tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済成長の原動力 その2

2009年06月26日 11時34分27秒 | 経済
経済成長の原動力 その2
 1990年代の後半、何年か続けてベトナムにいく機会がありました。ベトナムがいよいよ本格的な経済成長の時代に入る頃でした。

 日本は当時、円高とバブルの崩壊によるダブルデフレ で、いわゆる「失われた10年」の真っ最中、経済成長率はゼロとかマイナスで、日本人は全く元気がありませんでした。

 ベトナムにいってみると、まさに正反対、街は活気にあふれ、当時、若者たちが、中古のホンダ・スーパーカブに乗って、夜中まで街を疾走しているのです。
 ハノイではまだ、モーターバイクは少数で大多数は自転車でしたが、ホーチーミンではモーターバイクが随分多くなっていました。

 夜中の街を切れ目なくバイクの行列が走り続けていくのです。
「夜中までバイクに乗って何をしてるんですか」
「うちにいても熱いし、バイクに乗ると涼しいから。要するにバイクを楽しんでいるんですよ」
「でもバイクは高いんでしょう」
 当時ベトナムでは月給の平均は5000円か1万円程度、それで10万円もするような中古バイクを買っているというのです。

 たまたま知っている現地の人に聞きましたら、「自分でも貯めて、足りない分は、親や親戚にまで借りて買っているんですよ」ということでした。

 バイクに乗りたくて仕方がない、後ろに彼女を乗せて走りたいとの思いで借金してバイクを買って、ただ楽しんで走るだけであれば、バイクが壊れ、ガソリン代がなくなればそれで終わりです。

 しかし、そうした多くの人の願望達成が刺激になり達成動機になって、本人も家族も働いて、バイクのための借金を返済し、今度はもう少し良いバイクを買おうと努力して働くプロセスで、国の経済活動としては、それがバイク工場を誘致となって生産力が生まれ、国民はそこで働いて所得を増大し、購買力も増えることになり、結果的に、生産も消費も増えて、「経済成長」は実現するということになるようです。

 何年かするうちに、バイクは輸入中古品から国産になり、新車が多くなり、街全体をふくめて、ベトナム経済全体が様変わりになった頃には21世紀を迎えていました。


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