今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

Rollei 35 classic の巻

2019年10月31日 19時45分00秒 | ブログ

ローライ35クラシック(チタン)というやつですかね。復刻発売は1990年とのことですが、クラカメブームの時に新宿の中古カメラ店回りをしていた時だったかなぁ・・本体は高くて買えなかったので、ストラップだけ買って今でも未使用で保存してあります。で、現在の中古相場でも一時よりはこなれて来たようですが、それでも普通のモデルよりは高いですね。外観で気づくのはホットシューが底部からトップに移動して使いやすくなったようですが、デザイン的には何だかなぁという気がします。シボ革部分もチタン風塗装で豪華に見えますが、私にはメカゴジラに見えなくもない・・

で、殆ど使用せずにコレクションしていたような個体ですが、かと言って不具合が色々ありますね。まず低速シャッターの不調です。ファインダーも含めてメンテナンスをしておきます。上はローライ35Sですが、ホットシューに来るリード線以外は同じようです。(スプロケットギヤは樹脂と真鍮は普通モデルでも混在してます)

 

ファインダーは全く変更がないようです。さすがにブライトフレームの蒸着は新しいのでしっかりとしています。

 

 

ダスト除けのテープを貼って本体に取り付けます。

 

 

35と言ってもレンズはSonar 40mm f2.8 HFTとローライ35Sと同じなので直進ヘリコイドです。

 

 

沈胴にも問題があって、レンズの自重で落ちて来てしまいます。

 

 

指標は普通モデルの彫刻色入れからパット印刷にされているのは残念なところ。そのうち磨滅して消えてしまいます。

 

 

ほとんど使用されていないのに沈胴が緩い? 原因はフェルトの材質が、普通モデルよりフェルトの密度が荒い一般に市販されているのと同じタイプなので圧縮されると復元力が足りないようです。

 

レンズとシャッター/絞り羽根を分解して行きますよ。後玉を留める3本のネジがマイナス(-)から(+)に変わっている以外には変更はないようです。

 

 

絞り羽根の洗浄とレンズの清掃をしておきます。

 

 

ヘリコイドグリスを追加してユニット完成。

 

 

裏蓋にはフィルムタブホルダーが追加されています。まぁ、便利と言っちゃあ便利だけど要らないかも・・

 

 

最後に∞調整をして前面プレートを貼って完成。

 

 

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M42・テッサー50mmf2.8の巻

2019年10月30日 21時15分00秒 | ブログ

すみません。最近、中古カメラ店様から同じ機種の修理ご依頼が多いため、更新に間が開くことが予想されますので悪しからずご了承ください。で、Carl Zeiss のM42テッサー50mmf2.8ですが、このレンズは何世代もの種類があるようですね。絞りがf8までしか動かない。とのことですが、絞り値を伝達する部品が内部に脱落していました。

なんで脱落したのか?ですが、どうもリング部をぶつけて変形をしているようです。円を書いて合わせてみると・・ははぁ、やっぱり変形しています。実測すると長径58.25mm、短径57.36mmでした。これが原因で接触をして脱落をしたのかも?

 

短径の部分を内側から押し出します。

 

 

こんなところで寸法差が無くなりました。

 

 

組立たところ、微妙に擦れるようで調整が必要でした。レンズは分解をして清掃してあります。前面プレートをねじ込みます。

 

 

ヘリコイドグリスの追加と外観の清掃をして終了です。

 

 

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Kowa SWはシンプルカメラの巻

2019年10月26日 16時55分50秒 | ブログ

「おめぇへそねぇじゃねえか」のコマーシャルを覚えている人はかなりおじさんです。製薬メーカーでもあるコーワがPEN-Wと同じ1964年に発売したSWというカメラ。28mmの広角レンズを搭載している露出計、距離計無しのシンプル設計ですね。SEIKO-SLV搭載シャッターが不動ですがシャッター羽根の張り付き以外にも問題があるようです。

カム板が非常に薄く変形しやすいので、羽根を開閉するカムと正常に接していないのでした。

 

 

洗浄と調整で快調に作動するようになりました。

 

 

レンズは右が前玉、左が後玉。どちらも同じネジ直径なので逆にも組めてしまいます。

 

 

こっちは後玉ですね。汚れはありましたが清掃で良好になりました。

 

 

ちらは前玉側。ビー玉みたいなレンズですね。残念ながら前面のレンズは傷が多くあって良い状態ではありません。

 

 

特徴的なプリズムファインダーです。

 

 

バルサムの劣化がありますが実用上の問題はありません。清掃をしておきます。

 

 

この巻上げレバーの感触はどこがで感じたと思いましたらキヤノン7に似ていました。低くてボタン座の大きなシャッターボダンの感触も同様です。

 

 

妖怪の一つ目小僧に見えるのは私だけかな? 本当にシンプルなデザインですね。生産数は多くなかったようですから、今となっては希少なカメラのようです。ブラックモデルも存在しますね。

 

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リサイクル屋に転がっていたPEN-Wの巻

2019年10月24日 19時00分00秒 | ブログ

今日ね。歯の治療で痛かったのでやる気ないです。このPEN-W #1043XXはね。リサイクルショップに転がっていたそうです。店主が価値を知らないのか、評価が下がってしまったのか? ゴミ処分のところを辛うじてオーナーさんが救出して来たという幸運な個体。しかし、塗装の状態も悪いしとにかくばっちい。

 

たぶん間違いなく、今までに私のところに来た個体で一番状態が悪い。

 

 

ただ、内部などは思ったよりマシな状態です。

 

 

ただし、下手に洗浄をすると塗膜が剥がれちゃいます。PEN-Wの塗装が悪いのはご承知の通りですが、たぶんプライマーが悪かったと思いますね。

 

 

PEN-Wのレンズはどれも良くないのですけど、あら~意外に悪くなさそうです。これは予想外。

 

 

トップカバーの留めネジがシュー下以外失われています。

 

 

取りあえず分解洗浄をしたところ。フィルムレールは磨いておきました。

 

 

スプロケット軸とスプール軸、リンケージ、モルト貼りなどが終了。未分解のシャッターをO/Hして行きます。

 

多くの個体でストロボのターミナル接点の半田が取れています。

 

 

意外にシャッターは羽根の錆も少なくも組立に問題はありません。

 

 

レンズも現存の個体の中では悪い方ではありません。

 

 

ヘリコイドグリスを塗布してレンズを組み込みます。

 

 

ファインダーの分解、レンズの清掃をして組み込みます。

 

 

製造は1964年10月(昭和39年)で、まさに東京オリンピックの開催されていた月です。リサイクルショップで救出されたので二回目の東京オリンピックを経験できる幸せな個体でした。

 

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取説付きの三光PENの巻

2019年10月22日 19時00分00秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニア」さんからシリアル№が記入されている取説付きの三光PENが来ています。シリアル№はメーカーで記入されたものではなく、当時は紛失時の覚えとして記入を奨励されていたものです。意地悪く考えれば、最近、別に手に入れた取説に手持ちの個体のシリアル№を記入することも可能ではありますが、ブルウブラックインクの万年筆で記入されていますので、まだボールペンが普及する前の頃とすると考証的に当時の本物と判断します。

残念ながらファインダーの縁が欠けています。

 

 

裏蓋底のへこみ。

 

 

レンズの後玉のコーティングがすごいことになっています。

 

 

巻上げダイヤルカバーは初期の熱カシメタイプですが失われています。それより問題は、シャッターユニットが後期のものに交換されているようです。PENの発売は1959年(昭和34年)10月とのことですからシリアルから昭和35年ぐらいの製造のはずですが、昭和40年1月のシャッターが付いています。三光PENはシャッターユニットが安易に後期のものに交換されているケースが目立ちますが、故障は直せばよいのであって交換されてしまうとオリジナルでは無くなってしまうのです。

まっ、先に進めます。熱カシメの軸部分をポンチで抜き出しておきます。

 

 

すべて分解洗浄をしてみると・・あら~、シャッターユニットだけではなく、シャッタースピード環も交換されていますね。COPAL-Xが付いています。道理で洗浄後のメッキの状態が不自然に良いと思いました。目下、オーナーさんが部品を調達中なり

 

作業を再開します。シャッタースピード環はこれを使用します。一部に腐食がありますが、この部品のメッキの質は良くないので時代を考慮すれば仕方がないのです。

 

 

巻上げダイヤルのカバーですけどね。左が三光の初期に使われている熱カシメタイプ、中央はその後に変更されたネジ留めタイプ。右はもっと後期のタイプで、金型も精密になって全体の厚みも薄くなっています。また、時代によってグレーの色にも違いがあります。

 

で、今回の個体は初期の熱カシメタイプなのですが、使用できるストックがありません。左はシリコン型によるレジン複製のための原型として保存しているもの。この時期は上面を研磨してありますね。そのまま組み立てると巻上げダイヤルに接触をしたのでしょう。

 

この個体#1057XXはまだ対物レンズは樹脂製が使われています。

 

 

巻上げダイヤルカバーですが、今回はネジ留めタイプを改造をして取り付けました。

 

 

対物レンズ部分には遮光紙が貼られていたはずなので追加しておきます。

 

 

これで本体にセットします。

 

 

こんな感じ。

 

 

「遅れて来たペンマニア」さんの元箱取説付きコレクションもずいぶんと増えて来ましたね。

 

 

取説と一緒に「オリンパスカメラの歌」という歌詞カードが付いていましたので紹介しちゃいます。作曲はいづみ・たくさんなんですね。この頃は永六輔などと人気の作曲家でしたね。

 

楽譜の読める方は演奏してみてください。

 

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