情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

JR東海会長「彼らは同盟が不動の実効性を持つと感じたときにのみ、友好的で理性的な隣人となるだろう」

2010-04-21 14:42:57 | 有事法制関連
 JR東海会長・葛西敬之さんが、産経新聞一面のコラムで、次のような意見を述べている(※)。ちょっと長いが、意図的な抜粋をしていないことをはっきりさせるために、問題部分を引用する。

※http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100420/plc1004200322004-n1.htm

 【国家の根本課題は安全保障と外交である。根本が定まって初めて経済の安定、持続的成長への道が開ける。21世紀の今日においても安全保障の基本は依然、同盟政策である。民主主義、自由主義、人権の尊重、法治主義を共有し地勢的な国益を共通にする国が手を携えて並び立ち潜在的脅威と向かい合う。これが同盟の原則である。

 チベット、新疆ウイグルを力ずくで征服し、固有の文化を抹殺するかのごとき人権抑圧が日常化しているといわれる専制政治の惨状と、海・空戦力を増強・近代化し、太平洋・インド洋をうかがいながら核弾道ミサイルの照準を日本に向けて配備しているとされる大陸・半島の脅威を直視すれば、日米同盟による米国の核抑止力が米ソ冷戦時代にもまして不可欠であることは自明だ。

 彼らは同盟が不動の実効性を持つと感じたときにのみ、友好的で理性的な隣人となるだろう。重要なのは、集団的自衛権に基づく対等な同盟関係を築き直し、実効性のある抑止力を機能させることである。】

 JR東海という優良企業の会長がこのような差別的な意見を持っていることは本当に信じられない。

 葛西さんの意見でもっとも抜け落ちているのは、中国が自ら「民主主義、自由主義、人権の尊重、法治主義」を成熟させて、日本と価値観を共有する国になるという最も現実的な予測に触れていないことだ。あるいは、日本と中国がともに切磋琢磨し、協力し、民主主義などを成熟させることへの言及がない点だ。

 むしろ、「中国」について「彼ら」という表現をとることにより、国家と市民を同一視させるようなミスリーディングぶりだ…。

 この葛西さんの見解を中国の人が聞いたらどう思うだろうか。最近、中国を攻めたのは日本の側だ。それにもかかわらず、攻められた国に対し、「彼らは同盟が不動の実効性を持つと感じたときにのみ、友好的で理性的な隣人となるだろう」と発言するとは何というデリカシーのなさだろう。

 この発言を世界の市民に知らせたい。葛西さんはそうならないから、こういう発言ができるのだと思う。日本を人権の面でも開国させるため、この発言をあらゆる言語に翻訳して広めるべきではないだろうか…。


【追記】
 戦争中の日本は、民主主義に敵対していたことを葛西氏はどう考えているのか興味があるというコメントをいただきました。
 その方によると、横浜事件再審請求が認められた時の記者会見で配られた資料に、戦前の文書に次にようなくだりがあったとそうです。

 「抑抑大東亜戦争は、究極するところ米英旧秩序の根幹を為す民主主義、個人主義、功利主義若くは営利主義思想を覆滅し皇国の道義を世界に宣布せんとする一大思想戦に外ならぬのであります」(原文はカタカナ)

http://jcjkana.blog102.fc2.com/blog-entry-285.html

 私も、一番最後の戦争で、民主主義に反旗を翻した国であることを忘れてはならないと思う。



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