地価問題再び
東京都北多摩郡国分寺町に住み始めたのが昭和38年ですが、その頃は近所は空き地ばかりでした。翌39年には国分寺市になり、その頃から急速に家が建ち人口が増えましたが、それから40余年、平成19年の今、わが町は世代交代の時期にあります。
この十年来空き家が増え、住む人も替わる家が増えました。古い家は取り壊され、更地になるところもよくあります。旧農家などの広さのあるところでは、瀟洒な新築住宅が何軒も建ち、子供が道路で遊ぶ町に変身するところもあります。少子化の中で、なんとなく明るい感じがします。
そうした中で、今年は地価が下げ止まりから上昇へ転じたことが報道され、新聞の折り込み広告の土地住宅価格も、一時よりなんとなく高くなり、近所でもぽつぽつ更地のままのところが見られるようになりました。そうしたところは聞いてみると、不動産業者が買ったところが多いようです。
杞憂であれば結構ですが、最近の地価動向、REITについての報道などもあわせてみると、何かかつての地価神話のはしりの時期に似た感じを受けます。
戦後日本の地価神話は、昭和30年代の後半あたりから始まり、平成3年のバブル崩壊で終わったのですが、その中で、日本人は、土地のような人間の基本的な生活基盤であるものを「投機」の対象にすることの愚かさを思い知ったはずでした。
もし今また、土地は買っておけば値上がりして儲かるものといった土地神話が復活するようなことがあれば、日本人は、経験からあまりにも学ばなかったということになりましょう。改めて、土地を投機の対象にしないような政策(かつて十分論議されています)の明確化が必要でしょう。