今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ズイコーレンズの巻

2021年09月30日 18時30分00秒 | ブログ

付属で来ていた貴重なレンズたちです。20mm f3.5 は人気のレンズですが、持病がありますね。レンズが清掃出来ない曇りが発生することです。初期は水滴のような汚れが発生して、それを放置しているとガラス自体の曇りが発生します。こうなると研磨をしなければ曇りは取れなくなります。

この個体は水滴状態です。清掃をして行きます。

 

 

幸い、処置が早かったようで清掃することが出来ました。しかし、一度このような状態になったレンズは清掃をしても再び曇りが発生することが多いので注意が必要です。レンズ(ガラス)というものは不思議な物質です。

 

次は、みんな大好き42mm f1.2 ですが、こちらもレンズが曇る持病がありますが、幸いこの個体は曇りは発生していません。しかし、もう一つの持病が絞り羽根の固着(作動不良)です。

 

この個体は過去に分解されていますね。どうしたらこんなに汚くすることが出来るのだろう?

 

絞り不良の原因はヘリコイドグリスの流化による羽根への油付着と、この絞り機構の作動不良です。42mmは大口径ですので絞り羽根も大きく作動負荷が大きいので、フリクションが高くなれば止まってしまいます。

 

流化したヘリコイドグリスが付着しています。

 

 

ズイコーレンズでも後期になるとホワイトグリスが塗布されていますが、個人的にはあまり好きなグリスではありません。まぁ、仕様ですので新しいホワイトグリスに交換してあります。

 

絞りリングに適度な重さが戻って絞りの作動も良好となりました。現存の42mmとしては程度は良いと思います。

 

 

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しばらくPEN系ですの巻

2021年09月29日 13時30分00秒 | ブログ

昨日は新宿まで定期健診に出掛けて、帰りにご依頼を頂いているカメラ店様にご挨拶にお寄りしてから帰宅しましたが、ここのところウォーキングをサボっていたので脚が辛かったです。で、PEN系のご依頼が続いていますので、作業を開始して行きます。PEN-FT(B) #3510XXですが、里帰り機ですね。後期の個体としては露出計の感度低下が大きいです。その他、巻上げゴリツキ、稀に2回巻上げになります。トッフカバーを開けてみると、接眼枠がリプロ品と交換されていて、周辺のモルトも交換されています。

では、いつものようにすべて洗浄から組み立てて行きます。モルトを貼りました。蝶番部分の塗装剥離が激しいです。

 

巻上げレバーユニットを取付けると動きが重い。これはアイドルギヤと上の地板とのアガキが足りないのです。殆どの個体にはピンセット先のネジに調整ワッシャーが入っていますが、この個体では入っていませんでした。30万台以降の個体には入っていない場合が多いですが、この個体には必要だったのでしょう。追加してアガキを確保しておきました。

軽度の2回巻き上げ症ですが、#2ギヤの内径に摩耗はありません。ギヤタイミングの悪いユニットの組合せだったようです。

 

チャージギヤは35万台ですのでリングナットによる組立式です。

 

 

完成したシャッターユニットと前板関係を組み立てます。

 

 

過去の接眼枠の交換時に劣化したモルトを取り除かずに上から貼ってあります。意味がありません。

 

リプロ品の接眼枠を取付けます。

 

 

やはり35万台ですから分解組立で良好な状態になりました。ハーフミラーは交換してあります。この個体は輸出機ですね

 

同じオーナーさんのPEN-FT #2203XXですが、こちらはなり汚れていて作動も怪しいです。スクリーンがスプリットに改造されています。

 

うぁっ、嫌な予感。こてこてにいじられていますね。ざっと見て、シンクロのリード線が繋がっていない。接眼枠の留めネジが規格外、遮光テープが無い、露出計基板が改造されている。

 

前板の留めネジも規格外です。

 

 

かなりばっちい。

 

 

シャッターユニットのコントロールレバーが半田付け補修されています。カシメが外れたのでしょう。いろいろ有りそうな個体ですが、35万台機とコンディションが違い過ぎです。

 

コントロールレバーを半田付けするために一度プーリーのダブルナットを外していますね。

 

#2ギヤにはバリが付いていることがありますが、摩耗ではなく歯車加工時のものと思います。

 

スクリーンについてはタッチしないことにします。

 

 

前板の留めネジですが、前期型まではスリ割り(-)ネジが使われていますが、左側2本は短いネジが使われています。この個体は短いネジが右側に使われていて長いネジが紛失になっていました。もう1本の長いネジもねじ山損傷で使いたくないので、2本純正ネジを追加してあります。中期の個体からは+ネジとなり、長さもすべて同じになります。その点を無視した組立。

スライディングロットも前期型は異なりますが、部分に銅ワッシャーが入りますが、この個体は紛失していました。追加して組みます。

 

モルトの貼り替えをします。

 

 

前期の個体はレンズはねじ込み式の組立方式になっています。以後はCリング式。組み立て工数の短縮。

 

シンクロのリード線は挟まれて芯線が露出していますので交換しておきました。本体側と前板側の連動タイミングが違っていましたので、正規で組んであります。

 

ハーフミラーは初期型としては見にくい劣化は少ないですが、反射率は落ちていますので新品と交換します。初期型のハーフミラーは情報窓部分の蒸着メッキがのようになっていますが、以後は右のようになります。メッキ自体にも違いがあります。

で、疑問。巻上げレバー裏のダストカバーですが、左のものが付いていました。これは初期型にのみ使われていた部品で、22万台では使われていません。(中は初期以降、右はFV用)推理をしますと、この個体は105000番台~110000番台付近の個体でトップカバーの付け替えと露出計ユニットの換装などを受けていると思われます。

メカの組立完成。

 

 

初期型とそれ以降では電池蓋のピッチが変更されています。初期型の方がピッチが細かく不用意にねじ込むと斜めに入ってしまうことが多いためにピッチを粗く変更されたもの(と思う)です。裏蓋の選別は初期型は外周が低く段付きになっており、それ以後は外周近くに溝が切ってあります。

初期型ですから、PEN-Fと同じで巻き戻しダイヤルはローレットタイプです。ということで、最後にどんでん返しがありました。色々な試練を乗り越えて生き残って来た個体ではあります。

 

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久しぶりのスピードタイマーの巻

2021年09月20日 14時10分00秒 | ブログ

時計のご常連さんからセイコー・スピードタイマー6139-6032が来ています。最近、スピードタイマーの相場は高くなっていますね。中国バイヤーが買いあさっているとか? クラシックカメラの世界と一緒ですね。で、故障はインナーベゼルが回転しないというもの。ちょっと分解してみます。

どうも竜頭側の歯車をインナーベゼル側に押し付けて置く役目のバネがヘタっているようですね。下は中華辺りで作られたリプロ品(新品)。条数も長いです。しかし、純正と同一とは分かりません。

 

モデル(ケース)によっても多少の長さの違いはあるのだと思います。手前左は6139の純正中古。上はリプロ品。

 

それとケースに嵌っているインナーベゼルに錆の発生とホコリの混入が認められ、回転も重いです。

 

右は私が仕上げた6139-6031です。ケース研磨でベゼルリングはリプロ品を使用しています。純正タイプのSSベルトはINOBOOさんから頂戴したもの。さて、ケース研磨ですが、現状の状態が悪いですからね。

 

ベゼル周りを分解してみると・・インナーベゼルを押さえるウェーブバネが完全に錆びて固着気味です。この後、ピンセットで摘まみましたら折れました。

 

オーナーさんからはケース研磨のご希望ですが、ケースの状態が良くありません。深い傷を取り除くとケースの形が変わってしまいます。そもそも工場のような大型研磨機と腕があるわけではありませんので、労力ばかりの作業はあまり気が進みません。

 

手磨きでも素晴らしい仕上がりが可能な腕を持った方もいらっしゃいますが、残念ながら私にはそのスキルはありませんので出来るだけということで、側面鏡面、表面はヘアーライン仕上げ。これでも丸一日掛かっています。手磨きとするのは、リューターや小径のバフでは、カットの稜線などが消えてしまい悲惨な仕上がりになるからです。あとはベゼルですが、打痕が多いので諦めて簡単に留めておきます。

インナーベゼル用の歯車にテンションを与えるバネですが自作してみました。条数は実際の作動を見て調整します。少し前まではヤフオクにもリプロ部品を出品されているプロの方がいらっしゃいましたが、先日見てみるとすべて無くなっていますね。中華での仕入れが高騰して商売にならないのでしょうかね? 今回のバネはイーベイに出品がありましたが日本円で五千円弱。そんなの買えまっかいな・・

あいにくベゼルプレートのリプロ新品はペプシしかストックがありません。再使用するしかないですね。

 

しかし、ベゼルリングはこの状態。全周に渡って傷だらけで変形もあります。傷を取り除くことは残念ながらできません。以前にリプロ部品が出ていたように思いますが、あれはダイバー系だったかな?

 

インナーベゼルはこの汚れ。このケースは水が侵入したためにバネが錆びてしまったのです。本当は超音波洗浄をしていのですが、たぶん表面の印刷も落ちてしまうので使えません。ブラシで清掃します。

 

すべて洗浄を終えた状態。すでにベゼルプレートが貼られている状態ですのでケースの圧入位置を合わせるのが面倒です。

 

ゴムのパッキンはすでに粘りが出ていて本来なら交換が必要です。部分に剥離もあります。イギリス辺りでリプロ品が出ていたように思いますが、どの個体も年数的には交換時期はとっくに過ぎています。せめてセイコーが性能維持部品だけでも再生産してくれると有難いですが、日本のメーカーは過去の製品には興味はありませんね。

文字盤の状態も良くありません。インデックスの夜光も拭き取られています。秒針の塗装も拭き取られていますね。オレンジ系の色は経時的に退色し易いので、どれがオリジナルかは分かりませんが、カタログのイメージなのでしょうかね。印刷なので当てには出来ませんが・・さて、このままにするか・・

秒針を塗装してみました。こんなイメージかな?

 

 

裏蓋のパッキンは完全に硬化して交換します。本来、ピンセット部分に入る機械押さえバネがありません。使用過程で水の侵入があった個体は錆びて朽ち果てて取り除かれています。しかし、これが無いとケースの中で機械が動いてしまいます。ピアノ線からバネを作っておきます。

と言うことで、同型6139-6032のカタログと記念撮影。風防ガラスは新品が付いていましたので、それならインナーベゼルも掃除して欲しかったものです。文字盤の劣化が激しいので、程度の良い文字盤かリプロ品を探して交換されるともっと良くなりますね。最後に歩度調整をしておきます。

 

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通常作業のローライ35系の巻

2021年09月16日 20時30分00秒 | ブログ

UPの間隔があきました。作業はしているのですが、コロナではなく夏カゼを引きましてね。喉と鼻だけで熱は出ないのですが、なかなか抜けません。体調悪いです。気温の変化が激しいので、みなさんもお気を付けください。

で、いつのも作業をしていますが特に新しいこともありません。ローライ35系の不具合は大体決まっています。この初期型ローライ35は露出計が作動しません。例によって電池室からの取出し部の断線です。

今回も半田付けで修復をしておきました。初期型ですと回路の問題だけでなくCdsが不良となっているものもありますが、今回は元気に作動しています。

 

シャッターの不具合というのは少ないですが、シャッター羽根が錆びている個体の場合は不調となります。レンズを清掃しますので、どちらにしても分解します。

 

この個体はジャーマニー製ですが、すでに裏蓋のロックレバーが改良されたタイプですね。あまり人気は無いのかな? しかし、機械としての信頼性はこちらの方が優れていると思いますね。

 

このローライ35は巻上ロックが利きません。何度でも巻き上げが出来ます。過去に分解歴がありますが、白い樹脂の(L型)レバーの動きを制御するピンセット先のストッパーの調整不良によりロックが掛からない状態です。

 

調整後、のストッパーがカムを留めています。

 

 

この個体は巻き戻しレバーを操作してもスプロケットの開放とロックが出来ません。スプロケット軸の嵌っているギヤが上方に逃げることでスプロケットをフリーにします。初期型ですので、バネの抜け止めとして真鍮ワッシャーとEリングがセットされますが、シンガポール製では省略されます。

初期型のスプロケット軸はギヤの摺動部が細く、強く押されると容易に曲がってしまい、ギヤが動かなくなるトラブルがあるので分解検査をしてみましたが、特に曲がりはありません。なんで?

 

原因は思わぬところ。いつも問題となっている樹脂の接眼部です。プリズムを固定する板バネの圧力で側面が変形してしまい、ギヤの歯と接触をしているため、ギヤがスムーズに動けないのでした。

 

こちらはローライ35Sのファインダー。ローライ35の初期プリズムタイプと全く設計が異なります。分解清掃をして行きます。

 

これはローライC35ですが、シボ革の接着が両面テープのため剥がれています。

 

 

反対側も剥がれそうですね。一度すべて剥離をして貼り直します。

 

 

本体が樹脂製のため溶剤系の接着剤が使えない(樹脂が溶ける)ので両面テープ貼りとしてあると思いますが、それですといずれ剥がれますので接着で貼ってあります。

 

基本的に故障はない個体ですのでメンテナンスをしておきます。ファインダーの清掃はレンズ固定ピンを抜けばブライトフレームが取り外せます。

 

 

この辺に軽微な打痕がありますので修正をしておきます。

 

 

個人的にはここまでコストダウンしなくてもと思いますが、現存数が少ないようで相場は高いのだそうです。

 

今日は露出計ユニットの研究をしていました。不良の部品を寄せ集めて、半固定抵抗は現在のものを使用して既成の僅かなスペースの中で回路(配線)をどのように構成するかを検討しました。メーターは元気に作動しています。みんな大好き初期型ジャーマニーは古いのでCdsゃメーターがダウンしている個体も多く、ジャンクを寄せ集めてユニットを再生することは大切なことと思います。

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中古市の戦利品の巻

2021年09月12日 17時10分00秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニア」さんから速攻で三光PENが来ました。今回の中古カメラ市で入手した個体とのことです。プライスタックが付いたままですが、#1037XXとしては外観の程度は悪くはないと思いますが、レンズに欠点があっての値付けのようです。

当然過去に分解歴はありますよね。カニ目ネジ穴に傷が見られます。

 

 

問題はレンズです。PENの後玉はこのようになってしまいますね。

 

 

後玉を分離してみると・・コーティングが完全に侵されていますが、救いはレンズ自体に曇りがないことです。ちょっと拭き上げてみましょう。

 

当然コーティングは無しですが、コーティングが無くても写真は撮れます。まぁまぁ、何とか救える範囲でしょうね。とすると、この個体は掘り出し物と思います。しかし、整備をしてまで販売する対象ではなかったわけですね。

 

シャッターユニット留めネジはドライバーが垂直に入らないことと、頭はまだ小さいタイプですので分解組立が非常にやり難いです。私はカメラ製造の組立経験者ですので、その経験から感じるのは米谷さんの設計には組立困難の部分が多いなぁと感じます。組立の方で工夫しろということなのかなぁ・・

裏蓋を含めてモルトはオリジナルのままで貼り替えられていません。

 

 

ファインダーブロックの状態は非常に良好です。過去にレンズの清掃を受けています。この頃は対物レンズは樹脂でダストカバーは金属製(以後は黒紙)で正しいのでオリジナルなのでしょう。

 

スプロケットクラッチのスプロケット軸との摺動部がヤスリ掛けで加工されています。まだ現物合わせの製造だったのでしょう。これで生産数は上がりませんね。

 

シャッターユニットは特に壊れるところはありませんので、洗浄注油をして組みます。

 

 

巻上げダイヤルカバーは熱カシメタイプで正しい。

 

 

シャッターリング(カム板)は洗浄をするとピカピカです。初期オリジナル部品とすると驚異的な華麗さです。

 

オーナーさんから裏蓋シボ革のボツボツを指摘頂いていましたが、これは圧板の真鍮リベットの頭が腐食して緑青が吹いているものです。残念ながらこの頃のシボ革は材質が劣化していて、剥がすとバラバラに崩れてしまいますので、このままの方がよろしいです。MADE IN JAPANで正しい。

全体的には保存状態が良かったと思います。5,500円は良い買い物だったですね。

 

 

ファインダーですが、過去に分解清掃を受けています。白のエポキシ接着剤を使用してありますが、普通は光学部分ではあまり使いません。透明の方が良いですね。

 

問題は樹脂製の対物レンズに傷が付いていることです。この頃は樹脂レンズが実用化され始めた頃で、コスト以外に新技術を狙った選択だったものかも知れませんがガラス製と比較すれば硬度が落ちるので、不用意に清掃をすると簡単に傷を付けてしまいます。清掃をしない前提の部分にのみ採用出来るレンズと思います。

もう一つの問題。この個体はハーフミラーも交換されているようです。それは良いとして縦寸法が0.5mm程度長く、それによって金属製のダストカバーに干渉してしまい接着が出来ません。以後の黒紙製カバーであれば問題は無いのですが、初期の個体ですからねぇ。さてどうするか・・

結果的にハーフミラーを一度取り外して縦寸法を9.8mmから9.2mmに削りました。交換されていたミラーはガラス切りでのカットではなく、この寸法で製作されたもののようです。同じPEN系であっても樹脂製とPEN-Sのダイカスト製では外寸の基本寸法は同じであっても、内部の寸法は異なりますので、三光には合わなかったものかも知れませんね。合わなかったら寸法を直してから取付けて欲しかったですけどね。

すみません。親戚に不幸があったのでお休みしていました。ヘリコイドグリスを塗布してレンズを取付けピント調整をしました。裏蓋の洗浄、研磨とモルト交換で非常にきれいになっていますね。素性は良い個体です。

 

三光の中でも初期の生産機で巻上げギヤの留めネジと駒数カニ目ネジが共に正ネジのタイプです。初期型でこれだけ荒れていない個体は貴重です。良い買い物でした。

 

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