今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ズイコー・100-200mmかぁ・・の巻

2016年02月25日 21時54分41秒 | ブログ

北海道のINOBOOさんからズームレンズが来ていますが、その前に、現在発売中のディアゴ・傑作機シリーズについてもお話がありました。茶暮れさんからもね。うちに来てくださる方は好きなものが共通しているなぁと感じます。私も気になっていましたので、創刊号の「紫電改」定価999円を購入してみました。この手の商法は創刊号は半値で販売を伸ばす商法ですが、この価格であればデスクトップモデルとしては買っても損は無いかと思います。(精密モデルではなくソリッドモデルに近い)材質がダイカスト製ですので重量感があります。但し、マルシンの1/43シリーズに比較すれば細部の仕上がりは劣ります。この辺は、プラモデルの方がディテールは優れますね。

筋彫りを強調するために黒で墨入れをされていますが、これが五月蠅く感じますね。今後のシリーズも同じ手法とすると、ちょっと残念なところです。日本機では、零戦、隼、飛燕もシリーズされていますが、飛燕は欲しいと思っていますが、定価は1.998円となります。紫電改は水上機の「強風」を陸上機に再設計をした「紫電」が中翼機であったため、脚が長くなって着陸時の損傷事故多発のため低翼機に改良して出来上がった機体。発動機は中島の誉2000馬力級の重戦闘機のため、1000馬力級の軽戦である零戦や隼などに比較すると、大型でアメリカのグラマンに近いシルエットになってますね。太平洋の各戦地に残ったベテラン搭乗員を内地に呼び戻して編成された三四三航空隊の活躍は有名ですが、時すでに遅く消耗をして敗戦を迎えた。

で、本題。わぁ、長いレンズだこと。この頃のズイコーレンズは分解が困難な個体が多く有って・・

 

前玉2枚目に曇り。絞り前レンズに結露汚れのようなものあり。

 

 

後ろから分解をして行くところ。

 

 

リアレンズバレルを分離します。

 

 

前玉2枚目の曇りはレンズ自体が曇っているもので、清掃では取り去ることが出来ません。

 

 今日は新宿まで用事で出掛けましたので、帰りに西口カメラ街を歩いてみました。PENの相場が、やや持ち直しているような感じですね。ご高齢の紳士が古い機械式時計を購入されていました。O/Hはよろしいのかな? と気になったりして。。明日は東京マラソンが開催されますので、都庁前まで行けば準備が見られるかとも思いましたが、ちょっと足が・・明日のレースに参加されるトレパン姿の外人さんも沢山見かけました。

こちらに歩いてくるのは殆ど外人さんですよ。

 

 

日本観光の最後に西口電気街に来られたのですね。リムジンバスに乗って空港へ向かう観光客。

 

強調されていますが、それでも長いですねぇ。しかし、手近にあったファインダー未整備のFTに取り付けるとf5は暗くてピントの山の確認はかなり困難。絞り解放レバーの意味が分かります。

 

後列左端が100-200ズームになりますね。

 

 

本体価格は¥38.000となっていますね。高価なレンズだったんですね。

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お父様のPEN-FT+FVの巻(その2)

2016年02月22日 21時04分10秒 | ブログ

では、PEN-FVに移ります。FVはFTで言うと比較的前期型のユニットを使用された個体が多いのですが、この個体#1339XXは製造が1969-8月と、一緒に来たFTよりも8カ月ほど後に製造された個体です。よって、FTの時に書きましたセルフタイマーの固定方法が変更になっています。ダイカストに直接固定する方式です。

地板は共通のものを使用していますが、ネジのタップは切られていません。

 

じつは、こちらの個体の方が程度は良くないのですね。内部の汚れがひどい状態。巻上げユニットには錆が出始めています。雨の中で使用されたのでしょうか?

 

洗浄のために全て分解をしたところに好物のアップルパイが来ました。ちょっと小休止。

 

洗浄後、組み立てて行きます。軸にはグリスを塗布して組みます。

 

 

あ~、プリズムの角が欠けていますよ。落下などの衝撃を受けたのでしょうね。

 

こんな感じですね。プリズムの全面を視野として使用しているわけではありませんので、今回は交換はせず、ガラス用接着剤で接着をしておきます。

 

あとはFTと同じなので割愛です。全反射ミラーは交換としています。調子は良好です。

 

何故かUPしたはずのレンズ関連が消えていますので追加しておきます。

 

 

とは言っても内容を忘れてしまいましたので・・こちらの38mmもかなり状態は良くないですよ。外観の汚れ、レンズのカビ、曇りなどが激しいです。フィルター取付け部をへこませて修理をした形跡がありますが、そのまま来て欲しがった・・

殆どのレンズは同じような状態なのですが、内部はグリス汚れとホコリの混入でドロドロです。このまま組み立てるわけには行きませんので、すべて洗浄します。

 

本体部分もこのようになっています。この個体はヘリコイドグリスの硬化によりピントリングの回転が重い状態ですので、グリスの入れ替えをします。その他、レンズをすべて分離して清掃。

 

無事清掃が終わって、カメラ本体に装着して作動を確認します。ここで、〇〇さんから2005ペンスケッチ展の缶バッチをお送り頂きました。ありがとうございました。

 

これでFTとFVが完成しました。購入者のお父様と再び写真を撮って頂けたら嬉しいですね。

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お父様のPEN-FT+FVの巻

2016年02月19日 19時46分32秒 | ブログ

オリンパスの〇〇さんからご紹介を頂きました修理機が届きました。ご依頼者様のお父様が購入されたPEN-FTとPEN-FVです。当時、ブラックのFTとFVを購入されていたとは、かなりマニアさんですね。存在を忘れ去られていたカメラが陽の目を見たという幸運なカメラですが、2台とも致命的なダメージはありませんが、長期放置のため、色々と問題は抱えていますね。まずは、PEN-FTから作業に掛かりましょう。

シリアル№ #2599XXは1968-12月製の個体。ハーフミラーは最後期とは異なっていて、保管が悪いとこのように腐食が進みます。露出計は不動ですが、Cdsは生きているので復活可能と思います。その他、稀に巻上げの逆転があります。

メンテナンスや清掃をされていない個体ですので、汚れは激しい方です。すべて洗浄をして組み立てをして行きます。

 

電池室は配線のリード線が劣化をして導通不良の状態でしたので、すべてやり直します。遮光モルトを貼ってセル受けを載せます。

 

新しいリード線を半田付けしました。◎のセルカバーは無くしていますね。

 

洗浄したシャッターユニットには特に問題はありません。チャージギヤの摩耗も軽微です。ただし、のチャージギヤの逆止クラッチが固着しており、小刻みに巻き上げると逆転してしまいます。

 

シャッターユニットを本体に搭載しました。

 

 

プリズムとスクリーンを拭き上げて組み込みました。きれいですね。

 

 

前板関係をドッキングします。

 

 

ファインダーハウジングに新しいモルトを貼って取り付けます。

 

 

露出メーターは指針の動きが固着気味のため修正しました。ハーフミラーは新品と交換です。

 

メカ組立の最後は巻上げレバーカバーを取付けて完了です。

 

 

この個体もアクセサリーシューを取り付けたままにしたため、色入れの白塗料が変質してしまっていますね。因みに、アイビース枠を留めるネジに工場と異なるネジロックが塗布されていました。アクセサリーシューの取付で縁が割れて交換をしたものと思われます。

新しく色入れをやり直しておきました。

 

 

この個体(#2599XX)は殆どの部分について改良された仕様となっている頃ですが、セルフタイマーの取付け(保持)については試行錯誤を続けています。この個体では、セルフタイマーの地板にタップを切ってネジを通し、先端部をダイカスト本体に突き当ててユニットを垂直に固定する方法が採られています。この後、ダイカストの形状を変更して(手前側に▢に張り出す)無調整で地板が当たり固定する方法に変わっていきます。当然不要となる地板のタップ穴とネジは無くなります。

付属の38mmも内部は埃の混入が激しくグリスの変質で絞り羽根の作動やピントリングの回転重いなどの症状がありましたが、未分解の個体でした。しかし、後玉2枚の内側には、ご覧のような傷があります。この程度は良品限度としていたのでしょうかね?

レリーズボタンや圧板のすれからして、かなり使用された個体と推測しますが、幸い、シャッターユニットやチャージギヤの摩耗は少なかったですね。巻き上げ感も改善して、露出計も復活していますが、果たして新品の時の感触に戻っているかは分かりません。新品の時をご存じのお父様がご健在ですから、感想をお聞きしたいところです。ちょっと怖い気もしますけどね。

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SEIKO 定番人気のスピードタイマーをレストアするの巻

2016年02月15日 21時57分30秒 | ブログ

セイコーの人気クロノグラフ5SPORTS Speed-Timer6138-0030は現在でも人気が高くて程度の良いものは非常に高価です。特に私は画像中央のブルー文字盤が好きで、水の侵入した不動機を復活させようと思います。実際には、カメラ作業の合間を見て時間を掛けて行っていますので、すでに記憶のない画像もあったりします。

ケースは軽く研磨をして洗浄してあります。この機械のウィークポイント、プッシュボタンから侵入した水による錆が発生していて固着が認められます。このままの部品構成では復活は出来ないと判断しました。

 

貴重なハードレックスの純正風防を使用します。

 

 

機械は手持ちの同じcal.6138Bから調達して仕上げることにします。左がオリジナル搭載の国内用ユニット。現在はジャンクのユニットを調達することも容易ではなくなりました。

 

分解をして行きますよ。普通の腕時計よりプッシュボタンが2つ多いですから、パッキンの劣化により防水効果が薄れると水の侵入する危険性が高くなりますね。よって、入手するユニットは錆びや汚れが進んでいるものが多いのです。しかし、何層にも組み立てられた非常に複雑な構造がお判り頂けますでしょうか?

すべて分解洗浄をしたところ。普通の機械より何倍も時間を掛けた洗浄をしました。地板の枚数が多いこと・・

 

では、注油をしながら組み立てて行きます。

 

 

ひっくり返して日の裏側。地板がサンドイッチになります。

 

 

香箱の蓋には伝エ車が付いています。

 

 

 

輪列を組み立てたところ。秒クロノグラフ車がスムーズに回転するか? ただし、この段階では受けが付いていません。

受けを付けて、テンプをセットしました。快調に作動を始めました。良かった~。しかし、分厚い機械になって来ましたよ。この上に更に自動巻き機構が載ります。

 

カレンダー機構を組み立てます。日車を取付けて・・曜車は当然国内用(漢字表記)を選択します。

 

これで、自動巻き機構を除いてメカ部の組立は終了です。あとは、文字盤と針の取付ですが、年末の混雑で未だアメリカから到着しません。

 

実際には、日数を掛けて作業をしていますので画像数が多くなってすみませんね。で、機械の方は中断しておいて。。SSベルトはアフターパーツも出回っていますが、それも高価なので、手持ちのベルトを仮に取り付ける算段です。このモデルはケースとのフィッテング形状が特殊で、オリジナルの部品になっています。そこで、普通の弓環のものを改造しました。実際には、幅が1mmほど足りませんが。。

この部品のリプロ部品もイーベイなどでは出品されていますが結構高価です。研磨をしたフィッティングをケースに合わせてみます。う~ん、やっぱり1mm足りないね。まぁ、使えないことはありません。

 

特に水気の入った針は劣化が進んでいます。時分針は夜光塗料が劣化してみすぼらしい状態。秒針の蛍光塗料も経時劣化が激しいので、殆ど色素が無くなっています。

 

塗装を剥離したところ。時分針は下地に黒めっきが施されていますが、それも腐食をしている状態。

 

時分針は黒塗装の後、蓄光塗料と先端白の塗装をしてあります。秒針は、現存している個体の画像を見ると、退色しているか再塗装をされたものが多く、オリジナル色が判然としません。やっと見つけたデット品画像から、少し派手目の蛍光レッドとしました。しかし、針の塗装はサイズが小さく精密な塗装が要求されますので満足な仕上がりにはなっていません。メーカーさんの製造方法を見たいところ。研究の余地が大です。

 マジックレバー式の自動巻き機構は、たったこれだけの部品構成。(両方じゃないです)左側のオリジナル部品は伝エ車の摩耗が進んでおり、右側のセットを使用することにします。

 

去年の12/10にセカイモンを通してe-bayで手配をした文字盤とベゼルプレートが今日現在、いまだ届きません。成田税関までは来ているようですが、運悪く連休に入ってしまって通関が遅れているようです。しかし、もう少しリードタイムの短縮が出来ないものでしょうかね? で、ベゼル仕上げの下準備として、傷が多いオリジナルのブルーのプレートを分離しようと試みましたが、簡単には外れません。オリジナルは大切にしたいので、ドライバーなどてこじって損傷もさせたくないし・・そこで、旋盤にてジュラコンの押し出し治具を作ってみました。

やっと分離しましたが、ベゼルのエッジが爪になっていて、プレートを嵌め込んである式でした。両面テープで貼ってあるのかと思っていました。この後ベゼルの傷を修正しておきます。

 

1カ月掛かって、やっと文字盤とベゼルリングが到着したのだが・・印刷文字とカレンダー窓の色については、仕向地によってバリエーションがあるので問題としない。問題は、左のオリジナルでも殆ど退色して見えにくいが、6時▢中に橙(黄)で40.50.60が印刷されているのですが、右のリプロ品には全く印刷されていない。e-bayの画像では、ちゃんと印刷されているのです。このパーツは出品者の封筒から、フィリピン製と推測されます。

ベゼルリングはブルーの色は微妙に違うが、左のオリジナルも変化をしているので何とも言えませんね。左のオリジナルは内周の目盛り部分が斜めにカットされていて良い感じですが、右のリプロ品は平面なのは仕方がないところ。

 

寸法的には適合すると思いますが、裏面の形状の違い。左のオリジナルは平面で、右のリプロ品は段付きに加工されています。まぁ、付いてくれれば問題はありませんが・・

 

大分長いこと中断をしておりまして・・「どうなった?」とお問い合わせを頂くケースが多いもので。バレンタインデーで普段は控えているチョコレートを頂きました。ケースは部品入れに使います。文字盤の件ですが、セカイモンさんで出品者に交渉を頂き、良品を「追走」するという約束になったのですが、半月経過しても連絡がありません。で、問い合わせをしてみましたが、出品者は追走したとの連絡が有ったとのことでしたが、郵便のTRK#を連絡してこないそうです。まぁ、あまり関心出来ない出品者ということになりますので、同じように落札をお考えの方はご注意された方がよろしいかと・・

仕方ありませんので、印刷不良の文字盤で組んで行くことにします。

 

 

機械に取り付けてみましたが・・12時間計と30分計の穴位置が合いません。文字盤が左に寄ってしまいます。取付足の位置がアバウトなようです。よって、針を着けると目盛りに合わないのです。価格の割にはそこそこの出来なのに惜しいですね。

クロノグラフの秒針軸は針の固定のため丸ではなく、カットしてありますから、古い針を再塗装で使ったため、取付位置に癖がついていて真っ直ぐに取り付きません。リプロ針を使った方が良かったかも知れませんね。

 

本来はベゼルプレートはケースに取付け前にセットしておくのかも知れませんが、そうすると文字盤の0時に「60」をピッタリと一致させることが難しいので、ベゼルのみを取付け後、機械をセットしてからプレートを貼るようにしました。

どう? 秒針の蛍光色が少し派手目なため豪華な面構えになりましたね。リプロのベゼルプレートはTACHYMETERが金に印刷されているものなど、数種類が流通しているようですが、今回使用したものは、接着など一切必要なく、かっちりとはまり込んでくれました。文字盤と違って、こちらは良い精度です。文字盤と価格が殆ど変わりませんけどね。

 自動巻き機構を組み込みましたが、マジックレバーと伝エ車が摩耗をしていました。正確に巻上げ出来ませんので、他の個体から調達して組み込んであります。

 

以前に加工をしておいた汎用のSSベルトを取り付けました。そのうち、このモデル用のリプロベルトと交換するつもりです。

 

このモデルは1974年製ですから昭和49年ですね。右は戦後の昭和25年頃の製造と思いますが、比較すると同じ人の腕に嵌める時計なのに、この大きさの違いにはびっくり。24年でこれだけ日本の製造業は発展したのですね。文字盤や針など、新しいパーツが入手出来ましたら、また、UPするつもりです。

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PEN用パンケーキと20mmの巻

2016年02月13日 20時21分54秒 | ブログ

先日、素晴らしいコンディションのPEN-FVをお持ち頂いたオーナーさんから、レンズ2点のメンテナンスご依頼です。しかし、いつもながら素晴らしいコンディションの個体を見つけられると感心してしまいます。両方とも、特に問題はないほどきれいなレンズです。

しかし、精密に見て行くと、両方とも分解歴はあるのですね。まず、38mmパンケーキから。変なところに引っかき傷がありますねぇ。レンズは軽い汚れ程度ですが、パンケーキの持病のヘリコイドグリスが抜け気味で、リングの逆転でコクッとしますね。

マウント部のスリ割が痛んでいます。

 

 

ヘリコイドの長さがこれしかありませんからね。定期的なグリス交換が必要です。分解洗浄の上、グリス交換とレンズの清掃をしておきます。

 

絞りリングの可動個所にも軽くグリスを塗布して組み立てます。

 

 

ヘリコイドガタが消えて良いコンディションのパンケーキとなりました。

 

 

こちらは20mm f3.5。レンズの曇りのない個体は希少です。こちらのレンズも過去に分解されていますね。しかし、プロのお仕事と思います。

 

多段ロケット式の前群も分解を受けている。

 

 

こちらのスリ割もね。ここは、緩み止めの接着が強いので、ぴったり合ったドライバーで慎重に回さないとスリ割を壊す危険が高いです。

 

レンズは、結露による汚れと、ヘリコイドグリスの硬化により、ピントリングの回転が重い状態です。鏡胴を分離してグリスを入れ換えます。

 

後玉を清掃して組み立てます。

 

 

前群は清掃を受けていますが、程度は良好です。

 

 

これで2本完成です。前後のレンズキャップも付属しており、素晴らしいコンディションでしたね。

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