情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

殺されたくないなら反対の声を!~過労死の実態を小泉の諮問機関は無視!

2006-07-30 21:28:25 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
毎日によると,【東京労働局管内の労働基準監督署が05年に過労死・過労自殺で労災認定された48人について調査した結果、11人が自ら労働時間を管理・監督する管理職だったことが分かった。他の一般労働者19人も上司の管理が及びにくい状況にあり、計6割以上が労働時間を自己管理する側だった。厚生労働省は一定条件下で労働時間の法規制を外し、自ら管理する「自律的労働時間制度」の導入を検討しているが、被害実態が明らかになったのは初めて。労働専門家は「制度を導入すれば過労死が激増する」と警告している。】という。

これが数字として出てきたことを利用しないわけにはいかない。自己管理すべき者が過労死している実態は,ホワイトカラーエグゼンプションの導入を裏付ける「自己管理」が絵に描いた餅であることを裏付けているのだから…。

先日,小泉の機関である規制改革・民間開放推進会議(このトップページのすがすがしげな写真がすでに挑発的!)が「労働契約法制及び労働時間法制の在り方に関する意見」(←クリック)をまとめたが,その意見は,「労働契約法も契約法である以上、契約当事者の意思を尊重し、当事者自治を本旨とすべきことは当然である。」といいつつ,「これら法制の在り方については、企業の実情から乖離したものとならないよう十分に留意する必要があり、かつ、杓子定規(one-size-fits-all)な法制度は、かえって人事労務の現場に混乱を招」くとある。

ふざけるな!それって,サービス残業を「企業の実情」という名目で維持し,死ぬまで働けって言ってるようなもんではないか!いま,全国での過労死は,【05年度157件(申請336件)、未遂を含む過労自殺は42件(同147件)で、申請数はそれぞれ過去最多を記録している。】(前記毎日)


上記意見では,労働時間規制の適用除外制度の整備拡充を【平成17 年度中に検討、18 年度結論】と位置づけ,

【現行の専門業務型及び企画業務型の裁量労働制の対象業務を含め、ホワイトカラーの従事する業務のうち裁量性の高い業務については、労働者の健康に配慮する措置等を講ずる中で、労働時間規制の適用を除外する制度について、その検討を着実に進め、結論を得る。その際、深夜業規制の適用除外についても、労働者の健康確保に留保しつつ検討を行い、結論を得る。】

としている。

この労働時間規制の適用除外制度の主なものが、「自律的労働時間制度」(日本版ホワイトカラーイグゼンプション)で、【管理職一歩手前の「課長代理」程度の社員が対象。(1)賃金額が一定水準以上(2)週休2日相当の休日や連続休暇がある--などが条件で、対象者には週40時間の労働時間規制はなく、残業代なども支払われないという。忙しい時は24時間連続して働き、そうでない時は1時間しか働かないことも合法となる。】とされている(前記毎日)。


つまり,本年中に,自己管理できるなどという口実で,サービス残業法制化をしようというのだ。

これが小泉改革である。

そして,安倍が継承しようとしているのは,上記意見冒頭で,【少子高齢化が急速に進むなか、働き方の多様化・複線化による、再チャレンジが可能な労働市場の形成が強く求められている。】と記載され,「再チャレンジ」という安倍用語が書かれていることからも明確だ。

小泉の「改革」を安倍が「再チャレンジ」する…。

これさえあれば,クーラー不要,寒気でぞくぞく…。


なお,ホワイトカラーエグゼンプションの法制化を直接検討している「労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会」は,

【労働時間のあり方や新たな労働制度の導入について議論してきたが、18日に予定していた中間報告のとりまとめを見送った。検討してきた内容に対して、労働者の代表である連合などと、使用者側の代表である日本経団連などが、ともに反発しているためだ。
 中間報告に向けた素案には、次のような内容があった。時間外労働が月30時間を超える場合、残業代の割増率を現状の25%から50%に引き上げる、年収が高い労働者は労働時間規制の対象からはずして残業代をなくし、「自立的労働制度」の対象とする-など。
 割増賃金のアップは労働者には大歓迎だが、使用者はコスト増となるから反対する。「自立的労働制度」については、労働者側は「過労が増えるだけ」と反発、使用者側は「労働時間の長短ではなく、成果での評価が徹底できる」と推進する立場だ。
 自立的労働制度の対象者の年収についても、「年収400万円以上とする」案が有力だったが、労働者にしてみたら「対象者が多すぎる」。そこで「1000万円以上にしては」という案も出始めたが、年収1000万円以上の労働者は全体の数%に過ぎず、これでは改革の意味がなくなる。
 議論は袋小路に入ったかのように見える。それでも厚生労働省は、年内に最終報告をまとめて来年の通常国会に関連法案を提出するとし、方針を変えていない。】

(産経 )という状態だ。

サラリーマン自身は声を挙げにくいかも知れないが,その家族の方々,大切な人を失わないようにするために,厚労省に抗議のメールを送りましょう!


※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
労働組合の経営 (東西南北)
2006-08-08 13:15:01
 労働問題をすべて解決するには勤労者が労働組合の必要性・正当性・限界性に対する基本認識を固めた上で、労働運動を政治闘争へ発展させるしかない。基本認識が固まれば、あとは技術論となって専門化・細分化し複雑な課題でも基本的立場を堅持して闘い抜けるであろう。要は基本認識の結合体としての労働組合運動を発展させる必要がある。



 そもそも、株式会社は私有財産で、株主の物だ。だから、株主の代表である経営者が会社運営を執行する。しかし、会社で働く人がいるから会社は存続していく。地上に金だけ存在しても「国破れて、山河あり」である。もっとも、金(貨幣)は人類社会に必要不可欠の社会的存在である。しかし、あくまで人類・人間・勤労者が存在し、優先する。人間・勤労者否定の拝金主義は悪である。

 

 株式投資された金が増えて配当が出せるのは、経営者を含む勤労者の実業があるからで、金があるから勤労できるのではない。勤労する人間がいて、初めて金が増殖する。配当原資は勤労だし、金も勤労者・人間には優先しないことは述べた。

 

 こうして、勤労者を会社存続の基本とする見地から、労働組合は正当性を持つ。



 現在は、会社は株主の物だが、本来は会社で働く勤労者の物である。これが資本主義の基本矛盾である。

 

 勤労経営者は株主(資本家・拝金主義者)と労働組合との板ばさみになる必然性を持つ。



 そして、現実においては、株主の拝金主義に勝てるだけの労働組合の組織力がないと経営者は株主に従属し、労働条件が低下し、企業利益が増大する。



 結果、株主の代表執行官である経営者の報酬と株式配当金が増大する。株主・経営者の労働組合潰し・否定と労働者の不団結意識による労働組合の崩壊は企業利益増大に伴う、経営者報酬増と配当金増に帰結する。



 したがって、労働者・勤労者は株主と株主を代表する経営ではなく、消費者サービス向上と労働条件を向上させていく具体的経営を対置する労働組合を創らなければならない
返信する