tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

コストのドル化

2010年12月11日 11時47分34秒 | 国際経済
コストのドル化
 これは、プラザ合意による円高後に、日本のフラッグキャリアともいうべき海運会社のトップの方が仰言っておられた言葉です。

 具体的にいえば、あらゆる調達コストを出来るだけドルで払うものにしていく、燃料動力などはもちろんだが、食材ややその他の資材も含めあらゆるコストのうち何パーセントをドルで支払っているかで国際競争力が決まってくる。もちろん、日本人船員を使っていたのでは、国際競争の中でペイしない、アジアなど、コストの安い国の船員を使っていかないとコストのドル化は出来ない。
 これは私なりの解釈ですが、多分仰言っていたのはこういう事だろうと思います。

 考えてみれば、円高というのは、極めて単純に円で払うコストは円高分だけ高くなるということですから、国際競争という面から考えれば、コストのうちドルで払う分が多くなれば多くなるほど、円高の影響(コスト高)が回避できるということになります。

 航空会社などは全く同じことがいえると思いますが、そうでなくても、国際競争力が物をいう分野では基本的には同じでしょう。
 生産拠点をアジアに移すというのは、$1=¥80の円高で、今後決定的に進むと思いますが、これも基本的には同じ発想によるものでしょう。

 問題は国内産業で、日本国内でもの買い、人間を雇う限り、コストのドル化は出来ません。国内で外国人を雇っても、原則内国民待遇で、最低賃金も政府主導で、円高に関係なく、毎年かなり上がっています。

 こうして円高で発生した内外価格差の是正は容易ではありません。国際比較して高い日本の物価が国際価格並みになるまでデフレが続くわけです。
 日本経済の最大のコスト(国民所得の7割強)は人件費ですから、人件費も結果的にじりじり下がることになります。

 $1=¥80で、日本の物価水準が国際比較して高くなくなる、具体的には、外国旅行して「外国の物価も日本と変わらないな」と感じられるようになるまでに、どのくらいの期間がかかるでしょうか。日本の物価の下がり具合、外国のインフレの進み具合によって変わりますが、何年かはかかるでしょう。
 その間デフレを覚悟しなければならないのが、今の日本経済の置かれた状態です。


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