情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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国会図書館が米兵らに対する裁判権放棄に関する資料を隠した理由~ひき逃げ死亡事故の遺族らに説明してみよ

2009-12-21 22:44:47 | 有事法制関連
 沖縄県読谷村で米兵によるひき逃げ死亡事件で、米兵の引き渡しがいまだになされていない。単なる事故ならまだしも逃げた以上、日本側できっちりと調べる機会が与えられるべきだが、米兵に対する日本側の裁判権の行使は限定されている。このような米軍関係者に対する刑事裁判権放棄に関する情報が掲載された検察内部の資料(合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料)を国会図書館が閲覧禁止にしたことに対し、閲覧を請求したフリージャーナリスト斎藤貴男さんが処分取消を求めて争っている事件で、国は資料の一部をマスキングするのではなく全体を閲覧禁止とした理由について、法務省がこの資料について「その存在を明らかにするだけで、他国との信頼関係が失われるおそれが生じることとなる」として全面閲覧禁止を求めたからだと主張する書面を提出してきた。しかも、国会図書館長は、国会審議において、この資料をめぐって行われた質疑答弁を確認したところ、外務大臣が「こういう資料がどういう性格のものであるかわからない」旨答弁したため、存在を明らかにするべきではないと判断したのだという。

 ここで、驚くべきは、国会での質疑答弁の内容だ(第162回国会衆議院外務委員会議録第8号/平成17年5月18日午後9時1分開議)。

 質問者赤嶺政賢議員は、米軍ヘリの沖縄国際大学への墜落事故に関連して、次のように質問した。

 【この資料は、昭和四十七年三月に法務省刑事局において作成をされたものとして書いてあります。昭和四十七年といいますと、ちょうど沖縄復帰の年を前にして、恐らく法務省刑事局が執務の参考資料として、「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」としてつくったものであります。これはマル秘、こういうぐあいになっているんですね。何でこんなものがマル秘なのか理解できませんけれども、その中の、この刑事局作成の資料の二百十二ページ、つまり次のページですね、八枚目の資料ということになります。
 ここには、通達番号六二―二、「航空安全 日本における米軍施設又は区域外の航空機事故」「在日米軍司令部」「一九五八年十月三十一日付」とありまして、これは在日米軍司令部が在日米軍の各司令官にあてた航空機墜落事故現場における通達の内容なんです。内部徹底のものです。
 日本政府は、その次のページあたりに、これでいきますとこのように書いてあります。この米軍の通牒、米軍が内部に送った通達を尊重せよ、こう書いてあるんですよね、この中に。それだけ航空機墜落事故現場に対する対応が米軍の言うとおりにしてきたという点では、当時も今日も屈辱的だったと思います。】

 航空事故の際の米軍の横暴な態度は、思い出すだけでも腹が立つが、ここでは話題は、資料に限定する。

 赤嶺議員は、資料のコピーを示したうえ、【昭和四十七年といいますと、ちょうど沖縄復帰の年を前にして、恐らく法務省刑事局が執務の参考資料として、「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」としてつくったものであります】と明確に資料のタイトル、作成者まで明らかにして質問をしているわけだ。

 この質問のあとで、法務省は、国会図書館に対し、それまで閲覧をさせてきた「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」を全面閲覧禁止にするとともに、コンピュータ検索によってもヒットしないようにするよう求めたわけだ。

 で、最初に書いたように、国会図書館館長は、法務省の求めに応じて、閲覧禁止としたわけだ。

 おかしな話だ。

 国会議員が国会での委員会という場で、法務省刑事局が作成した文書としてコピーまで示しながら、質問をしたにもかかわらず、法務省がその資料の存在を隠そうとしようとした、ということ自体が国会軽視、国民の知る権利も甚だしいし、

 その隠ぺい工作に国会図書館が加担した、ということも非常に悲しむべきことだ。

 国会図書館は、国の立法に役立つために資料を提供することをその主な役割としている。それにもかかわらず、国会議員がコピーを示して質問した資料を隠ぺいしようとしたのだ。

 「いや、国会議員が閲覧を求めてきたら、閲覧を認めたよ」…そう言いたいかもしれませんね。

 でも、考えてみてください。国会議員が閲覧を求めてきたら、閲覧させるのであれば、国会議員の口をふさぐことはできないのだから、資料の存在そのものを明らかにすることを避けるなんてできないでしょう…。

 そう考えると、国会図書館は、国会議員に対しても、資料の閲覧を拒否しようとして、全面閲覧禁止にしたとしか考えられないが、もし、そうだとしたら、国会図書館の存在意義に反するうえ、国会での質問ですでに明らかになっている資料の隠ぺい工作に加担しようとしたという点で、犯罪的な行為とさえいえるだろう。

 以前にも指摘したが、国会図書館の内規(国立国会図書館資料利用制限措置等に関する内規)の第5条には次のような規定がある。

第5条
1項 資料の利用制限措置の種類は、利用禁止及び条件付利用(一定の条件を付して利用に供することをいう。)とする。
2項 資料の利用禁止の措置は、いかなる条件を付しても利用に供することが不適当な場合に限り、とることができるものとする。

 そこで、国会図書館は、斎藤貴男さんが、閲覧を請求した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」には、日米安保条約なども含まれており、仮にほかの部分を閲覧禁止にする事情があったとしても、マスキングをして閲覧をさせればよいわけで、全面的に「利用禁止」とする必要はなかった。(現に国会図書館は、斎藤さんに対して閲覧禁止にした後、一部マスキングをして閲覧させる方向に方針を変え、日米安保条約部分などは閲覧できるようになっている)

 それにもかかわらず、全面的な閲覧禁止に踏み切ったために、国会図書館は裁判において、上記のような不合理な説明をせざるを得なくなったわけだ。

 次回、1月19日の口頭弁論で(詳しくは→ http://www.news-pj.net/npj/2009/saibankenhouki-20091026.html )国側は、この主張を裁判所において行うことになるわけだが、死亡ひき逃げ事故の遺族が、このような不当な主張を国がなしたことを知ったら、どう感じるだろうか。そして、本件を裁く裁判官は一体、この主張をどのように受け止めるのだろうか。新政権の姿勢が問われる裁判となりそうだ。



【この件に関する既報】
「てえへんだ、てえへんだ…国会図書館が裁判権放棄を裏付ける文書を急きょ閲覧禁止に! 」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/39e42e5f941390a2fe28e0ca6fb7a1dd

「こんなふざけた答弁ができるのも情報の隠蔽を許しているからだ!~対米兵裁判権放棄問題パート2」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/ac950416628c6d095b1eee8ac83eb9df

「裁判権放棄関連資料の国会図書館閲覧禁止処置に沖縄から怒りの声が!」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/798fabbd8af87655749a8b9506481cd3

「斎藤貴男さん、国会図書館裁判権放棄資料閲覧禁止処分取消を求めて提訴!」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/5fea6eb575aee34f77337d99efa85c55

「知らしむべからず」が有効な国でよいのか!~対米兵士裁判権放棄密約に怒れ、市民、ジャーナリスト!」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/c38e361ccd1c22ed0bec22533d85a1bf

「国会図書館閲覧禁止事件で国打つ手なし?~次回1月19日11時要チェック」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/792c65274e627925332639fb009d7a90


 



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