tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2014年4-6月期GDP急落の読み方

2014年08月13日 11時38分15秒 | 経済
2014年4-6月期GDP急落の読み方
 今朝ほど、甲子園の野球中継を見ていたら、テロップで「ニュース速報」が入り、4-6月の実質GDPが年率‐6.8%と急落したことを報じていました。
 すでに昨日、株式市場がこの辺りを察知し、弱気に転じたなどの報道もありましたが、この報道や、その後ネット上の各社の配信を見て、「やはりマスコミだな」と思わざるを得ませんでした。

 マスコミは真実の報道よりも、人を驚かすような報道を優先するのが当然ですから、まあこんな数字だろうなと思いながら、内閣府の発表の数字を見ました。結果はそんなに驚いたり、景気を悲観したり様なものではありませんでした。

 消費税導入で4-6月期の需要は反動減と皆さん解っています。しかし「マイナス6.8パーセント」と言われるちょっとビックリです。原統計のは4-6月の数字は前期比「マイナス1.7パーセント」ですが、これを年率に換算した数字(これが1年間続いた場合)を「瞬間風速」と言って、最も極端な数字になるので、解り易くするために使う場合もあります。

 時系列の統計は基本的にそうですが、各月統計でも四半期統計でも「前期比」と「前年同期比」という数字が両方出ています。前期比は、前の月に比べての上がり下がりをパーセントで表示したもの、前年同期比は前の年の同じ時期との比較です。

 季節によって、需要や値段が動くような場合は、需要期になると売上増加や値上がりが当然ですから、前の月に比べるより前年同月( 期 )と比べたほうが基調的な傾向が知られます。その為に前月(期)比では「季節調整済み」という数字も発表します。
 前年同月(期)比較の場合は当然、季節調整の必要はありません。

 今回の四半期GDPでは、季節要因ではありませんが、消費税3パーセントアップという特殊要因があります。誰でも、そのせいで1-3月は駆け込み需要があり、4-6月は需要が減ると考えています。
 報道のGDP統計は「実質値」ですから、消費税による値上がりの影響は消されていますが、購買心理の影響は当然出てきます。

 この影響は、需要の増えた1-3月期と減った4-6月期を比べれば、当然大きくなります。
 一方、前年同期比で見れば、例年の傾向に比べて1-3月は増えて、4-6月は減ったという当然の変化の様子が見えるはずです。

 という事で実質GDPの動きを「前年同期比」で見てみますと、2013年は4-6月の1.2パーセント増から、7-9月2.3、10-12月2.5と尻上がりに増え、今年1-3月は3.0パーセント増とピークに達し、4-6月は矢張り減って、マイナス0.1になっています。
 因みに内需だけ見れば、-0.0(小数点以下2桁目の数字が4以下ということ)で昨年の4-6月とほぼ同じです。

 この3月まで駆け込み需要が増えたことの反動があって、この程度ですから、消費も含めて経済の基調は、現状では矢張り「強いようだな」と私は感じています。
 皆様はどう判断されるでしょうか。


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