tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

リスクヘッジとレバレッジ

2008年10月21日 12時05分14秒 | 経済
リスクヘッジとレバレッジ
 ヘッジというのは、もともと庭の境を示す低めの「生け垣」のことで、きちんと境界が区画されていることで、「トラブルが避けられる」とか、境界の中は「守られている」といった意味で使われた言葉のようです。
 今は専ら、リスクをヘッジするといった形で、(特に日本では)為替などの相場の変動のリスクを回避する意味で使われ、「リスクヘッジ」というのが一般的になっています。

 たとえば、アメリカに製品を輸出した代金が、来年の3月31日に入るとか、ニュージーランドドルの定期預金が来年4月30日に満期になるといった場合、米ドルやニュージーランドドルを受け取っても、そのとき円高になっていると、為替差損が出ます。
 たとえば1ドル110円の時に1万ドルの輸出をして、3月末に1万ドル=110万円受け取るつもりでいたら、1ドルが100円になっていて、100万円しか受け取れないといった場合です。
もちろん、逆に円安に振れた時は、その分儲かるわけで、為替差益が出ます。

 リスクヘッジというのは、為替差損が出ることを防ぐために、先ほどの輸出の場合ですと、来年の3月31日に1ドル100円で、1万ドルを売る予約(為替の先物取引で)をしておくことです。その代わり、もし円安になって、110円になっても、10円の為替差益は放棄することになります(ここでは手数料は無視しています)。
 外貨預金の場合については、各銀行が、ネット上で解りやすい解説をしています。

 国内取引では、為替の損得はありませんが、外貨建ての場合は、為替の損益はつきものです。貿易で稼ぐよりもヘッジをうまく使えば、簡単に儲かるといった誘惑がここに潜んでいます。そこでレバレッジの登場です。レバレッジをかけて、ヘッジの金額を2倍にすれば、最初の1万ドルでリスクヘッジが出来て、あとの1万ドルの分は儲けになるという誘惑です(もちろん為替が円高に振れれば損失ですが)。

 額に汗するモノづくりより、先物市場の研究でもして、金融技術で簡単に金を稼げれば・・・。
 日本人は昔から、「額に汗した金」と「あぶく銭」を区別していましたが、アメリカではそういう考え方は流行らなくなったようで、先物、FX(外国為替証拠金取引)、レバレッジ××倍、デリバティブズ、ヘッジファンドなどなどと金融経済は進化し、実物経済は金融経済に飲み込まれてきました。今度の金融パニックでどうなるのでしょうか。


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