tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業の目的

2014年08月05日 10時57分19秒 | 経営
企業の目的 <2007年8月28日付のリメイク版>
 此の所日本の企業に元気が戻ってきました。企業が元気だという事は、消費者も元気だという事です。企業は求人を増やし、非正規雇用を正社員に登用し、確り教育訓練をして、将来の企業発展のための人材の確保・育成につなげようとの動きも見られます。

 そんなことからも見られるように、企業も今後の日本経済の発展に、長期的な展望を持って来ているように思われます。企業が元気という事は、社会全体が元気になる原動力でもあります。

 ところで、「企業の目的」は何でしょうか。これは古くて新しいテーマです。
 欧米人の回答では、矢張り、「利益」という答えが多いようです。アジアの経営管理者に聞いても「利益」という答えは多いですが、これはアメリカのビジネススクールなどで学んだ人が多いことの影響かもしれません。

 日本では、伝統的に企業については違った見方が一般的です。ほとんどの会社は「社是」や「企業目標」を掲げていますが、その中で真っ先に「利益」と掲げている企業はおそらく皆無でしょう。三菱グループの綱領第一条の「所期奉公」は良く知られていますが、多くの企業の社是や社訓には、社会の発展への貢献、国民経済・世界経済の進歩、顧客の満足、技術革新の進展、人を育てる、従業員や家族の幸せ、などなど多様な目的が書かれています。

 このブログで常に書いています「企業は社会に豊かさと快適さを提供するシステム」という言い方も、日本企業が目的とするところを集約した結果です。

 最近のアメリカ流の、マネー資本主義に基づく「金融工学」などで考えれば、企業はおカネでおカネを稼ぐために存在するので、瞬間的にでも利益が実現できる時は徹底して利益を追求するというのが、出資者への責任である、というのかもしれませんが、それは企業と出資者の強欲を満たすためで、「社会」という視点はそこにはありません。
 現実の世界では、企業は、顧客に満足や便利さを提供したり、雇用を創出したり、雇用した人に所得を配分したり、技術を開発したり、投資によって途上国の経済を発展させたり、関連する企業と協力して共に発展し社会に貢献したり、税金や社会保険料を支払って国や地方自治体を支えたり、いろいろなことをしています。

 企業というものは人間が考え出した大変優れたシステムで、人間と同じように、いろいろなことが出来るのです。良いことも悪いことも出来ます。悪いことも出来るというのは別にしても、「企業は多目的な存在」「多様な目的を同時に果たすことが出来る存在」ということが出来るでしょう。

 そしてそのための原資になるのが「付加価値」です。このブログは「付加価値」という概念を中心においていますが、社会にとって重要なのは、利益ではなく付加価値だと考えるからです。


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