデート。
**清子が帰りを急いだので、二十分そこそこで喫茶店を出て御茶ノ水駅で別れた。東京方面に向かうホームで清子は一度だけ手を振った。とってつけたような笑顔が、なぜかとても淋しそうだった。**(133頁)
春が来て、清子は東京の難関大学の医学部に合格、私はようやく東北の新設医学部へ。
医学部五年生の冬休み。帰省した私は小学校の同級会に出席する。**「なあ、中川清子っていうかわいい女の子がいたんべ。あれ、去年の夏、神奈川の海で死んだっつうぞ」**
**「ウサギは淋しいと死んじゃうっていう話だけどなあ、そういうのってたぶんあると思うよ」**(137頁)
好きだなあ、こういう淋しい小説。
■ 9月に読んだ本はこの6冊。
『偶有性操縦法 何が新国立競技場問題を迷走させたのか』磯崎 新/青土社
筋を通せ!と磯崎さんは言いたいのであろう。新国立競技場問題のドタバタ劇、その迷走ぶりを批判的に論じている。この問題に関してはかなり手厳しい。設計施工一体型にされてしまったことで、長い努力の末に確立しつつある建築家という職能を失いかねない状況に陥ってしまった。
改めて提出された案は**あっけにとられる程の素朴きわまりないプログラム直訳建造物になり下がってしまった。アイロニカルな「負ける建築」ではなく、リテラルに「負けてしまった建物」といわざるを得ない。**(191、192頁) ここまで書ける人は磯崎さんをおいて他にいないだろう。彼は腹を括った。
『海辺の光景』安岡章太郎/新潮文庫
1976年10月の初読、40年ぶりの再読。海辺の病院に入院中の母を見舞う信太郎。看病しながら病室で過ごした9日間。美しい光景を見ながら、来し方を回想する。
『虹の岬』辻井 喬/中公文庫
人生をかけた老年の恋
『いかめしの丸かじり』『アンパンの丸かじり』『レバ刺しの丸かじり』東海林さだお/文春文庫
東海林さんの観察力、洞察力、そして文章表現力に脱帽。アンパンを食べるとき茶色い表を上にするのはなぜか?