情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

テレビ局と新聞の系列化にノーを突きつけましょう~総務省の調査研究会が意見募集中

2006-08-01 03:03:24 | メディア(知るための手段のあり方)
日本では,新聞とテレビの両方を支配することが比較的簡単に認められていることはこれまでにも何度か指摘してきました。総務省令「放送局の開設の根本的基準」(←クリック)の9条3項で,テレビ局,AMラジオ局,新聞の三事業を経営・支配することを原則禁止しているものの,「ただし、当該放送対象地域において、他に一般放送事業者、新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者がある場合であつて、その局が開設されることにより、その一の者(その一の者が支配する者を含む。)がニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれがないときは、この限りでない。」という例外,すなわち,ほかにニュースを配信するテレビ局があれば問題なしという大幅な例外を設け,結局,三事業支配禁止の原則をまったく意味のないものとしています。

これがテレビ局と新聞の系列化につながり,テレビ放送というドル箱が免許制度であることを通じて,テレビ局のみならず新聞までもが政府の圧力をもろに受けるシステムとなっており,新聞の権力監視作用が大幅に弱まっている実態があるわけです。

この点,英米では,新聞社がテレビ局を所有することは原則,禁止されています。

今回,総務省の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」が取りまとめ案を発表し,それに対する意見を受け付けています(ここ参照←クリック)。

この取りまとめ案(←クリック)では,上述の総務省令での【「独占的頒布を行うこととなるおそれ」の有無について、その基準を明確にすることが望ましい】としている。

そのうえで,【例えば、地域における購読シェアが50%を超える新聞社によるテレビジョン放送とAM放送(又はFM放送)の同時支配は「独占的頒布を行うこととなるおそれ」があるとした上で、これに該当する事業者から反論がある場合には透明性が確保された一定の手続により是非を判断する方法などが考えられ、今後、必要な措置を検討することが適当】というような例を挙げている。

しかし,50%を超える新聞社なんて,地元地方紙以外にはありえないから,結局大手テレビ局と大手新聞社のクロスオーナーシップ問題には手つかずとなる。

確かに現状を踏まえれば,この程度のものしかできないかも知れないし,そもそも,この研究会がテレビの集中排除原則を緩和する方向を示すことを目的としているものだから,期待する方が無理かも知れない。

とはいえ,今回の意見聴取は,総務省に対し,多くの市民がクロスオーナーシップに懸念を抱いているということを分からせるチャンスです。

もし,同じ問題意識をお持ちでしたら,8月31日までに意見をまとめて提出して下さい。夏休みの宿題ってことでいかがでしょうか?!

日本のメディアに権力監視機能を回復させるために是非!!





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