今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

クセナー付きローライ35の限定修理の巻

2022年05月31日 21時40分00秒 | ブログ

その前に。少し時間が空きましたの検討していたことを検証してみました。ローライ35系をリペイントされている方はあまり知りませんが、トップカバーにカシメ部品が多く分解が困難なのと裏蓋側もリベットを多用していることから、リベットの複製と正確なカシメ治具かなければ組立が困難なのが主な理由だと思います。まず、ジャンクのトップカバーを使ってカシメ部品が再利用できる状態で分離できるのかを検証してみました。結果は何とか出来ますね。しかし、カバーの形状が単純な箱型のため平面強度が無く、簡単に歪が発生するという、PEN-Wなどでも無かった問題があることが分かりました。また、裏蓋側はリベットを複製すればリベット部分は問題はありませんが、巻き戻しダイヤルの座が分離出来ません。内側からも見える部品ですので傷を付けるわけにはいかないからです。結局のところ、ローライ35のリペイントを阻む問題は、裏蓋の巻き戻しダイヤル座ということでした。

で。本題です。北海道のご常連さんからクセナー付きのローライ35が来ました。修理部分はレリーズボタンが異常に深いのを改善と、沈胴のフィーリングが良くないことの改善です。その他、私の点検ではファインダーの曇り、ヘリコイドグリス抜けなどが気になりましたが・・

一般的にローライ35のレリーズボタンはカバンなどの収納時に誤操作でシャッターが切れないようにレリーズボタンは深めにはなっているのですが、多い不具合は、途中の分解で部分に入る小さなワッシャーが欠落していることが多いです。個体により入れる必要のない個体は入っていないこともあります。しかし、パーツリストにはパーツ設定がありますので入っているのが標準でしょう。意外にこの個体は入っていました。え~、じゃあどうして?

点検するとレリーズボタンと連動するレリーズシャフトの先端側が曲がっていることが分かりました。しかし、トップカバーに着いた状態のレリーズボタンをいくら強く押し込んでも、このシャフトが曲がることはないのですけどね? 元の形状に修正をしておきます。

この画像が良く分かりますかね。チャンネル形状なっているので簡単には曲がりません。

 

仮にトップカバーを付けてレリーズボタンの位置を見ます。上下ガタが無い状態で良好です。右角に打痕があるので、レリーズ座の部分に隙間が出来ています。打痕は軽く修正をしておきます。

オーナーさんが取り付けた「レバーアテ」右のネジ穴は締め過ぎによる陥没が認められます。修正をしておきます。

 

沈胴部を分解して点検しますが、前回修理された方はネジ頭を塗っていて、スリ割りが埋まってドライバーが入らないので剥がします。

 

ネジロックを多用されているのに、なぜか一番緩みやすい巻き上げレバーのネジには塗布されておらず、3本共ユルユルの状態でした。また、部品の汚れを完全に清掃せずに組んでいます。

沈胴のフェルトを調整しました。摺動がスムーズで首振り現象も緩和したようです。

 

ファインダーは過去に分解清掃を受けています。再び汚れた状態ですので清掃をします。

 

メータ窓の内側のガラスに指紋がありますね。オーナーさんがレバーアテを工作されたようですので、その時に付着してものかも知れません。このロットはガラスではなく樹脂の部品になっていますので、清掃は丁寧にしませんと傷が付きます。

前回整備をされた方は黒い接着剤をあちこちに塗布されています。たぶんセメダインスーパーXのブラックのような気がしますが、この接着剤は非溶剤系なので、取り除くのが大変です。

クセナーレンズは中玉がカニ目により分解出来ますが、すでに工具を滑らせた痕がありますね。

 

クセナー40mmレンズは3群4枚のテッサータイプですから、普通のテッサー40mmと見かけは変わりませんね。

 

シャツター羽根を清掃して組み立てます。

 

 

前玉を清掃してヘリコイドグリスを塗布で組み立てます。

 

 

結局オーバーホールになってしまいました。気になる部分はそのままに出来ません。

 

ローライ純正のフィルターを清掃して取り付けます。

 

 

指の腹でシャッターが切れるようになりました。テッサー40mmに劣らずクセナー40mmも素晴らしい写りをするようですね。個体数が少ないので相場もお高いですね。

 

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ドイツ製ローライ35の実用機の巻

2022年05月26日 12時30分00秒 | ブログ

ローライ35はドイツ製が良いと言われていますが、私もファインダーの倍率や見え方についてはシンガポール製より優れていると思いますね。そこで、ダメージがある個体を復元して実用機として使いたい方にお譲りしようと思います。この個体は使用による摩耗や劣化は少ないのですが、電池の液漏れにより露出計が故障とトップカバーの両肩とトップ面にアタリがあります。露出計はすでにCdsの交換と回路の新製により作動しています。ドイツ製のオリジナルでも感度不良の個体も多いですからね。メーターのガラス窓(後期は樹脂)が割れていましたので交換しておきます。

ファインダーはガラス内部に腐食も無くきれいな状態です。以後のシンガポール製に比べて倍率と見え方はすばらしい。巻上げ機構とシャッターもメンテナンスをしておきます。

 

稀に沈胴チューブにスライド傷がない個体を見ることがありますが、この個体もきれいです。ドイツ製はメッキの質も硬質なのかもしれません。沈胴の調整をしておきます。

 

レンズは前玉の傷も無く、後玉端に僅かなコーティング白点がある程度で全体的には良いコンデションです。

 

ヘリコイドグリスを塗布して前玉を取り付けピント調整をします。

 

底部のチャージ機構を清掃注油します。

 

 

内部の状態。

 

 

初期型の古い個体は底部の中央部分に腐食が出ている場合が多いですが、この個体は非常にきれい。ロックレバーは初期の樽型から扇型に変更されている頃ですが、樽型は長年の使用によりガタが出て来て修正が困難の場合もあります。良くないから設計変更されているのです。特に実用を考えると変更後のタイプの方が作動は確実で良いです。

後ろ側の両肩部分に打痕があります。これが無ければかなりの美品ですけどね。

 

前面から見るとかなりきれいです。美品はコレクションして完全整備のドイツ製実用機をお使いになりたい方はお問合せください。

 

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マイクロコードはセルフが持病?の巻

2022年05月21日 19時00分00秒 | ブログ

MPPマイクロコードを簡単にUPします。全体のメンテナンスをしていますが、ミラーは腐食が進んでいて再使用は出来ませんので新品と交換します。

 

内部の清掃をしますが、ミラーに隠れて紙を丸めたものが出て来ました。過去に清掃でもしたのでしょうか?

 

このカメラの印象はセルフタイマーの作動に問題がある個体があるという印象。セルフタイマーを掛けるとシャッター羽根が小さく開いてしまう。

 

のシャッター羽根を留めているレバーとストッパーとの隙間が大き過ぎるのです。これを修正します。

 

次の問題は、巻上げロックの解除ボタンを押しても解除されない。これも多い不具合の印象です。

 

ず、フィルムのカウンターギヤ内部の動きが悪く、巻上げダイヤル間の作動の油切れの状態です。分解洗浄で注油をします。

 

私だけかも知れませんが、ローライコードなどに比べて前面カバーの組み立てが非常にやり難く、知恵の輪のようです。どうしてもチャージレバーが引っかかる。まぁ、何とか組み立てました。その他、レンズの清掃やフォーカシングダイヤルの繰り出しでゴリツキが大きいので清掃とヘリコイドグリスを交換しました。

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重修理のミノルタ・レポの巻

2022年05月16日 21時00分00秒 | ブログ

ブログにUPした機種のご依頼が続くことは良くあります。ご常連さんからミノルタ・レポが来ました。このオーナーさんは複数のレポを所有されているマニアさんです。ブラックモデルですが、底部カバーのへこみや、いろいろな不具合がある訳ありの個体のようです。

チャージが出来ないですね。これはレリーズボタンが復帰していないことによるものと、持病であるシャッター羽根と絞り羽根の張付きによる複合の不良です。

 

底部カバー角に激しい落下痕があって、ネジ穴が変形していてネジを取り外すことが困難でした。

 

ピントリングが左側に倒れていますね。当初はイモネジの取付不良と思ったのですが違いました。色々な不具合が「落下」のダメージを示していることに、この時はまだ気が付いていません。

 

とりあえずシャッターを作動させるためにメンテナンスをして行きます。この時はまだ部分のダメージにも気が付いていません。

 

形どおりのスローガバナー洗浄をして行きます。ここでも前回の個体に起きた不具合に気が付いていません。

 

流石に気が付きました。前回と同じくカム板との連動ピンのカシメが外れていました。幸い、外れたピンはシャッター内の奥に挟まっていましたので、再カシメをしました。

 

「メーター合わせリング」はEV8からEV16の範囲で操作し、それ以上に無理な力を掛けないようにします。無理に力を掛けると連動ピンにストレスが掛かりカシメ脱落の原因になります。シチズンの設計は精密ですが、少し強度的に余裕がないと感じます。

 

ははぁ、ピントリングのストッパーピンも陥没していますね。今までの事から、この個体は前から見て右下を落下により強く損傷していると分かります。点検するとピントリングが変形していました。

 

では、モルトを貼り替えて組み立てて行きます。

 

 

で、シャッターユニットを本体に組み込むとレリーズの上下作動が渋くなる。点検をすると(やっとかい) ダイカスト製のフレームに変形があることが分かりました。

 

前カバーを外してみると・・あら~、完全に折れていました。強固に見えるダイカスト製部品も意外に弱いのですね。今回は接着で対応します。

 

前カバーが付くので意外に強度は保てると思います。定盤に当ててみると変形していることが分かります。これを修正をして取り付けます。

 

すると、レリーズシャフトはスムーズに上下するようになりました。これで正常に作動するはずです。

 

スプロケット軸などの清掃注油をして行きます。

 

 

モルトも貼り替えてあります。折れたダイカスト部は正確に修復されています。

 

 

底部カバーの修正と、巻上げリンケージの清掃グリス塗布をします。

 

 

殆んどの個体で裏蓋のシボ革が剥がれかかっています。糊が全く効いていないのです。補修しておきます。

 

露出計の感度調整をして組み込みます。

 

 

一般的には故障廃棄されるか部品取りとなる状態の個体だったと思いますが、レポマニアさんによって救出された幸運な個体でしたね。今回は部品交換ではなく、オリジナル部品の修復によって修理をしてみました。

 

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きれいなPEN-EES-2の巻

2022年05月11日 14時45分00秒 | ブログ

同じオーナーさんのPEN-EES-2ですが、ミノルタ・レポと違って非常にきれいな状態を保っています。たぶん、消耗する前の時代に入手をされて保管していた個体でしょう。赤マークが出たり出なかったり・・セレンは生きているか?

EE系はセレンがダウンしている時期に入っていますが-2は比較的に動いている個体が多いです。この個体も幸い生きていました。

 

とすると、使用されずに長期間放置されていた個体は、赤マークのリンケージの作動がスムーズでないことがありますが、この個体もその傾向があるようです。メンテナンスをして行きます。

 

モルトは完全に劣化していますが、レール部分の清掃が面倒です。

 

 

内部の清掃とモルト交換が終わりました。

 

 

ここのホイールの動きが良くありません。分解洗浄をして行きます。

 

 

全体的にコンディションは良いのに、後玉はPENの定番でカビがあります。清掃をしましたが、カビ痕は残りました。残念。

 

シャッター羽根の張付きも多いので洗浄脱脂をしておきます。

 

 

完成したシャッターユニットを組み込みました。

 

 

なぜか前カバーが鋭角的にへこんでいますので修正をしてから取り付けます。

 

 

見逃すところでした。ボトムシールが剥がれていました。再接着をしておきます。

 

 

EE精度は悪くはないが僅かに低下気味ですので調整抵抗を変更しました。

 

 

良好なEE精度となっています。

 

 

最後にトップカバーを締めて完成。

 

 

意外にコンデションの良好なEE系は少なくなっていますので、新品当時の雰囲気を保った貴重に個体です。

 

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