今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライコードⅣの巻

2022年10月29日 20時30分00秒 | ブログ

裏蓋の開閉がスムーズでない個体です。裏蓋が本体に接触してスムーズに締まりません。また、四つ足の1つ(画像)が陥没しているためテーブルに置いた時にギッタンバッコンになります。

 

観察するとの部分が打撃を受けてへこんでいるのが分かります。板金で修正をして行きます。

 

Ⅳ型になると古いですから内部の汚れやミラーの腐食もありますね。清掃をしましたが、ミラーには腐食が残りました。まぁ、ギリギリ再使用ということで・・

 

スクリーンは洗浄して取り付けます。

 

 

シャッターの作動は問題ないので清掃と注油をしておきます、テイク、ビュー共にレンズの曇りが目立ちます。

 

前玉は過去に分解を試みてありましたが分解出来なかったようです。清掃をしておきます。

 

ビューレンズをすべて取り出して清掃します。

 

 

そこで、少し前に作業をしたPEN-FTがファインダー像倒れで緊急に戻って来ました。点検するとリターンミラーの接着が外れています。先日のPEN-FVでも同様な不具合がありましたが、これはFT(V)の持病です。かと言って、点検時は問題ない状態ですと予防的な再接着も現実的ではありません。

リターンミラーを分離して接着面を見てびっくり。両面テープで留められていました。そう、ミラーは過去に外れていて、両面テープで誤魔化してあったのです。この部分は非常に強力な接着が求められますので両面テープでは持ちません。オーナーさんは美品という触れ込みで購入されたそうです。結局、ババ抜きで最後にババを引いた私が災難と言うこと。

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ローライ35と35Tのメンテナンスの巻

2022年10月28日 10時00分00秒 | ブログ

売用の商品のメンテナンスをします。ローライ35ジャーマニーですが、特に大きな故障や欠点はないので、返ってブログネタにはならないのでやりずらい・・オークションなどでは「良品」レベルですが、商品としてはこのレベルではダメなんですね。

外観は目立つほどのカバーのへこみなどはなく、トップ面に小さなエクボ程度ですので修正をしておきます。また、メーターの0指標のオレンジが白化しています。

稀にこのような塗装状態になっている個体があります。

 

 

各部の軸受けやファインダーの清掃、シャッターの低速不良などをメンテナンスしておきます。沈胴も少し緩い感じですので分離してフェルトの調整をします。シャッターとレンズは清掃しますが、シャッターの留めネジの錆が目立ちますね。

このネジだけ激しく錆びています。表面処理が不良だったのでしょうかね? 一応ジャーマニーですけど・・

 

シャッターの分解清掃。

 

 

完成したシャッターユニットに復帰バネを取付けて本体に組み込みます。

 

 

ジャーマニーでも初期型以降の個体には駒数板を止める爪に補助板バネが入っています。は沈胴レールを止めているネジで、スリ割りに傷かありますので増し締めされたか、沈胴レールを交換されたのかも知れません。

 

巻き戻しダイヤルの回転がスムーズでないので分解清掃をしました。

 

 

一通りのメンテナンスでローライ35は終了。35Tは35の復刻モデルで新しいので問題は少ないです。外観も非常にきれい。

 

定番のファインダー汚れはありますので分解清掃をして戻します。ローライ35で問題となる樹脂のギヤは35Tでは金属製に戻りましたので破損の心配がありません。実用には35Tの方が安心かも知れません。その他、シャッターの低速不安定を修正しておきます。

こちらも沈胴が緩めなのでフェルトを調整しておきます。

 

 

35Tは新しいですが過去にシャッターの分解修理を受けていました。ヘリコイドの回転が異常に重いので分解をしてみると・・グリスの詰め過ぎで、経時的にグリスが硬化をしたためヘリコイドが重くなったもの。清掃して新しいグリスを塗布します。

ピント調整をします。35Tになるとftとmが併記となります。老眼の目には文字が小さくて見にくいですね。

 

その他、外観清掃で完成。どちらも問題のない良い個体でした。こういう個体を入手してください。因みにローライ35は重量はカバーが真鍮製のため電池入り状態で368gで、ローライ35Tはカバーがアルミ製のため324gでした。持って見ると印象がかなり違います。

 

 

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シャッター幕破壊のPEN-FVの巻

2022年10月23日 20時30分00秒 | ブログ

運転会はレイアウトが民家に作られていて照明が非常に暗く撮影が出来ませんでした。20系客車を引くEF65。特急さくら

 

80系湘南電車。

 

 

私が持って行ったツボミ堂のBタンク。ちゃんと走りました。

 

 

二部屋ぶち抜きの大レイアウト。ポイント操作だけでも大変です。

 

 

豪華EF57重連。Nゲージとは迫力が違います。後にちらっとロマンスカーの編成が見えます。数十万円の価値とか?

 

C62と思いきやD52でした。その他、天賞堂のカンタムシステムを搭載したEF58の汽笛や走行音を初めて聞きました。感動します。

 

で、お仕事です。このPEN-FV #1327XXはシャッター幕が破壊しています。言われるシャッター幕の破壊は、それほど多くはないと思いますが、自然破壊の場合はセンスを畳んだように圧縮されます。異物で突いたような破壊のように見えますけどね。

こんな破壊の仕方。

 

 

付属の42mmは専用ケース入り。あまり見ませんね。

 

 

開発の初期には、シャッタースピードが上がると幕の破壊は発生したようですが、製品となってもエッチングによりリブの形成とディンプル加工などの改良で強度を増し、自然故障で破壊することはあまりなかったと思います。私も幕破壊の修理依頼を受けたことは累計でも数例です。

チタンが破壊すると強健で鋭い破断面になりますね。

 

 

では、ダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

同じ時期に製造されたシャッター幕を見つけて来て組み込みました。

 

 

前板関係をドッキングします。

 

 

シャッターダイヤルを洗浄して取り付けました。

 

 

裏側から見たところ。幕が破壊をした後でシャッターを作動させたのでしょうか? ダイカスト側の塗装がチタン幕により傷ついています。そのままにしておいて欲しかったです。

 

エージングでシャッターを切っていると・・変な音がします。あ~リターンミラーの接着が剥がれました。現役で動いていなかったジャンクを起こすと良く起こります。前板を再分解をして接着をやり直します。完成してお返しした後でなくて不幸中の幸い。

スクリーンとプリズムの間がカビていましたので清掃しました。ここにカビが発生した個体は保存が良くなかった証拠。

 

 

全反射ミラーにもカビが発生しています。清掃後もカビ痕は残りますし交換も選択肢ですが、今回は再使用としました。

 

いろいろ難儀な個体でしたが、これで組立完成。

 

 

幸い、リターンミラーは割れずに無傷で程度も良いので再使用しました。リターンミラーの接着が完全に硬化するまで養生する必要があります。接着後はピント調整が必要です。

 

付属の42mmは私が今まで見た個体で一番程度が良いかも知れません。しかし、絞り羽根の戻り不良とレンズカビがありますのでメンテナンスをします。Fメーターも殆ど使用されていません。若干感度は低下気味ですが、まぁ、今回は良いでしょう。

内部はヘリコイドグリスが流化して浸透していますので分解脱脂をします。

 

 

レンズは持病の曇りもなく、軽微なカビですので清掃できれいになりました。PEN-FV #1327XX (1969年07月製)

 

 

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キヤノンデミのメーター交換の巻

2022年10月21日 20時20分00秒 | ブログ

今日は修理ご依頼のカメラが3名様から到着していますが、少し多忙になって来たのと明日は高校時代の鉄道模型クラブ(HOゲージ)の先輩たちと運転会がありまして、出掛けますのでカメラの拝見は少しお時間を頂ければと思います。運転会の模様はまたUPしますね。で、少し前にやりましたカラーデミですが、露出計が不良でした。オーナー様が露出計の生きているジャンクを入手されて来ましたので、ユニットごと交換することにします。しかし、トップカバーの留めネジがモルトの影響で激しく腐食をしていまして外れません。

何とか分解に成功してメーターユニットを取り出しました。

 

 

メーターユニットは2本のネジで取り付けられています。

 

 

メーターユニットを交換しました。感度調整をします。

 

 

ストロボターミナルを半田付けして外装ケースと本体を取り付けます。

 

 

調達した露出計ユニットはカラーデミより後期のジャンクから外しました。やはり、生産が古い電気部品は劣化が進みますね。

 

これで完全なカラーデミとなりました。

 

 

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302番台のローライ35ジャーマニーの巻

2022年10月18日 20時49分22秒 | ブログ

ローライ35は小さくて重い、決してホールド性の良いガメラではないですね。よって落下によるカバーのへこみが多いわけです。この個体#30235XXも右肩が激しくへこんでいます。角部分は金属が圧縮陥没していますので修正は無理なんですね。まぁ、見にくくない程度に修正をしておきますが・・ヘリコイドグリス抜けなど各部に劣化がありますのでオーバーホールをして行きます。

特に画像にすると目立ちますが、実用上はそれほど気にならない程度にはしておきました。

 

先にトップカバーの洗浄しておきます。傷が目立つメーター窓は研磨をしてあります。欠落していたレバーアテを熱カシメしました。

 

外観にへこみがあるので比較的安価に入手が出来たそうですが、メカやレンズなどは良い状態ですので通常の作業です。アイドラギヤの洗浄とグリスUPをして組みます。その他、露出計の感度が低下気味でしたので調整抵抗により調整しました。ただし、個体によっては半固定抵抗の抵抗部分が劣化をしていて、トリマーを回すと抵抗材が弱くて削れてしまい、不良となってしまう場合がありますので見極めてた対応します。

沈胴チューブの摺動抵抗が弱いです。フェルトを調整して適正な抵抗感となるようにします。

 

分解したシャッターユニットとレンズを清掃します。レンズの状態は傷も無く非常に良いと思います。

 

沈胴チューブを本体に挿入しました。内部が汚れていますのでチリを清掃しておきます。

 

完成したシャッターユニットを取り付けます。

 

 

裏蓋の清掃と巻き戻しダイヤルを分解して清掃とグリス塗布をします。

 

 

底部の点検。緩んでいるネジが多いので気を付けます。駒数板の逆転を止める爪にはジャーマニーですのでリーフスプリングが入っていません。

 

最後は前玉を組んでピント調整などをします。

 

 

前玉を取付ける画像を撮り忘れました。多く使われた個体は前面ダイヤルが傷ついている個体が多いですね。樹脂製ですから仕方ありません。私は必ず研磨をして傷を消しておきます。

 

残念ながらトップカバーのへこみで評価を落としていた個体でしたが、メカやレンズは全く問題のない良い個体でした。ファインダーが魅力の初期型実用機としては最適なカメラと思います。