情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

放送行政を担う独立機関構想に向けた提言~日本版FCCは×

2009-10-24 10:12:34 | メディア(知るための手段のあり方)
 開かれたNHKをめざす全国連絡会は23日、放送行政に関する独立行政機関構想に対する提言を発表しました。その全文を紹介します。このような提言を市民で議論しあうことができる政権になったのですから、ぜひ、みんなで議論を深めていきましょう。独立行政機関構想そのものや、下記提言に対する意見をコメント欄にお願いします。まじめな意見については反映したいと思っています。


■■引用開始■■

~放送行政の独立機関化について提言します~
「日本版FCC」でない独立放送委員会を

2009年10月23日
開かれたNHKをめざす全国連絡会

 原口一博総務大臣は、記者会見などで「通信・放送委員会」の創設を言明しています。民主党の『INDEX2009』にも「国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消する」とあり、放送行政を政府から切り離して放送に対する国家権力の不当な介入を排除しようという姿勢を示したことは、率直に評価したいと思います。
そのうえで私たちは、新しい委員会の創設にあたって、言論・表現の自由を守る観点から、最低限以下の各点の実現を求め、ここに提言します。今後の議論の参考にしていただくことを強く希望します。

1.新委員会には免許権限を、しかし内容規制はNO
 これまで政府は、放送局に対して放送内容に踏み込んだ行政指導を繰り返してきました。このような措置は憲法・放送法が保障する表現の自由・番組編集の自由から見て疑問の拭えないものでしたが、放送局は免許権限を政府に握られているために、反論もせず委縮してきたと言えます。こうした弊害を払拭するために、放送局への免許権限を政府から切り離して独立機関に委ねることが必要です。現に先進諸外国では、放送行政は政府から独立した機関が担っているところが主流であり、この機会に日本も世界の趨勢に倣うべきです。
 一方、放送局が番組で人権侵害などの問題を起こした場合、日本では放送倫理・番組向上機構(BPO)が迅速に、経済的負担も少ない形で救済する仕組みがすでに機能しています。屋上屋を架すことがないように、この仕組みを生かして、放送内容に関わる問題については、新委員会は一切タッチしないことが肝要です。
 この点で付言しますと、放送局に免許を付与する権限や電波の割当権限を総務省に残し、新委員会がその権限行使をチェックするという制度設計では、国家の介入から放送の自主・自律を守る制度にはなりえないことを申し添えます。

2.多数委員制と選任過程の透明化を
 アメリカのFCC(連邦通信委員会)は、与野党および大統領の推薦による5名の委員で構成されていますが、日本の場合、国民各層のさまざまな意見を放送行政に反映させるためには少なすぎると思われます。中央・地方からの委員選出などのバランスも考慮すれば、最低でも10名前後の委員が必要だと考えます。
また、委員の選任に当たっては、選考委員会を設けて委員の候補を推薦する方法をはじめ、一般からの公募枠や、日弁連などいくつかの団体からの推薦枠を設けるなど、選任過程を可能な限り公開して、市民の目に見えるような形にすることが求められます。その際、政府・総務省は委員候補の選考過程には一切関与しない仕組みにするよう要望します。

3.議事の公開など組織運営も透明化を
 政府の審議会が曲がりなりにも公開の方向にあるにもかかわらず、総務省の電波監理審議会はその議事を一切公開しないままとなっています。市民各層の意見を反映した放送行政のために、新委員会における会議の公開は重要な検討課題です。少なくとも、発言した委員名を明示した議事録の速やかな公開を義務付けることは必須だと思われます。

4.事務局には役人OBでなく民間登用を
 アメリカのFCCは1800人に及ぶという事務局スタッフを抱えていますが、番組内容の規制を行わない組織なら、これほど巨大な事務局は必要ないと思われます。それでも、事務局スタッフを総務省などからの出向や天下りで占めてしまっては、独立行政委員会方式を採用する意義が大きく減じられることになります。電波行政は高度に専門的な知識や経験が必要でしょうから、官僚経験者をまったく排除することは非現実的かもしれませんが、なるべく民間から事務局スタッフを登用することにして、新委員会の独立性を高めることは重要なポイントであると考えます。

5.NHKと政府の関係も同時に見直しを
 放送行政の分離と合わせて、現在のNHKと政府の関係についても、見直しが必要だと考えます。国会がNHK予算の審議・承認の権限を持っているために、NHKが政治記者まで動員して質問取りなどの国会対策を行うという非常に不健全な慣習が続いています。政治介入を排除し、報道機関としてのNHKの自立・自律を促すためにも、NHK予算の国会承認制度の廃止を求めます(NHKと同様に受信料で成り立っている英国のBBCは、国会に対しては決算の報告のみで予算の承認は受けていません)。
 また、放送行政の新しい委員会について上記のように最高度の透明性を求めるのと同様に、NHK経営委員会のあり方についても改善が必要だと考えます。委員選出過程に公募枠を設け、政府・総務省は委員候補の選考に関与しない仕組みにするなど、市民の立場に立った経営委員会の改革を、この機会に強く求めます。

 日本は、アメリカのように民間放送のネットワークが圧倒的に普及している国や、ヨーロッパ諸国のように政府が関与した公共放送が主体になっている国々とはいずれも異なって、巨大な公共放送と複数の民間放送のネットワークという、非常に充実した放送実態を持っています。ですから、放送行政のあり方についても、日本独自の仕組みが求められるはずです。「日本版FCC」という言い方にとらわれず、諸外国の制度の良いところを参考にしながら、より豊かで自由な放送環境を創出できる放送行政の実現を、切に望みます。

以 上

■■引用終了■■





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