情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

読売新聞,あまりにひどかぁ!~捜査員の意見を垂れ流し

2006-01-17 08:05:23 | メディア(知るための手段のあり方)
読売新聞が宮崎勤判決を前にとんでもない記事を掲載している(12日朝刊1社トップ)。ネット上の配信は,【東京都と埼玉県で1988~89年、幼女4人が殺害された連続誘拐殺人事件で、殺人罪などに問われている宮崎勤被告(43)(1、2審で死刑判決、上告中)を取り調べた警視庁の大峯泰広・捜査1課理事官(58)(警視)が、読売新聞のインタビューに応じ、宮崎被告が犯行を自供した瞬間の様子などを語った。(中略)「まず性格を知ることが大事」と考え、午前中は、白いジャケット姿の宮崎被告にお茶を勧めながら、好きな食べ物を尋ねるなど雑談に終始した。「おとなしく、受け答えもしっかりしていた。好青年という印象すら受けた」と振り返る。】程度だが,実際の紙面は,もっと露骨だ。

具体的には,tmreijさんのブログに詳しい。
tmreijさんは次のように言っている。
【そうした状況で、精神科医でも専門家でもない警察官の〈「決して精神疾患ではなかった」〉という見立てを、大々的に取り上げているのです。
さらにすごいのは、その警察官の意見を検証したり相対化したりする姿勢がまったくない点です。】

もし,責任能力がないと判決が下されたら,読売はどうするつもりか?捜査員が精神疾患ではないと言い切っただけで,読売が責任を免れるわけがないのは分かっているはずだが…。

そもそも,仮に責任能力ありと認定されたとしても,【精神科医でも専門家でもない警察官の〈「決して精神疾患ではなかった」〉という見立て】が正しいということにはならんでしょう。小鼻がぴくぴくって,そりゃ,捜査官は処罰したいんでしょうから,そう言うでしょ。それを検証できないままに流すってホントに垂れ流しだよ。

どういうつもりで,この紙面をつくったのか?責任者出てこい!


勝手に特ダネランキング2006年第2週(8日から14日)~今週も特ダネラッシュ!

2006-01-17 06:33:44 | メディア(知るための手段のあり方)
今週も力の入った特ダネ目白押し。早速…

第1位「自治体に破綻法検討 『首長の経営責任』照準」(朝日13日朝刊一面トップ
【地方分権に関する竹中総務相の私的懇談会「地方分権21世紀ビジョン懇談会」が、財政難に陥った自治体を対象に、民間企業と同じような破綻(はたん)法制をつくることを検討していることが12日、明らかになった。首長ら執行部の責任を明確にし、国の管理の下に資産の売却などを進めることなどが検討される。同懇談会で骨格をまとめ、6月に政府が打ち出す「骨太の方針」に盛り込むことを目指す。自治体に責任を求める「竹中路線」の一環だが、地方側の反発は必至だ。】
※地方切り捨て,小泉路線?!

第2位「高速道 計画前線を建設 国交省方針」(読売14日朝刊一面トップ
【国土交通省は13日、高速道路整備計画(9342キロ・メートル)のうち、事業主の決まっていない未開通区間の19路線(1275キロ・メートル)をすべて建設する方針を固めた。
 月内に国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)を開き、有識者らの意見を聞いた上で、北側国交相が1月末に各区間の事業主を正式に指定する。
 整備計画で最後まで建設が固まっていなかった未開通区間もすべて建設されることで、「無駄な道路を造らない」目標で進められてきた道路公団改革は、早くも形骸(けいがい)化した格好だ】
※小泉はやっぱり嘘つきでしたなぁ

第3位「米,陸自幹部の残留打診」(産経14日朝刊一面トップ
【米政府が、陸上自衛隊のイラク撤退後、イラクの地方行政府の治安や行政能力の向上を目的とした「地方復興チーム(PRT)」に、陸自中堅幹部の参加を打診していることが十三日、政府・与党幹部の話で明らかになった。PRTは米国主導で計画されている新たな復興事業で、英国、オーストラリア、韓国などにも参加を打診。日本に対しては一佐クラスの幹部数人の派遣を求めている】
※イラクに自衛隊を派遣させたのは,米国が正当化の口実に使うためだったことがはっきりしましたね

第4位「普天間移設 政府『強行策』見合わせ」(東京11日朝刊一面トップ
【政府は十日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市への移設推進のために検討してきた、基地造成に関する許認可権を県知事から国に移す特別措置を当面見合わせる方針を固めた。強行策に対する県側の警戒感を一掃し、政府と対話の機運を醸成するのが狙い。あわせて、県の理解を得るため、返還される基地の地主への補償や、日本人従業員の失業対策などを「米軍再編推進法案」(仮称)に盛り込む方向で調整に入った。】
※きちんと対話するのは,懐柔なのか,きちんと追っかけてほしい

第5位「ATS操作ミス JR貨物でも35件」(東京13日夕刊一面トップ
【死者百七人を出した尼崎JR脱線事故の背景の一つとされる列車自動停止装置(ATS)による非常停止ミスが昨年度以降、JR貨物で三十五件起きていたことが分かった。同種のミスはJR西日本管内しか表面化していなかったが、旅客列車などでも全国で起きている可能性が浮上。居眠りなどが原因とみられ、国土交通省は、睡眠時無呼吸症候群の検査や、一定時間運転操作しないと自動的に非常ブレーキがかかる緊急制動装置(EB)の旅客列車への義務化などを検討している。】
※生命に関わる問題です

第6位「組関係者に手数料 米ファンド子会社」(毎日12日朝刊一面トップ
【米国ファンドのサーベラス・グループ(本社・ニューヨーク)系列の不動産会社「昭和地所」(東京都中央区)が行った東京都港区南青山の一等地の地上げに、山口組系暴力団と親しい関係者が関与していた疑惑が浮上した。昭和地所副社長は「適法業者と認識している」としているが、関係者は毎日新聞の取材に暴力団とのつながりについて認めている。サーベラス・グループは、西武グループの再建計画にも乗り出している有名ファンド。しかし、結果的に暴力団に資金が流れた可能性がある】
※日本はよっぽど美味しいんでしょうね

第7位「個人情報 漏えい者にも罰則」(読売13日夕刊一面肩
【自民党がまとめた個人情報保護法改正案の原案が13日、明らかになった。
 不正な利益を得る目的で個人情報を漏らした従業員らを処罰する規定を追加するとともに、「表現、学問、信教および政治活動の自由を不当に妨げることのないように配慮しなければならない」との配慮規定を併記し、報道機関への情報提供などを過剰に規制しないようにしている。】
※弁護士会は反対しています!

第8位「タクシー混乱ETC割引 過剰請求」(朝日11日夕刊一面トップ
【首都高などでETC車の新料金割引制度が始まって3カ月余。日曜・祝日にタクシーに乗ると、乗客が正しい料金よりも最大120円余分に支払う状況が一部で生まれている。システムが不完全なために、ETC搭載のタクシーの料金表示が割引分を反映しないためだ。割引分を差し引くタクシー会社もあれば、そのまま取っている会社もある。システムの正常化は年度末になるといい、当面は客の「自衛」が必要だ。】
※結構身近なことだけど,知らなかった…。こういうネタもいいですね

第9位「出先機関こっそり名称変更 社保庁」(東京13日朝刊一面3段)
検索できませんでしたが,社会保険庁が一部の「社会保険事務所」を「社会保険事務室」と変えたが,無駄遣いとの批判を恐れ,発表しなかったという話題。

第10位「NHK,子会社数は維持 24日発表予定の経営計画」(東京12日朝刊一面肩
【一連の不祥事を受けて再生をめざしているNHKが策定中の新経営ビジョン(二〇〇六-〇八年度の経営計画)の中で、子会社・関連会社の数を減らさず現状維持の方針であることが十一日、関係者の話で明らかになった。新経営ビジョンは二十四日に新年度予算とともに発表される予定だが、受信料不払いで減収が見込まれ組織のスリム化が求められている中で、反発も予想される。】
※本気出さないとつぶれるよ…




□□番外□□
「ミサイル防衛 日米,レーダー情報共有」(読売14日夕刊一面肩
【政府は、ミサイル防衛(MD)システムについて、日本と米国のレーダー情報や指揮命令システムなどの情報ネットワークを連結する方針を固めた。
 ロシアを訪問中の額賀防衛長官が13日夜(日本時間14日未明)、同行記者団に明らかにした。】
【ただ、こうした情報の共有に関しては、政府が憲法で行使が禁じられているとしている集団的自衛権の行使にあたるとの指摘もある。政府は、日本が得た情報に基づき、米側に発射角度を指示したりすると、集団的自衛権の行使にあたるが、実際には米側が改めて自らのレーダーでミサイルをとらえ直して迎撃するので問題はないと説明している。】
※特ダネではないが,大きく伝えるべきニュースではないでしょうか?
他社はなぜ載せないのでしょうか?

「イランがウラン濃縮」(毎日夕刊一面トップ
※関連記事があふれていますが,本当はこういうときに,9条を持つ国の出番なんでしょうけどね…

「防衛施設庁 空調工事も官製談合」(毎日13日朝刊一面トップ)
共同に抜かれても必要なニュースは大きく取り扱うという姿勢はいいですね