今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

プチ整形のコシナ35Eの巻

2023年05月30日 10時59分59秒 | ブログ

カメラ以外の作業をしますので少し間が空くかも知れませんのでUP予定のなかった作業を載せておきます。古くからのご常連さんでレアなコンパクトをコレクションされている方がおられます。以前にもペトリM35が来ていましたが、それのコシナ版ですかね。コシナがペトリのOEM生産をしていたとすると自社のブランドでは販売できないと思いますので、設計もコシナなのかも知れません。この方はニコイチなどで、出来るだけ良好な個体にしたいというご希望が多いです。今回のメイン機は露出計が不動のため、部品取り機が付いて来ていますが、それほど古いカメラではありませんので、Cdsやメーターの不良は少ないと判断して回路のやり直しで復活させました。過去に分解は受けていて、ファインダーカバーの留めネジが1本欠落しています。

非常にオーソドックスなファインダーですね。曇りはありますが、ハーフミラーの劣化も無く清掃で良い状態になります。二重像も確認しておきます。

 

メータの配置など、どこかで見たような教科書的な配置です。

 

 

前面にフィルターリングに打痕と、過去の分解でリングナットのスリ割りが傷ついていますので交換ご希望です。

 

部品取り機から調達したフィルターリングに交換しました。

 

 

Cdsユニットを戻しますが、配線に余裕がなく半田付けがやり難い・・

 

 

ASA盤を戻します。クリックのスチールボールにグリスを塗布します。樹脂の前面カバーも比較で部品取り機の方を選択します。

 

底部の巻上げ系の清掃とグリスを塗布します。距離リングの開いている孔(3か所)は奥にレンズを固定しているネジがあります。無限調整の時に緩めます。

 

細かなところですが、二重像調整孔のメクラネジも傷付いていましたので交換しておきます。

 

これでプチ成形終了。部品取り機も整備をすれば問題なく生きます。

 

 

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久々のPEN-Wなんだがの巻

2023年05月27日 13時00分00秒 | ブログ

ボールドウィンとB20はメンテナンスが終りました。試走のレールが無いので運転会ぶっつけです。で、久しぶりのPEN-W #1079XX(1964.11製)なんですけどね。状態は良くないですね。

 

長期に放置されていた個体でしょうね。トップカバー前面の彫刻文字部分に塗料で補修された形跡があります。その他、シャッター不調、ファインダー曇り、レンズ汚れなど定番の不具合です。

 

巻き戻しダイヤル部分が激しく腐食していまして(画像は清掃後)留めネジ1本が腐食して太り緩みません。

 

仕方ありませんのでネジ頭を削り取ってトップカバーを分離しました。残ったネジを削り取ってM1.7のネジを再生します。

 

ねじ孔再生完了。この分だと先が・・

 

 

シャッターカム(シャッターリング)の内部が激しく腐食しています。軒先にでも吊るされていたのかな?

 

当然シンクロターミナルの半田付けは外れています。

 

 

通常は補修された塗料の除去はシンナーを使いますが、PEN-Wの場合はオリジナル塗料の密着が非常に悪く、シンナーを使うと本来剥がれない焼付塗料まで剥がれてしまいます。彫刻文字にも塗料が入っているので針で取り除きます。補修をされた方のお気持ちは理解出来ますが、商品としては剥離してオリジナルに戻さないとダメなんですね。

シャッターは未分解でしたが奇跡的に作動はしていました。しかし、全体に遅くて使えません。左のアルミ製ハウジングは今までに見た同型シャッターで一番腐食していました。それを磨き出して組立をしているところ。シャッター内の部品は正常でした。

シンクロのターミナル接片は半田が剥離していて腐食が進んでいます。

 

 

接片を磨き出して半田付けをします。ここの半田は剥離している個体が多いので、ストロボが発光しない場合は点検する必要があります。

 

ターミナルも腐食により導通不良となっている場合があるので発光テストをして作動を確認します。

 

レンズは前群の内側のコーティングが水滴状の劣化がありました。各レンズを清掃して組み立てます。

 

トップカバーの彫刻文字に色入れをする場合、自然乾燥塗料は剥離しておきませんと、色入れの拭き上げの時に白が灰色に濁ってしまうので、完全に拭き取っておく必要があります。で、この状態。PEN-Wの塗装は元々、プライマーが良くなくて劣化と剥離をしますが、この個体は保管が悪いためさらに剥離がし易いので難儀しました。本来はリペイントをした方が簡単です。

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ローライ35ジャーマニーの巻 (2)

2023年05月23日 18時00分00秒 | ブログ

これでやっと完成。いくつ不良項目がありましたかね。次の個体はもう少し古い#3022XXXですが問題がありそう・・

 

ギヤは金属製の頃です。過去に分解されていまして、恐らく露出計ユニットは交換されていると思います。(作動します) 湿気が入ったか錆が発生しています。

 

事前のテストでシャッターが止まる。低速が切れない症状がありましたが、ガバナーのアンクル規制バネが無くなっています。これでは低速は切れません。

 

複製も作れますが、シャッタースピードに関係する部品でもあるので純正を使っておきました。

 

シャッターとレンズをメンテナンスしておきますが、前面のプレートが白く劣化していておちょこに変形もしています。これは古いジャーマニーに多い劣化で平らに接着をするのが非常に困難です。複製を作りたい部品です。

 

シャッターは比較的きれいで問題はありませんでした。新しいヘリコイドグリスを入れて前玉を取り付けます。

 

このまま問題が無く終了するかと思いきや、そうは問屋が卸しません。古いジャーマニーに多いですがB(バルヴ)が止まらず切れてしまう時があります。連続の時は作動をして、しばらく放置すると再発する。このような故障が非常に厄介です。ピンセットのレバーが上方に動いてシャッターの走りを止める原理ですが、のカシメ部分の固着が原因のことが多いです。しかし、この個体の場合は作動バネの張力が弱っていてレバーを押し切らない時があるのです。ローライ35系はこのように髪の毛の太さ程度のバネが多用されており、脚が長いので経時的に張力が弱ってしまう傾向があります。バネを矯正します。

それで解決と思いましたら、今度はシャツターが閉じない現象が出ます。これは、裏側のチャージレバーを戻すバネが弱いのです。右がこの個体のバネ、左は別の個体のバネ。線径は同一ですが強度が違います。自由位置の違いでヘタっていることが分かります。

これで良いかと思いましたら、今度は絞りスライダーのバネが付いていません。どうもこの個体はバネが鬼門のようです。追加をして組みます。

 

もうないよねと思いましたがありました。巻上げレバーのネジ孔とレバーの小判孔が合っておらず、1本が留まりません。初期型ですから本来はレバー側に落し込み加工があると思いますが、この個体はプレーンの変更後のレバーです。恐らく交換されたものではと思われます。露出計ユニットも交換されていることから、過去に大きな修復を受けた個体のようです。

で、B20は№プレートが赤の時代もあったようですので朱色に塗って取り付けます。

 

 

自然故障でなく、過去にいじられた個体は、思わぬところに不具合が隠れていたりしますから厄介です。これで良好になりました。

 

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ローライ35ジャーマニーの巻

2023年05月22日 06時00分00秒 | ブログ

ローライ35のジャーマニーですが#3039XXXと初期ではなく、ギヤも樹脂になっている個体です。現状は良くないですが、手を入れれば良い個体になりそうです。メーター不動・シャッター不調・沈胴不調・ヘリコイド抜け・レンズ汚れ・などが目につきました。まずはメーターが動かないと商品になりずらいのでチェックします。電池室からの取出しは、オリジナルはスポット溶接ですが、これが電池液漏れを起こした個体(この個体も)は溶接が外れやすい。ピンセットで押さえてもメーターの針は振れません。というか、メーター部のネジが外れて内部に脱落していました。ここのネジは常にラックギヤのストレスを受けていますので、緩み止めを塗布されていても外れるものが多いのです。メーターの方も修復しておきます。

点検でメーターは作動しますので回路を半田付けします。

 

 

正常に作動しましたね。それでは他の不具合を修理して行きます。

 

 

すでにファインダーを分離してスプールギヤの清掃グリス塗布をしてあります。巻き戻しレバーの規制バネはすでに1本棒からウェーブ型に変更されています。

 

このデジカメは光り物に弱く写りませんが、沈胴フェルトの調整をしていますが、リング部メッキに腐食があり気になります。そこまでの修復を行うお約束はしていませんが、購入して頂くオーナーさんのことを考えると、どうしてもそのままにしておけません。研磨をしておきます。

きれいになっているのが写りません。沈胴の調整をしてあります。シャッターの調整もすでに済んでいます。

 

ここで裏蓋をやっておきます。洗浄をしていて発見しました。ストラップ金具部分が大きく陥没しています。やはり修正の責任はありませんが・・

 

裏側から見るとはっきり分かります。本体側と接触をしていた形跡があります。う~ん、直さない訳には・・

 

簡単そうに見えて、垂直に工具が入らないので修正は困難です。まぁ、この程度でご勘弁。

 

巻き戻しダイヤルは樹脂製になっていますが、この樹脂は経時的に白化します。これもかならず作業をすることもありませんが黒く戻しておきます。セットのCリングは初期型で、Cの間が広く、リングが緩くなってくると、巻き戻し中にダイヤルが外れます。以後のCリングは隙間が狭くなります。

樹脂のメーター窓も曇っています。これも・・まぁ、磨いておきます。

 

 

レバーアテも欠落していましたので取付けてトップカバーASSY完成。ファインダーのアイビース部分にはアルミのLチャンネルはまだ入っています。

 

あぁ、背面の化粧ネジが欠品しているのでした。うちのオリジナルを付けます。あとはシャッター・レンズユニットのみです。

 

「HONEYWELL」のダブルネームでfeet機ですのでアメリカ向けに輸出された個体でしょう。組立時はm表示を上にして組みます。

 

後玉に僅かにカビ痕がありますが、他はきれいになりました。絞り羽根の作動をチェックしておきます。

 

これで完成と思いましたがフィルムのカウンターが「1」から先に進みません。カウンターが裏蓋側に付いているカメラの宿命で、カウンター不良が多いですね。

 

この個体は樹脂の「ロッキングスプリング」に補助バネが入っていないのが原因です。リーフスプリングを製作して取り付けます。

 

36枚まで正確に送れるようになりました。

 

 

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ローライフレックス2.8Cの巻

2023年05月20日 22時00分00秒 | ブログ

B20ですが、どうも2軸のB型蒸気模型は使い込まれて各部にガタが大きくなるとスムーズに動かないようです。このモデルもボールドウィンと同様な回転の引っ掛かりが起きます。で、点検して行くと車軸の中央に嵌っているウォームホイール(歯車)が正確にセンターに無い。それと画像のウォームギヤのモーター軸が飛び出しているなどが気になります。

このモデルの正常なギヤ位置は知りませんが、途中でギヤの位置がいじられているようなのでギヤプーラーを使用してウォームギヤ位置を軸先端まで動かします。

 

微妙な調整と車軸やロットの潤滑で何とか動くようになりました。現代はNゲージが主流ですので、若い世代の方は、このモデルのような前時代的な縦型モーター+ウォーム駆動などは直せないのかもしれませんね。

 

それでです。ローライフレックス2.8Cと言うのが来ていました。資料によると昭和27年発売のカメラだそうですから私と同世代でかなりくびれているかな? 巻上げのクランクがダンパーが利かずプラプラするので修理をせよ。とのことでしたのでクランクを分離してみました。ダンパー材の摩耗とバネの劣化があるようですが、それより、このモデルから採用された(と本に書いてある)二重露光装置のリングがクルクル回ってしまう。本来は目盛盤の範囲しか動かないはず。

分解してみると、「ハハァ」リングの位置決めピンが入っていません。構造を熟知していない方が分解すると、気がつかないうちにピンが脱落するのです。

 

手持ちにも無いのでφ0.8の鋼線から作りました。リングより僅かにピンが低くなる高さを調整してあります。

 

このカウンターはローライキンなのかな? 全く作動しないので修理をせよ。とのことですので分離して直します。

 

リングギヤを爪で送る構造なので、グリスが切れるとギヤを送らなくなります。洗浄とグリス塗布で直ります。で、全体のアルミ研磨でピカピカにして赤のを入れ直しておきます。

 

ファインダーのミラーは交換されていてきれいでしたので清掃のみとしてあります。

 

しかし、問題はスクリーンを留める2つのリーフスプリングのうち1本が付いていません。これではスクリーンが斜めに付いてピント位置が狂ってしまいます。このリーフスプリングは錆があると分解時に折れてしまうことがあります。

 

純正がありましたので追加して組みました。

 

 

シャッターとレンズは標準の清掃としてあります。

 

 

重い二眼レフに有りがちなのが底部の4脚のガタ。前の右側が僅かにへこんでいるようでギッタンバッコンになります。これは商品としては厳禁(ショーケース内でガタつく)ですので修正をしておきました。

 

シンクロ接点の抜け止めバネは嵌めにくいのですが、このタイプは組み易いです。

 

樹脂のレバーですね。

 

 

これで両方とも作業完了です。

 

 

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