情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

硫黄は黄色だけど、ゴム状硫黄は褐色~それを訂正できないのはこの国の体質?

2009-01-06 05:14:25 | メディア(知るための手段のあり方)
 硫黄を熱するとゴム状になるそうだ。そのゴム状硫黄の色は、これまでは褐色だと教科書に書かれてきたが、実際には、きれいな黄色であることが高専の学生の実験によって検証され、教科書が修正されることになったという。

 確かに、硫黄自体は、火山なんかで見かけるとおり、黄色というイメージだし、純粋な硫黄の固体は、きれいな黄色をしている。この黄色の硫黄が溶かすと褐色になるというのも素人的にもいささか腑に落ちないが、この記事を知ったKaetzchenさんのブログ(http://www.asahi.com/science/update/0105/TKY200901050126.html)によると、Kaetzchenさん自身、何十年も前にこのことに気づいていたという。

 Kaetzchenさんが引用している朝日新聞の記事(http://www.asahi.com/science/update/0105/TKY200901050126.html)によると、純度の高い硫黄(99.5%以上)は黄色になり、純度の低い硫黄(99%以下)は褐色になるのだという。

 なるほどねぇ…と納得させられる。

 しかし、これまでにも多くの疑問の声が寄せられただろうに、それはたぶん、無視されたのだろう。

 朝日新聞の記事によると、この学生の指導教授が偶然、教科書の執筆者だったため、教科書側も修正に応じたようなのだ。

 で、問題はここから。

 教科書の記述の修正について、朝日新聞は次のように伝えている。

 【金綱教授は、自分も執筆している大日本図書「新版化学I」のゴム状硫黄の写真を差し替え、記述を「ゴム状硫黄は黄色。黒、褐色の着色は不純物による」と直すよう申し入れた。大日本図書も文部科学省に訂正を申請、09年度教科書から「ゴム状硫黄は硫黄の純度が高いと黄色になる」と注を追加することになった。】

 ふ~ん、普通は、物質の性質について触れる場合、純度が高いものであることが前提ではないでしょうかねえ。まさに、教授が指摘したとおり、「ゴム状硫黄は黄色。純度が落ちると、黒、褐色となる」とすべきところだ。

 ところが、「ゴム状硫黄は硫黄の純度が高いと黄色になる」と注を追加するってんでは、原則と例外が逆でしょう。これでは、修正したことにはなっていないのでは?

 細かいようだけど、こういう権威主義的なところが、よくない!せっかく直すのだったらきちんと直せって言いたい。

 マスメディアも訂正に応じると、新聞の信頼性が低くなると考えており、安易には訂正に応じない。実際、内部的に、訂正をするには上司の決裁が必要となっており、現場が訂正しにくい雰囲気となっているのだ。

 ニューヨークタイムズは、2面に毎日2段にわたって記事の訂正が掲載されている。毎日、5~6件くらいの訂正だ。

 ニュースは速報性を競う。したがって、訂正するのは当然だ。それでこそ、新聞の信頼が高まる。間違っていても訂正しない新聞社の態度に接したことのある読者は、その新聞に書いてあることを信用しなくなるはずだ(それはそれでリテラシー上よいことか…)。

 しかし、権威主義に陥っているためか、日本ではまだまだ、本当の意味での信頼を勝ち取る方法が取られていないのだ。

 よく考えれば、日本は、戦前、全体主義的な軍国となり、戦争への歯止めがきかなくなった。そのため、占領軍は、システムを修正しようとした。

 たとえば、放送行政を政府ではなく独立行政委員会が司るとか(メディアの民主化)、軍人恩給を廃止するとか(軍及び軍を支える人を殺す精神の優遇を廃止して民心を平和志向とする)、警察を民主化し自治体警察とする(特高に代表される非民主的な警察を解体する)、ということだ。もちろん、憲法9条もその一つだ。

 ところが、日本は、占領から回復して1年以内に、上述の3つの改革をすべて廃止した。

 あ~あ、学ばない国、日本よ。

 と嘆きたくなるが、結局は、当時の政府にうまくやられたってことだ。つまり、政府が悪いわけ。たとえば、自治体警察は、政府は指示はできないが、財政的支援はすることとされていた。ところが、政府は、この援助を断ち切った。当然、小さな自治体は、負担できなくなる。そこへ政府は住民投票を持ち出し、一気に自治体警察廃止を次々と決めさせていったわけだ。

 これって、住民投票だから、住民の選択だって、いえる?

 兵糧攻めの中での選択なんて、強制でしょう!

 そして、その延長に、米軍再編成の際の、「基地受け入れたらお金をあげるけど、受け入れない姿勢ならあげないよ。どっちにしても、基地はつくるからね、どっちが得か、分かるでしょう」っていう防衛省の恐喝がある。庁から省に格上げしたとたんの蛮行だった。

 そして、そして、その先には、9条の改悪が待っている。与党(自民党公明党)はどんな餌をばらまこうとしているのか…。

 あっ、脱線してしまった。

 そう、権威主義の問題、これって、日本が独立した後に、占領軍が行った民主的政策を簡単に踏みにじることができた背景にもなっていないだろうかって思ったわけ。

 つまり、せっかく、よいシステムにしてくれたのに、官僚連中も、権威主義的に、前のままがよかったって単純に考えていたのではないだろうか?

 当時の状況はまったく分からないので、想像するしかないが、そんなことまで考えさせられたKaetzchenさんのブログでした。

 それでは、また! 
 






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4 コメント

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できたてほやほやのゴム状イオウ (kaetzchen)
2009-01-06 10:53:09
って,実際に実験した人は分かると思うけど,かなり熱いです.写真では指でつまんで引っ張っているけど,一般の中高生が実験する時には必ず軍手をしてやって下さいね(笑)

# ちなみに阿蘇山のイオウはたまたま親父が熊本の仕事を受注したので,一緒についていった時に入手.あの頃は親父に工学部へ行くと大ウソついてたから,親父は建築士になるためならと何でも買ってくれた.

私も教育委員会を通じて抗議した一人の生徒だったんだけど,権威主義っていうのは一度陥ると駄目でね.特に教育の世界の権威主義っていうのは怖いですよ.一種のカルトみたいな所があります.例えば明治図書の「理科教育」なんて雑誌が典型例なのですが(笑)

あとは教員の理解を超えることをすると,やっぱり権威主義で抑え付けられますね.小3の時はたまたま新幹線のごみ箱にたくさんのチャバネゴキブリがいるのにヒントを得て「ゴキブリの研究」というレポートを提出したら,何と県の博物館の研究員が顕彰してくれた.同様に小4の時にいわゆる「超数」と言われる魔法陣の化け物の解き方の一般式を漸化式で表したレポートを出したら,やっぱり学校の先生は理解不能で,博物館の研究員が県の特賞としてほめてくれた記憶がある.何と,1000年以上昔にアラビアで解いた数学者がいたんだそうな.(^^;)
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クローン牛肉! (田仁)
2009-01-06 18:39:34
んで更に追い討ちを掛ける様に、内閣委がクローン牛肉を食用と認める見通し!なんだそうで。
農水省が大臣の『犬の紐』や「愛人」や「絆創膏」でゴタついた隙に、メタミドホス&アフラトキシン米が(目出たく?)売却完了した訳でした。
首相が一年毎に2代替わり、遂には1年保ちそうにない今、一体どんな事が進行中?!と恐怖が否応無く高まって居たんですけど。
コレも一端が見えて来ました?
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個人的には…… (kaetzchen)
2009-01-09 07:46:59
例えば絶滅した岐阜牛の凍結細胞からできたクローンを人工出産させたなんて話,不安に思う人はいるかも知れませんけど,私個人は安全性を疑いません.なぜなら,細胞や組織の発生段階で異状が見つからなければ,それらを形作るタンパク質には異状は存在しないからです.つまり,安全性は常に確保されるということです.

この辺を遺伝子組換えクローンとごちゃまぜに考えて非科学的なカルトに陥っている人が多いのが困るね.生物学の立場からは,あくまで上記の見解です.
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ええー、ドクトル、フランスに過酷で根に持ったの? (田仁)
2009-01-09 13:54:43
岐阜の件に限っては、牛の精巣だから、そんなに危険とは関係無いかも知れない。
でも、政治はそんな単純じゃなくて。
見せ金とか、安全牌とか駆使して、安心を誘いつつヤバいモノを高値で売り抜けとか、日常茶飯事ですから。
「自民党を信頼する時は死ぬ時」に、派遣も正社員もなりつつあり。
フランスの件を根に持つにしても、フランス人も大変だって事は忘れないで上げて下さい。
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