情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

君は「電通公害論」を読んだか?~昭和46年発行のこの著作が指摘する問題は今こそ重要だ

2009-09-28 00:55:58 | メディア(知るための手段のあり方)
 日弁連の人権シンポ(11月5日、和歌山市)で、今年初めて表現の自由の保障がテーマとされる。そこで発表される報告書作成の準備の過程で多くの書籍を購入した。一番ショックだったのが、「電通公害論」(猪野健治編著/日新報道出版部)だ。この著作は、電通が持っているマスメディアに対する破格の影響力を赤裸々に描いている。その破格の影響力はいまも同じだ。今後、自民党の復活に向けてこの影響力が発動される可能性があるのではないだろうか。いまでは、もう、書くことすら難しくなったと思われる電通公害論の指摘する事実をいくつか紹介したい。

(反安保デモへの対応)
 電通は、60年安保の際、電通の吉田社長は、経済団体の広報委員長などの地位にあった。吉田社長は、電通報号外として安保批准の必要性を訴える内容のものを発行するよう命じた。命令を受けた森崎実は、「忘れえぬ広告人」で、「電通は広告を業とする会社だ。(中略)ほかのマス・コミのように、ニュースを伝達し、問題の解説をなし、社の主張をかかげて、世論を代表し、また世論形成の役割をする事業体ではない。この区別は、たとえ、その姿がどのように巨大化し、マンモス化されるようになったとしても、峻別されねばらならぬ本質的なことだ。(中略)それでも、社長は、この業が本命としないことを命じた」と回顧しているという。
 そして、電通のこのようなあり方が、新聞各社による「七社共同宣言」(国会デモ隊の暴力などを批判する宣言。世論を転換させることに一役買った)をもたらしたことを示唆するような書き方をしている。
 
(買い切りの実態)
 「買い切りとは、媒体のスペースをあらかじめ広告代理店が買い占めることをいう。媒体社からみれば、広告収入の安定を買い切った広告代理店が保証してくれることであり、一方、代理店の方はリスクに見合う高いマージンを媒体側に要求する仕組みになっている。」
 この買い切りを利用して、吉田社長は、体制擁護の番組(政・財界人が登場する時事放談番組「東西南北」)を維持したり、岩波の「世界」や右翼紙の財布を握っていたという。当時の電通労組は、買い切り制度を批判したが、電通幹部は激怒し、執筆者を探し出して処分すると威嚇したらしい。  
 
(テレビ局への影響力)
 「ある“電通番組”(ヤメ蚊注:電通がCM枠を自由にできる番組のこと)の企画会議で、ディレクターが、T、K、Mなど社会派とよばれる作家の起用を提案した。しかし電通側がこういっただけでその起用は流れた。『それで視聴率あがりますか?』」
 「そういえば最近は、できあがった番組やフィルムが放送の前になって消される、というような例が少なくなってきている。(中略)これは、どだい最初から“消される”に価するような番組は自主規制という名で企画にもあがらないし、採りあげられもしないようになったからである。」

(一業種一社制の問題)
 この著作では、一業種一社制が商慣習となっている外国の企業は、電通を使わないのではないかという指摘がなされている。一業種複数社制では、ライバル企業に新製品などの秘密が漏れてしまうおそれがあるからだという。もっともな指摘だ。
 結果的には、新聞・テレビのCM枠、広告枠を持っている電通が寄り切った格好で、いまも、一業種一社制が維持されているが…。

 この本を読むと、当時、電通批判が結構普通になされていたことが分かる。しかし、結果的に電通はその批判を乗り越え、もはや、批判を許さない存在となってしまったのではないだろうか(「電通の正体―マスコミ最大のタブー」などの例外はあるが…)。この電通公害論は、日本のマスコミの在り方を考える上で、必読の書と思う。特に、自民党の巻き返しが図られるであろうこれからの数年間においては、重要な書だといえる。





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