tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2パーセントインフレの意味

2013年02月13日 16時31分29秒 | 経済
2パーセントインフレの意味
 安倍内閣の円高是正の行動を語る中で、日本銀行の協力を得て、「2パーセントインフレ目標」を設定したことは大変大きく評価されていますが、そんな物差しで測ったようなインフレ政策は実はとれるものではありません。

 もちろん、経済政策などといったものは、結果よければすべてよしで、今回の政策は大成功だと私も思います。
 何しろ、20年来苦しんできた円高が、突如、10円~15円という大幅な円安に転換したのですから、結果は素晴らしい大成功です。
 
 という所で、今後のインフレ問題を少し考えてみましょう。
 先ず、円高はデフレを連れてきましたが、円安は、その逆の現象ですからインフレを連れてくるはずです。

 考えてみましょう、例えば、10パーセントの円安で、日本は円建てで10パーセントの名目付加価値を受け取るわけです。もし実体経済活動が、何も変わらなければ、日本経済は10パーセントのインフレになって終りです。輸入品は勿論10パーセント高くなり、国内では、利益も10パーセント増え、賃金も10パーセント上がり、物価も10パーセント上がって、それで調整終了です。

 現時点で、円は10パーセント以上の円安になっています。輸入品の値段は上がっています。企業、特に輸出企業は利益が増える予想です。安倍さんは企業に賃金を上げるようにと言っています。放置すれば日本は2パーセントどころではなく、10パーセント以上のインフレでしょう。

 しかし、日本人はそうはならないと思っています。私もそう思います。何故でしょうか。
 日本人が怠け者なら、利益と賃金が増え、結果物価も上がって、インフレ転嫁分が高くなります。しかし、現実には、日本の企業労使が、この円安を「チャンス!」ととらえ、新しい経済活動を始めるからです。
 先日テレビで、ヨーロッパで品質もデザインも素晴らしいと評判の日本のタオルが、値段が高すぎて売れないと嘆いている産地の業者の姿を見ました。15パーセント値下げすれば、飛ぶように売れるかもしれません。生産も利益も増えるでしょう。名目付加価値の増加が実質付加価値の増加に化けるのです。
 
 現実には、あらゆる場面でこうした動きが期待され、物価は上がらず、GDPが増えるのです。日本人、日本企業がどこまでこうした行動をとるか、それは日銀や政府ではなく、それぞれの企業の経営者と生産現場の労使の取り組みが決めるのです。
 政府・日銀がこの辺を読み切って、2パーセントのインフレ目標を決めているは思えません。2パーセントは全くの『腰だめ』でしょう。そこで、2パーセントの意味をもう少し考えてみましょう。


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