tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

長期デフレの経済・社会への影響

2010年03月25日 11時20分20秒 | 経済
長期デフレの経済・社会への影響
 プラザ合意を無条件で受け入れ、為替レートを国際金融資本の為すがままに放置し、しかも金融緩和で内需拡大というアメリカのアドバイスを鵜呑みにして実行し(新前川レポート)、お蔭で土地バブルとその崩壊を経験したのが20世紀末の日本でした。

 その日本経済が、何とかバブル崩壊の後遺症を処理し、「失われた10年」といわれたデフレ経済の中で徹底した生産性向上とコスト調整 を行い、21世紀の初頭にいたって、$1=¥120という環境への適応に何とかめどをつけ、ようやく病み上がりの体で前を向いて歩き出したのが「いざなぎ越え」の日々でしょう。

 日本がこの試練に耐えたのは、日本人の我慢強さを象徴するもののように感じるのですが、その副作用は決して小さくはなかったようです。

 多くの方々がお気づきのように、この間、日本の経済社会はかなり劣化しました。
 対抗する手段がほとんどコスト削減に絞られるといった状態の中で、企業のとった策は、コストのドル化(海外調達)、それに、国内コストは7割以上人件費ですから、人件費を中心に徹底した削減しかありませんでした。

 その結果、最も影響を受けたのは雇用でした。長期安定雇用を旨としていた日本企業も、已むにやまれず雇用削減に走り、コストの安い不安定雇用(非正規従業員)を多用 せざるを得ませんでした。倒産して何もなくなるよりはまだ良い、というサバイバルのための選択です。

 しかし『日本人とユダヤ人』ではありませんが、「水と安全はタダ」と同じように「安定雇用は当たり前」と思っていた日本人、特に若者に対し、就職氷河期、不安定雇用の拡大、格差社会の到来は巨大なネガティブ・インパクトを与え、 メンタルヘルス問題の多発、さらには犯罪の増加にまで至るような社会の劣化をもたらしました。

 円高阻止という対抗策を持たない(持とうとしない?)日本は、10年を超える「ただ耐えるしか手段のない」中で、次第に深刻な縮み志向になって行ったようです。

 例えていえば、「子供手当は、子供の将来のために貯金します」という発言がTVインタビューで聞かれます。老後の準備が、投資信託の目減りで減れば、利息のつかない預貯金を増やすといった行動も明らかです。

 この貯蓄超過が国債の国内消化を支えているのですが、これでは「国債発行、財政支出」で国民経済を支えるしか方法がなくなってしまいます。それが今、日本経済が問われている最大の問題点ではないのでしょうか。


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