情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

天下り先を伏せたり、不祥事職員の名前を公表しなかったり~個人情報保護法に対する新聞協会意見書

2006-04-07 23:51:12 | 匿名発表問題(警察→メディア)
日本新聞協会は7日、05年4月に個人情報保護法が全面施行されて以来、「個人情報は隠すべきだ」との誤解が広がっているとして、制度の見直しを求める意見書を、国民生活審議会の個人情報保護部会に出した(朝日新聞)。

 この部会では,政府が法の全面施行から3年をめどに施行状況を検討し、必要な措置を講じることを決めていることから、関係団体の意見を聞いている。

 意見書は、同協会編集委員会の委員社57社の協力でまとめた実態調査の結果を踏まえたもので、ここに記載されている。

 意見書は,「個人情報は隠すべきだ」との誤解がまん延し、社会活動のあらゆる分野において、深刻な委縮現象や混乱が目立っていると指摘して教育現場の混乱,地域社会の連携の弱体化について触れたうえ,【さらに問題なのは、法律の拡大解釈とも言える行政の情報非開示の動きである。従来は公表していた幹部の天下り先を伏せたり、不祥事を起こした職員の名前を公表しなかったり、幹部公務員の経歴を省略したりするケースが少なくない。当然公表すべき「公共の利害」に関する事項さえ、「個人情報の保護」を理由に情報の隠ぺいが進んでいる実態は、法律が想定した保護範囲を大きく逸脱するものと言わざるを得ない。行政の透明性確保を目的とした情報公開法の趣旨にも反するものである。】としている。

 権力は情報を集中しようとする。市民をコントロールするために必要だから…。自民党は新憲法案に被害者の人権を掲げたのは,権力が情報をコントロールしてあげるよ…という甘言の一環だし,昨年末の犯罪被害者等基本計画も被害者の匿名という形で,情報のコントロールを強める道具としている。

 私たち市民が,この流れをせき止めない限り,情報流通がさらに阻害されることになり,民主主義は名ばかりのものになる…。まずは,これらの方に情報流通の大切さを訴えよう。

 権力が情報を管理することの怖さは,ブッシュのCIA情報疑惑からも明白だろう。特に,戦争という異常事態を市民に納得させるには,相当の情報操作が必要になるということを直接的にではないにせよ,伺いすることができるケースだ。

 もっと,情報を!


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国籍差別をする人権擁護法案って?!

2006-04-07 22:36:27 | 人権擁護法案(原則必要派)
読売新聞によると,【杉浦法相は7日午前の閣僚懇談会で、人権擁護法案の今国会提出を断念し、内容を大幅に見直して次期通常国会で再提出を目指すことを報告した。今後、省内に法相を長とする検討チームを設置する。】という。

同紙によると,法相は記者会見で、「法案は大幅に手直しをする」としたという。そして,【人権問題に携わる人権擁護委員に国籍条項がなく、外国人でも委員になることができることについて、「修正が必要だ」と述べたほか、メディア規制条項についても「マスコミとの協議の場を設けて意見を聞きたい」と話した。】らしい。

 前から言ってるが,国籍差別を前提とした人権擁護法案ってそれ自体,矛盾していないだろうか?人権機関は,弱者,少数者の人権を守るために設けられるのであって,強者がさらに都合のよい世の中にするために設けられるのではないはずだ。

 杉浦さんは弁護士出身のはず。民主主義の犠牲になる者を救うことの大切さはよく分かっていると思うのだが…。


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民主党憲法改正国民投票法制大綱HPに掲載~対話集会開始に向け

2006-04-07 21:50:11 | 憲法改正国民投票法案そのほか
民主党は、日本国憲法の制定から60年を迎える今年、憲法についての対話集会を以下の通り全国主要都市で開催することとし,HPに,憲法提言憲法改正国民投票法制大綱を掲載した。

集会では,枝野幸男衆議院議員ら民主党憲法調査会役員が昨年10月末に党憲法調査会で取りまとめた「憲法提言」について報告した後、フォーラム形式で参加者と意見交換する予定だという。

第1回は,四国集会で,4月22日(土)午後1時~4時,シビックセンター徳島ホール(会場定員:200人)で行うという。弁士は, 枝野幸男民主党憲法調査会長及び仙谷由人衆議院議員(徳島1区選出)ら。

民主党の憲法改正国民投票法制大綱は,一括投票方式をとっていないこと,メディア規制がなく,運動規制が限定されているなど,民意が反映されやすいシステムになっていると思われる。

【衆院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)は6日、理事懇談会を開き、憲法改正の手続きを定める国民投票法案に関して各党から出た主張、意見を「論点整理」としてまとめた。与党側はこれをたたき台にして法案作成に向けた具体的調整を進めたい意向だが、参院側では依然として慎重論が強いこともあり、法案化への見通しは不透明なままだ。】(西日本新聞)という状況の中で,これに与党が乗ってくるかどうか…。

また,民主党案で改正すべき点は何か?今週末,憲法提言や憲法改正国民投票法制大綱をゆっくり読んでみませんか?


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探偵業法で取材活動に制約?!~民放連が申し入れ

2006-04-07 02:51:13 | メディア(知るための手段のあり方)
 民間放送4月3日号によると,民放連・報道委員会は3月20日から22日にかけて,自民党が今国会に提出を予定している「探偵業の業務の適正化に関する法律案(探偵業法案)」に対し,報道目的で情報収集活動を行う者を適用除外とするよう,自民,公明,民主各党の政調会長あてに文書による申し入れを行ったという。

 申し入れた理由は,同法案が,探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」としたうえ,探偵業務を行おうとする者に対し,営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出義務を課しているからだ。

 確かに,テレビ局の下請けプロダクションや週刊誌の依頼を受けたフリージャーナリストなどが行う取材活動は,「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」であり,そうだとすると,このままでは,そういう行為を行う者は公安委員会への届出義務を負い,公安委員会の監督を受けることとなる。

 例えば,法案は,第十三条(報告及び立入検査)で,「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、探偵業者に対し、その業務の状況に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」としている。

 民放連の申し入れは,英国における警備業法(Private Security Industry Act 2001)で,報道目的での情報収集活動が適用除外となっていることを指摘したうえ,「報道目的で情報収集活動を行う者については,本法の適用から除外されることを法文上明確にさせることを強く申し入れる」としたという。

 英国の警備業法をざっとみたが,どのように例外が定められているのか,よく分からない…。ご存じの方はお教え下さい。
 
 いずれにせよ,探偵業法を利用したメディアに対する立ち入り調査などが行われないようにするにはどうしたらいいか,真剣に考えないと,また一歩メディアが押し込まれることになりかねない。


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