今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

御用納めはPEN-Sでしょうの巻

2022年12月25日 20時30分00秒 | ブログ

これが直接のお客様カメラの御用納めになりますかね。PEN-S か2台ですけど、どちらも現役ではなく、恐らく10年単位で放置されていた個体てしょう。

 

シューが陥没していますね。ここの材質は曲がりを戻そうとすると折れてしまうのです。トップカバーにもメッキの腐食が目立ちます。

 

本体の内部も汚れ放題です。すべて洗浄をしてから組み立てて行きます。

 

 

洗浄を終えました。やはりクロームメッキ層が手遅れ気味です。では組み立てて行きます。

 

2台の状態は「昔カメラをやっていたような・・」まぁ、そんな状態でまともには動きません。まぁ、どうでも良いですけどね。コパルの#000番シャッターは薄く設計してあるので地板のの部分が弱くクラックの入っている個体もありますから注意して点検してから組み立てます。

シャッター自体は特に摩耗も無く問題はありませんでした。シリアル№#4028XXのシャッターはコパルにての製造、昭和39年4月です。

 

モルトを貼って本体側の組立はほぼ終了。この個体ではスプールはグレー色です。また、巻き戻し軸の設計は上下ガタを専用ワッシャーで調整する旧型のダイカストボディーです。

 

シャッターダイヤル(カム)をつけてレンズを取付けて行きます。

 

 

裏蓋の圧板のメッキが曇り気味でしたので研磨して取付けてモルトを貼って完成。

 

 

こちらは2台目 #4158XXと1台目より少し後の個体です。トップカバー横に陥没痕と留めネジが欠落していますが、こちらの方が程度は良いようです。

 

同じように作業をしてシヤッター完成。昭和39年6月の製造です。

 

 

ファインダーは汚れ放題なのですべて分解して清掃後に接着をします。あら、急がないと今年中に終わらない・・

 

オーナーさんのご希望により駒数ガラスは両機とも当方オリジナルの新品と交換をしてあります。

 

こちらの個体は巻き戻し軸周辺が設計変更を受けています。こちらの方式でやっとワッシャーによるガタ調整から解放されました。生産の効率化です。

 

駒数ガラスが新品だと気持ちが良いですね。の打痕を修正しての欠落ネジは頭丸の専用ネジですので純正を使いました。また、のスプールはモールド色が黒に変更されています。短い期間に色々な変更を受けて生産されていることが分かります。

こちらのレンズはやけにきれいに清掃されています。後玉のコーティングは拭き取られています。このレンズはオリジナルではないかも知れません。

 

めでたく今年中に2台現役復帰です。PEN-Sもコンデションの良い個体が少なくなって来ましたので世の中に戻せて良かったです。まだまだ大晦日でも作業は続きますが、ブログの更新としてはこれで今年は終了とさせて頂きます。今年はローライ35系のUPが増えたせいか、いつの間にかブログの閲覧数も増えておりましてgooブログ中でも上位となり有難い限りです。今年も一年お付き合いを頂きましてありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。皆さまも良いお年をお迎えください。

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これは厄介ローライ35Sの巻

2022年12月25日 14時30分00秒 | ブログ

あっという間にクリスマスかぁ、私には関係はないですけどね。ローライ35系もいろいろなコンデションで私のところにやって来ますけど、このローライ35Sブラック #2387XXXはちょっと厄介な予感がします。トップカバーにへこみなどはなく基本的には悪くはないと思いますが、保管の状態が悪いです。外観のメッキ部品はすべて腐食が出ています。う~ん、困ったね。

当然、裏蓋の底部も同じ様な状態です。

 

 

意外に露出計が動いたのはラッキーでした。その他はファインダー、レンズ汚れ。シャッター低速不良など定番の不具合がありますのでメンテナンスをして行きます。

 

まず、トップカバーの洗浄と交換できる光り物は交換します。

 

 

一番気になったのは、沈胴部のグラつきです。フェルトも摩耗しているのですが(交換しました)、異常に首を振ります。また、沈胴のレンズ収納ボタンを押さなくてもレンズが回転してしまいます。これはおかしい・・。

 

沈胴チューブのロック爪が折れて無くなっていました。無理な操作をされた個体に稀に起きています。これは交換する以外に方法がありません。ローライ35ならストックは多くありますが、35S用はあまりストックがありません。

 

仕方がありませんのでジャンクではない個体から借りて来ました。12時位置の爪です。

 

露出が失敗していますね。シャッターとレンズをすべて分解をして清掃しておきます。レンズはチリは多いですが程度は悪くはありません。

 

完成したシャッターユニットを搭載してトンネルを取り付けます。

 

 

トップカバーを取付けて巻き上げレバーを操作すると金属の擦れる音がする。トップカバーを外して巻上げると全く音はしない。原因はチャージギヤがトップカバー(天井)と接触をしているためでした。チャージギヤが樹脂の場合は気にならないのです。なぜ天井に接触をするか? のトップカバーを支えるプレスのレバーが押されて下降気味に変形していたため。ローライ35の初期ではアルミの別部品がカシメめられていましたが。ローライ35Sでは工程の簡略化によりプレートにプレス加工でレバーを付けているため使用過程で変形下降してしまうのです。

巻き上げレバーの留めネジは緩みやすいですから必ずネジロックを塗布します。化粧ネジは交換します。

 

底部の巻き戻しレバーは洗浄研磨で、開閉レバーは交換します。

 

 

元は悪くはない個体でしたので不良部品の交換で良い個体となりました。

 

 

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きれいなPEN-Fの巻

2022年12月21日 21時00分00秒 | ブログ

 

そろそろPENが集まって来ましたのでPEN-Fをやっておきます。#1998XXと巻上げ機構などが改良された良い時期の個体です。外観もきれいで、あまり使用された個体ではないです。未分解とも思いましたが、アンダーカバー裏に修理記録のラベルが貼られていました。何をしたのでしょうね。

フィルムレールもそこそこ腐食も無くきれいです。やはり、あまりフィルムを通していませんね。

 

トップカバーを開けてみると・・接眼枠右の劣化したモルトが取り除かれています。全反射ミラーを清掃したようです。

 

プリズムのコーティングがひどい汚れです。これは清掃をするとコーティングが剥離する可能性があります。

 

ダイカストボディー他を洗浄しました。では組み立てて行きます。

 

 

スプロケットは樹脂になっている頃で、樹脂がくすんでいましたので軽く研磨をしてから組み立てます。

 

スプール軸を組み立てます。

 

 

シャッターユニットも摩耗は少ないです。チャージギヤを分解清掃をしてグリスを塗布して組み立てます。

 

シャツターユニットをボディーに搭載しましたので裏蓋を取り付けます。(シャッター幕の保護)

 

問題はブレーキです。まったく利いていません。分解をするとOリングの破片が出て来ました。

 

Oリングホルダーの内周が激しく腐食をしていてOリングも切れています。切れるのは珍しいです。これではブレーキは機能しません。

 

腐食の内径を研磨すると寸法が変わります。それを合わせてOリングの寸法を合わせて行きます。バイクのドラムブレーキのブレーキシュー交換時にアタリを合わせるのと一緒です。

 

ちょうど良い抵抗に調整をして組み立てます。

 

 

これでシャッターは完成。あとは前板関係をやります。

 

 

トップカバーだけでなくシボ革も剥がされていましたね。硬いもので無理に剥がして傷が多いです。私はこのような傷は付けません。古い接着剤を取り除いておきます。

 

この個体のような状態のプリズムのコーティングはアルコール系のクリーニング液を使用してはいけません。全部剥がれてしまいます。使用する中央部分は辛うじて残ったという感じ。

 

Fはプリズム面がピント面になります。見えるかな? のところに菌糸状のカビがありますので清掃をしておきます。

 

接眼プリズムは外気に近いのでコーティングのダメージが大きいです。こちらもアルコール系では剥がれるので非アルコール系の使用により剥離を免れました。

 

全反射ミラーにもカビがあります。この程度であれば清掃できれいになりますので再使用とします。

 

前カバーを取り付けてシャッターダイヤルをセットしました。シボ革を接着します。

 

値札のようなラベルが貼られています。修理記録でしようね。

 

 

フリクションの増大により、ミラーがアップで停止するという状態の個体でした。現状の作動は良好となりました。

 

 

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シンガポール製のローライ35の巻

2022年12月20日 16時00分00秒 | ブログ

すみません。オークションで中古のアルミホイールを入手しまして、それに新しいタイヤを履かせに行ったりして時間を取られて作業が進んでいません。中古店様からのローライ35のご依頼は、どうしても商品性から初期型のドイツ製(ジャーマニー)が多いわけですけど、私はカメラを製造していた経験から、製造移管先のシンガポール製が劣っているとは思いません。部品の製造もシンガポール製となった後期の個体は分かりませんけど・・稀にシボ革の表面がベトベトになって蝋のように溶けだしている個体もありますからね。まぁ、所有者としてはMADE IN GERMANY BY Rollei の彫刻に満足感を得る気持ちは理解出来ますけどね。この個体はシンガポール製#62049XXと随分と後期の個体ですが、巻上げギヤの腐食を見ても状態はよろしくなく、特に巻き上げが非常に重い傾向にあります。その他、定番の不具合がほとんど出ています。

ファインダーの汚れ(クモリ)も進んでいますのでレンズを分解して清掃をして行きます。

 

これも多い不具合。レリーズピンがグリスの硬化により張り付いて抜けて来ません。先日、他の個体で同じ状態の時にレリーズで無理に押しましたら布表皮からワイヤーが飛び出してきてレリーズを壊してしまいました。愛用していた15cmの短いレリーズは現在は手に入らないので困りました。今回はピン抜きで叩き出します。

ブラックモデルには仕様が異なるものがありますね。上下カバーの材質がアルミ製で、それに梨地を打ってから黒アルマイトを施した仕様と、この個体のようにトップカバーはアルミ製ですが裏蓋底部は真鍮製で、どちらも塗装を施してあります。真鍮製の場合は塗装をすることになるので、トップカバーが黒アルマイトでは見栄えが変わってしまうので塗装をしてあるのだと思いますが、あるいは裏蓋が別の個体の部品だったりして・・この辺りのお話は研究家の方でないとリペアマンの私には分かりません。アルミ製のため、特に窓枠部分は軽い打撃でも変形をしてしまいます。軽く修正をしておきます。

時代が新しい分、シャッターユニット(レンズ)の状態は悪くはありません。レンズのチリは大量にありますけど。シャッターは羽根を駆動させるバネはここにあります。

 

個体によってセッティングリングの入っている枚数(厚み)が異なりますが、この個体は2枚ですが、多い場合は4枚ほど入っています。0.10mm.0.15mm.0.20mmの組合せで厚みを調整。

 

普通は取れることはないですが、この個体の場合はフィルムインジケーターのプレートが接着剥がれでクルクル回ってしまいます。危なく見逃すところでした。接着をします。

 

部分の塗装剥離部分にアルミ地が見えます。

 

 

裏蓋底部の塗装剥離部分。真鍮地が見えます。

 

 

Tessarレンズの製造番号記載が無くなり、Made by Rollei となったのは、少し間が抜けた印象ですね。巻上げも断然軽くなって良い個体となりました。

 

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ローライフレックスTの巻

2022年12月17日 21時00分00秒 | ブログ

ローライフレックスTはローライフレックスとローライコードの中間のようなモデルですかね。あまり来ないので得意ではないのですが、他のローライフレックスに比べてコストダウンのためか仕様が異なっているのも慣れない理由です。まず分解しにくいのがのシンクロ接点のレバーで抜け止めピンを外すのに苦労します。はシャッタースピードと絞りの表示をリボンテープによって行っている点。これが切れると修復が面倒です。まずシャッターのメンテナンスをしておきます。

巻上げ関係のメンテナンスをします。ハンドルを止めるピンが曲がり気味でなかなか抜けてくれない。このカメラは6x6cmのほかに24x36mm 16枚撮りも出来ますが、のレバーが上下することによってカウンター盤の裏側にある2枚の巻き止めカムを切り替えることによって巻上げ量を制御します。

この爪が交互に飛び出すことでワンウェイクラッチの機能をします。

 

 

全体的にシンプルな部品構成です。

 

 

の先端が板バネになっていて、上下に動くことで2枚の巻き止めカムを切り替えます。点検のためカウンター盤のネジを外していますが、これをするとカウンター盤が奥まで引っ込まなくなってネジを締めるとカウンター盤が動かなくなるので緩めてはいけません。

ユニットの裏側を点検します。シンプルです。今回は2ユニットを分解しましたが、どちらのユニットもの逆転防止爪にグリスが回っていて動きが固着気味でした。リターンスプリングもすごく弱いです。巻上げ軸部のグリスを入れ替えます。

カウンター盤が奥まで収まらない原因はこれです。部分が段付き形状となっていて、コイルスプリングにテンションを掛けるとスプリングが段付き部分に挟まってしまうのです。

 

オーバーホールの終わったユニットを本体に組み込みます。

 

 

ローライフレックス2.8(3.5)などは巻き上げクランクの規制にはベークのような材質が使われていますが、Tでは一般的なコイルスプリングが使われています。構成部品も少なく、こちらの方が合理的とも思えますが高級感はないかなぁ?

 

レリーズボタンが横向きはベビーローライと同じデザインですが、個人的には使いやすいとは思いません。まぁ、慣れでしょうけど・・ベビーローライと同じグレーモデルも存在しますが、やはりブラックモデルの方が人気は高いようです。

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