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日銀、2%物価上昇目標先延ばしへ

2016年10月21日 21時46分17秒 | 経済
日銀、2%物価上昇目標先延ばしへ
 「付加価値を創るビジネス創らないビジネス」について書いてきましたが、今日(10月21日)日銀の黒田総裁が2%の物価上昇目標を2018年度までには無理だから、先延ばしすることを示唆する発言をしたことが報道されましたので、今回はその問題です。

 部外者の我々には、本当に2%上昇にならなければ景気は回復しないと考えて固執していたのかどうかわかりませんが、先延ばししてもと示唆したのは、結構なことだと思います。

 もともとインフレ目標2%には合理的な根拠はなく、3%じゃ高すぎる、1%じゃ元気が出ない、アメリカも2%といっているのだから、そんなところがと腰だめで出した程度の数字だったのしょう。

 私は、円レートの正常化に注力する黒田日銀が、2%上昇が目標とアメリカと同じ数字を示し、「そのために、更なるウルトラ金融緩和をしても、アメリカに文句は言わせない」という予防線のような意味で言ったのではないかと勘ぐっていたくらいです。

 しかし2%に遠く及ばない状況でも、アメリカが日本に対して「為替操作国」と言い出す可能性が大きくなったり、国内でも異次元金融緩和のデメリットが取りざたされ始め、2%を掲げた意味が消えつつある中で、次第に役に立たないスローガンになったという事でしょう。

 借金で生活しているのならいざ知らず、真面目な生活者は、デフレでさえなければ、インフレ率は低い方がいいに決まっていると考えますから、日銀の2%の看板下しは自然の成り行きと考えていまいます。

 これからの日銀は、インフレ目標ではなく、物価の安定(デフレは絶対避けつつ)を基本に、より正当、合理的な手段で、為替レートの適切は水準での安定を強力に追求し、世界経済の健全化のための王道を主張し、その実を日本経済で実現して見せるぐらいの気迫を持った考え方を政策に作り上げていくべきでしょう。

 おりしも安倍総理は、TPPを率先批准して、アメリカに圧力をかけると言っています。貧すれば鈍するといったような状態になっているアメリカに、金融政策においても、正論を掲げて対応するような方向がこれから必要になるのではないでしょうか。

 そのためには 2%インフレ目標の先延ばし(次第に撤廃に)は、あるべき日銀の姿に、一歩近づいたことになると考えてもいいのではないかと思っています。

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