今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO CROWN+KONIKA ⅡBの巻

2021年02月22日 20時30分00秒 | ブログ

九州のご常連さんからセイコーとコニカが来ていました。まず、確かに文字盤には「cronos」となっているんですけどね。わざわざデッドストックの新品文字盤まで付いています。

 

しかし、裏蓋を確認すると・・ほとんど磨滅して判読不能ですが「15002 Seiko Crown」と読めますよ。ケースがクラウンなのかなぁ?

 

文字盤もCronosですね。

 

 

キャリバーを確認してみると「560」ですから初期のクラウン19石ですね。さて、クロノスではありませんがオーバーホールをしてもよろしいのでしょうか? じつはオーナーさんの過去メールを間違って削除してしまったようでご連絡がつきません。ご覧頂いていましたらお手数ですがご連絡を頂けると助かります。

では、コニカⅢBを先にやります。程度は悪くはなく、レンズ汚れ、スロー不調、ヘリコイドグリス抜け、ファインダーの汚れなどですのでメンテナンスをして行きます。

 

過去に何回か修理を受けているようです。各部の清掃や注油をして行きます。

 

 

レンズはコーティングが劣化をしていて清掃をしても薄く曇りが残りますね。

 

 

ヘリコイドグリス交換のためシャッターユニットを取り出します。

 

 

ファインダーは清掃できれいになりました。金コートのハーフミラーは劣化があまり無く、途中で交換されているのかもしれません。

 

巻上げ関係のギヤをメンテナンスしておきます。

 

 

そうでした。この個体はレリーズボタンを押してもシャッターが切れないのでした。原因はリンケージのガタ(隙間)が大きくなっているため。の部分で隙間を調整出来ます。

 

裏蓋開閉鍵を清掃グリス塗布で組み立てます。後は二重像の調整などをして行きます。腕時計はどうしましょうかね?

 

二重像の調整はシューを取り外した丸穴から行うようにはなっていますが、実際はネジの緩み止めが塗布されていたりしますのでトップカバーを外してからでないと正確な作業は出来ませんね。

 

レンズはねじ込み式の沈胴式となっていて、この位置から反時計回りにレバーを回してレンズを収納します。

 

では、クラウンをやっていきましょうかね。文字盤は特に接着などではなく普通に取り付けられていました。

 

機械は年代の割には摩耗などは少ないようです。分解と超音波洗浄をして組み立てていきます。

 

 

香箱を洗浄してゼンマイをセットします。

 

 

組立は特に問題はありません。アンクルを取り付けます。

 

 

テンプを取付けて元気に動き始めました。

 

 

傷だらけのケースは軽く研磨をして洗浄しました。風防ガラスは近年に交換されていますが、ベゼルに圧入になりません。全然緩いです。これは接着で取り付けるようです。

 

例の文字盤ですけどね。問題があります。そもそも付いていたCronosの文字盤もケースに対して少し小さいようです。実測でφ32.08mmですが、交換用の文字盤はさらに小さいφ31.72mmで、このまま取り付けると外周に隙間が空いてしまいます。私は時計師ではないので文字盤の規格については良く知りませんが、僅かな寸法の違いで多数の種類があって、デッドストック品を探す時には苦労しますね。下の2枚はストックですがCrown用です。寸法はφ33.15mmで、このケースにはぴったりでした。しかし、私の私物なので使えません。どうしたものか?

天真の摩耗はありますが、年代を考慮すると良い方かも知れません。素性の良い優秀なキャリバーです。

 

 

クラウンとクロノスの文字盤の脚間寸法は同じでしたが、そのまま付けるとセンターが僅かにズレました。これだけでしたら脚を曲げることで無理に取り付けることは出来ますが(実際に付いていたので)、もう一つの問題が発生しました。それは既存で付いていた文字盤はインデックスより中央がフラットになっていますが、交換用の文字盤はドーム型のため、特に筒車が文字盤より下がってしまい短針を取り付けることが出来ません。ということで、交換は断念して元の文字盤を取り付けることにします。

ユルユルの風防ガラスはベゼルに接着をしました。特にセイコー製の接着剤でなくとも良いですが・・

 

 

文字盤が良ければかなり良い状態に仕上がったのですが今回は仕方がありません。オーナーさんには適合するクラウン用の文字盤を探して頂ければと思いますが、説明した通り、文字盤は寸法や形状で種類が多数存在しますので、目当てのものをGETするのは意外に大変なことです。マーベルの改良版のクラウンは1959年3月~1966年頃まで生産されたようで、この個体はシリアル№から1960年1月の生産と推測されます。現存の個体は21石が多いので19石は返って貴重かも知れません。左の上下は仕上げてある私のコレクションで、下の個体は15002で今回の個体と同じモデルになります。

すみません。2日続けて定期健診があったり非公開のPEN-D2作業があったりで間が空きました。クラウンですが、オーナーさんがネットで文字盤を調達して来られましたので交換することにします。デッドストック新品ですが、表面には細かキズや汚れがありインデックスも曇り気味ではありますが年代を考慮すれば悪くはありませんね。

どうも光り物が良く写りません。ケースに文字盤をセットして適合を確認します。予め寸法を計測していたのでぴったりでした。ちゃんと19石用です。

 

交換作業は割愛します。本来は金側ケース用の文字盤なのでしょう。いっそ、針も金メッキに交換した方が似合うかもしれません。

 

これでやっと本名のクラウンに戻れました。隣りは、機械以外はすべて新品で組み上げたクラウン21石で文字盤はSD文字盤です。別の引き出しに入れていて作ったのを忘れていました。クラウンは優秀な機械ですから現在でも充分に実用することが出来ます。似合うベルトを付けてあげてください。

 

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通常メンテナンスの巻

2021年02月21日 22時40分00秒 | ブログ

思いのほか今年の冬は寒かったですが、しかし、ここのところ、関東地方は先が見えて来たようで気温が上がるようになって来ましたね。私は暖かいので、久しぶりに野外の駐車場で車の改造パーツの取付なんぞをやっていましたが、以前のように目が見えないので苦労しました。メガネ作って来なくっちゃ・・で、カメラの作業は故障ではない何時ものメンテナンスをやっておりました。ローライ35ですが、トップ前面に凹みというか歪がありますね。これは修正をしておきましょう。

巻上げレバーの樹脂のレバーアテも破損している個体が多いです。今のところその都度作っていますが、これが意外に手間なんですね。自動機で大量に作った方が良いかも知れません。

 

ジャーマニーですからファインダーはプリズム製です。内部に若干の劣化がありますが仕方がありません。

 

初期型にはフィルムカウンターの逆転防止用の爪が樹脂製のため強度が落ちてカウンター板の逆転を止められない個体があります。

 

初期型以降の個体には画像のような補助用の板バネが共締めされて強化されています。この部品も作らなければなりません。

 

裏蓋の開閉レバーが初期型ですね。これは使用過程で摩耗をすると裏蓋のロックが弱くなるので好きではありません。

 

トップ前面のへこみも気にならない程度になりました。全体的にはコンディションは良い個体です。

 

 

ローライコードⅣですが、こちらも特に悪いところはありません。シャッターのスローが遅い程度なのでメンテナンスをしておきました。シボ革を貼っていきます。

 

真鍮製のネジ頭が腐食して緑青が盛り上がってシボ革が出っ張っている個体が多いです。

 

 

このように緑青が発生しています。状態は粉ではなくペースト状です。

 

 

裏蓋の縁が曲がっていますね。修正をしておきます。このように商品として気になるところに手を入れて行きます。

 

 

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元は良かったPEN-S 3.5の巻

2021年02月17日 21時50分00秒 | ブログ

毎度同じで特別なところはないので簡単にUPしておきます。PEN-S 3.5 #1264XXは1965年8月製造の個体です。使用感はあまりなく元は良かったと思いますが保管が・・シャッターはしょうがないよね。ファインダーの汚れ、レンズが心配ですね。

 

シューのレール片方が曲がっています。しかし、この部品は曲げ加工ではなく切削品なので直そうとするとクラックが入ってしまいます。よく観察するとすでにスジが入っていますので触らないことにします。

 

オーナーさんから巻き戻しノブのガタツキを指摘頂いていますが、PEN-Sの中期頃までは軸のスラスト方向のガタの調整は、厚みの異なる調整ワッシャー(シム)を個体に合わせて組み合わせてガタを修正していましたが、それでは工数が掛かるのでこの個体のようにカラーを取付けてガタ量を一定になるようにして調整フリーに変更されているのです。それによって隙間の修正は出来ないのです。グリスでガタを緩和するようにします。

シャッターは分解をして部品を洗浄点検しましたが、特に摩耗や損傷などは見当たりません。ただし、メインバネは弱っています。

 

 

洗浄した本体にモルト貼り後、スプロケット軸、スプール軸とシャッターユニットを組み込みました。

 

 

ファインダーは前面ガラスと対物レンズを取り外して清掃します。

 

 

再接着をしてファインダー完成。

 

 

シューの材質は正確には分かりませんが、ストロボなどの機材を取り付けるため強健さが要求されるので硬い材質が使われています。硬さはあっても粘りが無く、一度曲がるとすでにクラックが入っているのが分かります。EE-2などになると平板をプレスしたものに変わりますから、仮に曲がっても修正することは可能ですが、見た目はチープになります。果たしてどちらが良いかです。

予想はしていましたが後玉はコーティングが、かなりやられていまして清掃ではきれいになりませんね。PENコンパクト系は後玉のコーティング劣化がウィークポイントです。

 

元は使用感の少ない良い個体だったのですけどね。まぁ、きれいにはなりましたね。

 

 

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次は27万台だぁPEN-FT(B)の巻

2021年02月15日 21時20分00秒 | ブログ

次もPEN-FT(B)ですけど#2727XXと各部は変更後のユニットが使われている頃です。外観の塗装はそれほど磨滅していないのですが、画像ではきれいに見えますが手垢汚れが多いです。巻上げは非常に重くゴリゴリしています。また数度に一度程度2回巻上げになりますのでチャージギヤ(軸)の摩耗が予想されます。その他、露出計不動、セルフタイマー不調などあります。

接眼枠が欠けています。トップ面のPEN-FTが黄ばんでいますのでシューアダプターを使用していたようです。ファインダーは曇っていてハーフミラーは交換ですね。

 

トップカバーを開けてみると・・一見未分解機と思いましたが、トップの黒テープに両面テープを貼って貼り直しをしてありましたので開けていますね。しかし、特に何もしていないようです。

 

すでに分解をして洗浄をしてあります。

 

 

シャッターユニットのチャージギヤ軸を点検すると・・(前面側)の軸に摩耗があります。症状的には軽症かと予想していましたが、結構削れていました。ちょっと残念です。

 

プリズムのコーティングにカビ汚れがありますね。これは保管が良くなかった証拠です。これを不用意に清掃するとコーティングを剥がしてしまいます。

 

組立は同じなので飛ばしていきます。露出計不動は配線回路の問題(だけではないが)なので電池室からのリード線を新しくしておきました。

 

リターンミラー関係のオーバーホールを終えて本体に組み込みます。

 

 

プリズムのコーティングは何とか助かりました。ハーフミラーは劣化していましたので新品と交換です。また、接眼枠が欠けていましたのでご希望により新品と交換してあります。

 

放置されていた期間にフィルムレールが腐食して、接触している圧板側に移行しています。また、板バネにはカビが発生しています。

 

このように研磨清掃をして組み込みます。

 

 

不調のセルフタイマーをオーバーホールして組みました。

完成画像を撮り忘れました。これで終了します。(1969年10月製)

 

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前期型のPEN-FTの巻

2021年02月11日 21時45分00秒 | ブログ

前期型#2146XXのPEN-FTですけど、外観もきれいでメカもファインダーの汚れ以外は良好な個体です。付属の40mmは〇部分にアタリがあって、フィルターがねじ込みにくくなっています。

 

20万台前半の個体はフィルムレールが腐食している個体が多くなりますが、この個体はきれいです。

 

 

気になったのは裏蓋のラッチがスライドせず、長い間、飛び越して使用されていたようです。部分が摩耗しています。

 

では、洗浄のため分解をして行きますが、まずは曲げないためにフィルムコマギヤから取り外していきます。

 

状態は良いので書くことはあまりないと思います。すでにスプロケット軸、スプール軸とギヤを組み立てています。

 

前期型なのでシャッターユニットは改良前のメインバネが強化される前タイプが使われている関係で巻上げは軽いのですが、オーナーさん曰く「巻き上げが重いので・・」え~、後期型を操作してみたらどれだけ軽いのかお分かりになるのですけどね。じつは、この点検でバネが弱いと感じましたので、バネを1段張りたいところですが、巻き上げか重くなるのでこのままとします。

この個体は未分解機と思いましたが、チャージギヤを分離して行くとのグリスの中からM1.2のネジが出て来ましたよ。私はネジを見ればどこに使われているのかは分かるのですが、このネジは分かりません。M1.2は画像のバネカンに付いている(ネジロック塗布)ネジがありますが、ちゃんと付いていますよね。はて??

元々が巻上げが軽い個体でしたが、グリス交換によってスムーズさが増したように思います。

 

 

20万台初期の個体としては非常に保存が良く、ハーフミラーも劣化は少ない方かなと思います。しかし、交換が必要です。

 

意外に忘れられるのが露出計指示窓の表示光路の清掃です。プリズムや反射ミラーが曇っていたりチリが付着しているとファインダー像から非常に見にくくなります。これらをすべてクリーニングします。

 

状態が良いという先入観から、スクリーンも無傷と思い込んでいまして、組立ててみると水滴のような点々が多数見えました。取り出してみると・・あ~、(上部の白点)これは表面からの傷ですね。拭き傷もあります。これは修復できません。洗浄に留めておきます。

 

セルフタイマーが不調でした。21万台ですでに改良型のユニットが使われています。の内部が3つのコロによるクラッチになっています。

 

オーバーホールで完調となりました。

 

 

リターンミラーを駆動するミラーユニットはまだ改良前ですが、これも巻上げの軽さに影響しています。右端のボトムキャップはアルミのキャップを接着されていますが、後期ではシール式となります。

 

付属の40mmはヘリコイドガタが大きく出ています。また、フィルター接続部に打撃を受けて変形しており、フィルターが半分程度しかねじ込めません。本来は指標環とは固定されていませんが変形のため外れませんね・・

 

こんな工具もありますが大まかに変形は直せてもフィルターマウントとフィルター両方がアルミ製のため、ねじ込むと噛み込んでしまいます。その他、ヘリコイドグリスの交換とレンズ清掃をします。

 

きしみながらもフィルターがねじ込まれましたね。ヘリコイドのガタも無くなっています。21万台の前期型としては露出計の作動も良く保管と扱いが素晴らしかった個体でした。

 

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