今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO ユニークのオーバーホールの巻

2019年09月29日 20時14分55秒 | ブログ

久しぶりに時計をやるよ。セイコー・スーパーの改良型になるのかユニークというモデルです。1955年の発売ですが、ここのところカメラも同じ年のものが多いですね。で、作動はしているのですが、どうもデータが良くありません。

 

裏蓋の留め位置が違いますね。製造は1958年3月のようですから、製造開始から3年目です。ケースは18K GOLD FILLEDなので地金が露出していません。ゼンマイの巻き上げが重いとのご指摘がありましたが、異常と言うほどではないと思いますが・・

 

この頃になると時計は大型化の傾向となって、機械は小さいのにケースが大きくなりますから厚みがすごいこと・・耐震装置は無しですね。

 

 

香箱の蓋を外してみると、内部が傷だらけです。もしかするととユニーク用ではない強いゼンマイが入っているのかも知れません。それならリューズは重いですね。

 

 

すべて洗浄をして、香箱はそのまま使用します。

 

 

輪列を組んで行きます。

 

 

ザラ回しをして確認します。問題はテンプのヒゲゼンマイで、変形、接触などがあって、そのまま使用は出来ません。

 

ヒゲゼンマイの形状を修正しているとヒゲ持ちからヒゲゼンマイが抜けて来ました。普通は緩むところではありませんので分解されているのかも知れません。ヒゲにおちょこの癖もありますので、一度テンワから取り外して修正をします。

 

テンプ受けも分解洗浄をしておきます。

 

 

日ノ浦側を組み立てて文字盤と針を取り付けます。

 

 

右が今回組立の個体で、左は私の手元にあったO/H前の個体。比べてみると部品の仕上げなどや表示に違いがありますね。左の個体の方が製造が後なのかな?

 

 

Sマーク入りの好ましいデザインの文字盤です。

 

 

ケーシングをしてベルトを取り付けます。裏蓋はこの位置が正解。

 

 

マーベルが1956年に発売された以後もケースの大型化という近代化を受けつつ生産が続けられたようです。

 

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Lord Ⅳb ブラックかぁの巻

2019年09月28日 10時45分00秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニアさん」からもう一台来ていました。岡谷光学のロードⅣBブラックですが、過去にもやっていたと思いますがロードがお好きのようですね。今回は部品取り機付と気合が入っています。ということは状態はよろしくないということ。純正フードの革ケースが時代なりの劣化具合。私、このようなカラカラの革を見るとじっとしていられません。保革油をつけて磨いておきます。

で、直す方としてはロードはあまり好きではありません。使われたグリスの固着により、まったくどこも動かないという個体が多くあって、シボ革も剥がれ気味でボロボロの状態です。部品取り機の方がコンディションは良いのですが、蝶番がメッキなのでシボ革を剥離すると割れてしまいます。

 

シャッターはSEIKOSHA-MXですから中級機ですよね。前玉は付属のフードにフィルター付きなのに傷がありますね。交換するか?

 

 

とにかく分解に手間がかかるカメラです。トップカバーに付いている部品が固着して中々外れません。特にフィルムカウンターのノブが厄介なことが多いです。

 

 

問題はシャッター不動だけではなく、巻上げに問題があります。後玉はきれいです。

 

 

このカメラは2回巻き上げで、1回目でシャッターチャージ、2回目はフィルムの送りのみを行いますが、巻上げ軸ギヤを止める爪が解除されないために2回目の巻き上げが出来ません。

 

このリンケージは1回目のチャージをした時にロック爪を解除させるための部品。画像は修正した後ですが、長い間に折り曲げ角度が変化(曲がっちゃう)をして、ロック爪を作動させるタイミングが狂っているのです。先端に付いているイモネジでロック爪とシャッターの切れるタイミングの同調を調整します。

 

組んで見るとこんな感じ。1回目の巻上げ完了時にロック爪がギヤから上に離れて、かつシャッターが正常に切れるところをイモネジで調整をします。

 

 

今日は外出をしていましたので完成まで行きません。では、本体の組立をして行きます。リンケージはこのように組み込まれます。その他、ヘリコイドグリスの交換、リンケージのグリス塗布など。

 

前面カバーは取付けは12時位置のネジ1本だけ。両脇はきつくはまり込むような寸法に仕上げられています。下面はアンダーカバーで押さえる構造。

 

 

このカメラも1955年頃の製造ですから、先日やりましたコニカⅡbと同じ頃ですよね。コニカのシャッターは内製なのか知りませんが、同じ系統のシャッターですけど、こちらの精工舎の方が作りが良いと思いますね。スローガバナーの地板もしっかりした強度がありますし、歯車の精度も良いです。摩耗も殆どありません。洗浄、注油をしておきます。

んで、問題なくシャッターが快調に動き出しました。カム板を付けて行きます。

 

 

低速1秒が切れているのが分かりますかね?

 

 

前玉を清掃して比較しましたが、僅かに部品取り機の方が傷が少ないのですが、まぁ、オリジナルとしておきましょう。

 

 

フィルムカウンター窓の透明樹脂が全く曇っていますので分離して研磨します。金型による成形品ではなく、塩ビ板のような材質を抜型で抜いたものです。

 

 

カメラがどっしりと重い要因の一つ? ファインダーはプリズムが使われています。金コートのハーフミラーでしたら全滅の頃ですが、まったく良好に見えます。ヘリコイド部分を分解しているので距離計の調整をしますが、プリズム右にある調整ネジはトッフカバーを着けると調整穴がないので調整出来ないですが、接眼レンズがトップカバー側に付いているからカバー無しでは見えないね。まぁ、メガネを補正すれば見えますけどね。  

かなりの確率で固着している巻上げ部分。使われた油脂が完全に固着して接着剤のようになっているのです。洗浄とモリブデングリスを塗布しておきます。

 

 

貴重なフードケースは軽く磨いておきました。専用フードは組立式で、フィルターを兼ねる構造のようです。交換用のレンズが別売されていたのかな?清掃しておきます。

 

レンズ外周の奥に切られたネジに締め込むタイプ。フィルター部分を外してフードのみを取り付けることは不可なのでレンズを抜けば良いのですね。

 

 

ロードの塗装は非常に上質で、時代を考慮すると劣化も少なく黒味も強いです。ロードⅣBは国内より輸出された台数が多いようですが、この個体と部品取り機もft表示でしたので里帰り機ですね。そのためか、レンズなどガラス部分の劣化が少ない良いコンディションの個体となりました。

 

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Rollei 35Sのシボ革交換の巻

2019年09月25日 18時00分00秒 | ブログ

ローライ35Sですが、シボ革の表面がべト付いています。シボパターンも磨滅気味ですね。合皮素材の劣化ですので交換をご希望です。

 

 

Aki-Asahiさんからローライ35用のシボ革は合皮・本革など多種発売されていますので、今回は4040をチョイスしてみました。オリジナルよりパターンが少し小ぶりの様ですが、雰囲気は悪くはありません。また、余談ですが、代金の到着後振込はうちぐらいと思っていましたがAki-Asahiさんも同じなのには少しにっこり。まぁ、金額が少額だからでしょうけどね。今回は¥1,500でしたが、練習用まで同梱してくださって非常に良心的な業者さんですね。

 

ローライも国産カメラと同様に、時代によってゴム糊接着から両面テープ接着に移行したようで、この個体は両面テープ接着でしたので比較的容易に剥がすことが出来ました。ゴム糊接着の個体は、サイドの部分が非常に薄く、糊も強いので剥離には注意が必要です。

 

ローライ35の場合、サイドの回り込み直後に終わっているため、経験的に両面テープでは剥がれやすいと思います。Aki-Asahiさんの説明サイドでも接着併用を推薦しています。観察すると、オリジナルでも先端部分は黒色の接着剤が塗布されています。

 

裏蓋の古いシボ革を剥がそうとすると・・あぁ、ストラップ金具はシボ革を貼った後に2つのリベットでカシメられているんですね。と言うことは、このシボ革はオリジナルであったということですね。交換をする場合は、カッターで金具の外周をカットして取り出すことになりますが、ロックバネの下はカッターが入りませんよ。

 

このシボ革の抜型では、ロックバネ部分は直線的なカットをされています。まぁ、何とかセットしました。

 

 

両面テープ挽きの場合直角に曲げると接着糊が余ってシボ革端よりはみ出して来ますね。この合皮は縮み防止のため繊維が練り込まれていますので、曲げの部分は予め折り畳んで癖をつけておきます。

 

こちらも端部5mmは接着併用で貼っていきます。しかし、貼り終えると少し生地が足りません。製造時期の個体差か、或は抜型で抜いた以後に時間の経過で生地が縮んだのか? この個体の場合0.5mm~1.0mm弱程足りません。引っ張って伸ばして貼っても、繊維入りですから時間の経過で戻ってしまう可能性があります。接着併用の場合は、一般的なG17よりはG103の方が良いかもしれませんね。

次は本体側です。こちらの方が曲げてすぐに終わっていますので接着は厳しいです。とてもオリジナルの両面テープでは耐えられません。また、両面テープ層の厚みも0.1mmありますから、貼った時に本体側の段差よりシボ革が高くなってしまう可能性があるので、先端部のみ両面テープ層を取り除いて、生地も先端に向かって薄く削っておきます。生地の厚みは0.55mm程度で、画像では少し削ってありますが、もう少し薄くします。

レンズと両側のダイヤルとの合いは非常に正確です。

 

 

 

本体側との段差の繋がりも違和感が無いと思います。

 

 

ストラップ金具部分も違和感はないですね。金具がない右側部分が生地が縮んで隙間が空いていますが・・

 

 

裏蓋もきれいに貼れています。

 

 

オリジナルと違和感の無い出来上がりになっていると思います。但し、この種の材料は一手間かけて調整しませんと、お手軽工作では、なんだかなぁという仕上がりになり易いのです。

 

 

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かなり問題PEN-S3.5の巻

2019年09月22日 20時17分06秒 | ブログ

日曜日はヤマトの配送が遅く、到着前に外出してしまいましたので夜になって再販配達で届きました。中古カメラ屋様から緊急のご依頼でシャッター不動のみの限定修理とのことです。外観もかなりくたびれていて、汚れもひどいので、私、ばっちいカメラは触りたくないので洗浄をしたところ。では分解だけでもやっとこ。

 

たぶんアマチュアさんが分解しています。巻上げダイヤルがすごい接着の仕方。大丈夫かなぁ?・・

 

 

ストロボが発光しないとのことでしたが・・ちゃんと導通していますね。ストロボのアース不良ではないですかね。

 

 

当然シャッターは分解歴有りです。本来はシャッター羽根に油は回らないシャッターなのですが、油膜が光っていますね。故意に付けたんじゃないの?

 

 

ファインダーもすごい接着がされています。見なかったことに・・

 

 

とにかくね。こういう素性の個体は決まって油汚れでゴテゴテなんですね。それでは組立が出来ませんので、すべて洗浄したところ。シャッター羽根の腐食が進んでいます。

 

油が回ったシャッターは、ハウジングのバックプレート裏にも油が流れていますので洗浄しておきます。ストロボの接点を点検しておきます。

 

 

一番手前のネジが緩んでいます。リンケージと2軸も本来は洗浄したいところ。

 

 

シヤッター完成。昭和40年4月製造のシャッターとしては部品の劣化が進んでいました。出来るだけの処置をして組みました。

 

 

このまま組もうかとも思いましたが、やはり組めません。洗浄して来ます。

 

 

ヘリコイドグリスは抜けてスカスカです。洗浄と交換をしておきます。

 

 

本体側は完成。駒数ガラスは一度剥離したものを再接着されていますが、90度傾けて接着をしてあるのでトップカバーと密着出来ず、正規の位置より沈んだ状態になるのです。すると駒数針と接触をしますが、すでに針のメッキが削れています。巻き戻し軸のカラーを調整する調整シムが抜かれているため、トップカバーを締めてもカラーが空転します。これらも直してあげたいのですが、私にはその工数を与えられていないのが残念。

ストロボの発光テスト。問題ありません。

 

 

緊急の作業でした。

 

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KONICA ⅡBのメンテナンスの巻

2019年09月20日 20時00分00秒 | ブログ

笹原ペンさんからしばらく前に来ていたコニカⅡBですが、例によって物置に忘れ去られていたようなコンディションでホコリまみれです。しかし、作りは非常に良質で重厚な雰囲気です。この個体はレンズはヘキサー50mm f3.5付ですが、f2.8付では発売当時の価格が28,620円とのことですので現在の貨幣価値は10倍以上とすると高級カメラです。小西六は戦時中は陸軍の偵察機に搭載する航空偵察写真機を製造していた企業ですから、作りはがっちりとしているのは当然かと思います。

左側のシボ革が一部欠損しています。材質は繊維質のものではなく、ライカのグッタペルカを薄くしたような完全に樹脂の固まりですから古くて乾燥をするとバリバリに剥がれてしまうようです。

 

内部は意外にきれいですね。

 

 

前玉の状態。

 

 

2枚構成を分離して清掃します。この頃のレンズは変なコーティングや新種ガラスが使われていないためか清掃できれいになるものが多いと思います。

 

 

問題はシャッター。KONIRAPID-Sはコンパー型のシャッターですが、全く動きません。

 

 

スローガバナーを洗浄しても引っ掛かりのような動きでスムーズに作動しません。地板はカシメで分解不能。各歯車の仕上げが荒く噛み込むようで、歯を一枚ずつ研磨していきます。

 

もう一つの原因。リターン用のゼンマイの巻き込みに癖が付いていて歯車に接触をするのもスムーズに動かない原因です。形状の修正をします。

 

 

後玉の中央下部分に水滴のようなものが見えますが、これは反射ではなく現状です。後玉はカシメで分解が出来ません。

 

 

全面の化粧プレートがこの時代としてはおしゃれですね。シボ革を補修します。

 

 

ドンピタは無いですけど、ストックの中からこれはPENのパターンで黒色のものをチョイス。この時代はニコンなども同じようなパターンです。ストックのシボ革も在庫が少なくなって来ていて貴重です。現在市販されているものとは雰囲気が違うのですよね。

こんなもので例によって夜目遠目ということで。

 

 

 

パッと見分からないでしょ。

 

 

距離計連動ですからね。機構はシンプルです。

 

 

 

汚れを清掃してみると・・この頃に多い金コートではありませんね。随分ときれいです。

 

 

「K」の前に打痕がありますので軽く修正をしておきます。

 

 

 

この位置でINF。ノブを引き上げて反時計回りに回すと・・

 

 

半周回って収納時にレンズが沈胴するようになっています。

 

 

元の作りがしっかりとしているのできれいになりましたね。定評のあるヘキサーレンズはどのような写りをするのでしょう?

 

 

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