スタグフレーションとは<2008年5月20日付のリメイク版>
インフレの原因と症状と影響についての論議をしてきましたが、経済と物価問題について論じるとすれば、インフレとともに、スタグフレーション、そしてデフレについてもしっかりと見て行かなければならないでしょう。そこでまずスタグフレーションについて見てみましょう。
スタグフレーションとは、スタグネーション(=stagnation:経済停滞)とインフレーション (=inflation:物価上昇)の合成語で、不況期の物価上昇のことを言います。そんなことが、どういう時に起こるかというと、「コストが上がっても売値がなかなか上げられない」時に起こります。
最近でも、輸入原材料価格も人件費も上がっているのに、消費増税もあり、売値はなかなか上げられないので利益が減ってしまう、といった意見が聞かれますが、この「利益が減ってしまう」というのは「経済停滞」の原因ですから、これではスタグフレーションになってしまうのではないかといった意見もあります。
輸入原材料が上がって、コストアップで利益が出ない時には、理論的にはその分製品値上げでカバーしてスタグフレーションを回避するのが良いでしょう。輸入原材料価格の上昇は世界共通ですから、日本の国際競争力には影響ありません。
ところが、賃金上昇でコストアップが起こっているときには、製品、サービスに価格転嫁すると、その分国際競争力が弱まるという問題が起こります。
かつて、二度のオイルショック後に欧米主要国がが経験した「人件費コストアップによるスタグフレーション」は、原油値上がりで起きたインフレを賃上げでカバーしようとする労組、賃上げ分を価格に転嫁しようとする企業、というサイクルで、自家製インフレの悪循環(賃金と物価のスパイラルともいわれました)を起こしたことが原因です。
しかし、その過程で国際競争力が弱くなるので価格は十分には上げられません。それで利益が落ち込み、不況になって雇用が減ると、今度は政府が労働時間短縮で雇用を増やそうとし、一層の人件費のコストアップになるということを繰り返した結果です。
これは先進国経済の特有な病気だということで、1980年代には、イギリス病、アメリカ病、ドイツ病などといわれたわけです。
当時は、その説明ということで「スタグフレーション」とい言葉が大流行でした。このときの教訓は、
①輸入インフレに対しては、賃上げでは対応してはいけない。値上がりには我慢して耐えるしかない。その理由は、輸入インフレというのは、値上がり分の付加価値は、輸出国に移転してしまって、自国にGDPが減ることですから賃金も利益も減ることになるが、皆で耐えて、またGDPを増やして行くよりしょうがないという事です。
②値上がりを賃上げでカバーしようとすると、賃金を増やした分だけ利益が減って、スタグフレーションを招いてしまう。そうすると、経済停滞で雇用も賃金も増えなくなってしまう、それから抜け出すには大変な時間がかかる。だから輸入インフレを賃上げでカバーすることは止めたようがいい。
という二点のようです。
インフレの原因と症状と影響についての論議をしてきましたが、経済と物価問題について論じるとすれば、インフレとともに、スタグフレーション、そしてデフレについてもしっかりと見て行かなければならないでしょう。そこでまずスタグフレーションについて見てみましょう。
スタグフレーションとは、スタグネーション(=stagnation:経済停滞)とインフレーション (=inflation:物価上昇)の合成語で、不況期の物価上昇のことを言います。そんなことが、どういう時に起こるかというと、「コストが上がっても売値がなかなか上げられない」時に起こります。
最近でも、輸入原材料価格も人件費も上がっているのに、消費増税もあり、売値はなかなか上げられないので利益が減ってしまう、といった意見が聞かれますが、この「利益が減ってしまう」というのは「経済停滞」の原因ですから、これではスタグフレーションになってしまうのではないかといった意見もあります。
輸入原材料が上がって、コストアップで利益が出ない時には、理論的にはその分製品値上げでカバーしてスタグフレーションを回避するのが良いでしょう。輸入原材料価格の上昇は世界共通ですから、日本の国際競争力には影響ありません。
ところが、賃金上昇でコストアップが起こっているときには、製品、サービスに価格転嫁すると、その分国際競争力が弱まるという問題が起こります。
かつて、二度のオイルショック後に欧米主要国がが経験した「人件費コストアップによるスタグフレーション」は、原油値上がりで起きたインフレを賃上げでカバーしようとする労組、賃上げ分を価格に転嫁しようとする企業、というサイクルで、自家製インフレの悪循環(賃金と物価のスパイラルともいわれました)を起こしたことが原因です。
しかし、その過程で国際競争力が弱くなるので価格は十分には上げられません。それで利益が落ち込み、不況になって雇用が減ると、今度は政府が労働時間短縮で雇用を増やそうとし、一層の人件費のコストアップになるということを繰り返した結果です。
これは先進国経済の特有な病気だということで、1980年代には、イギリス病、アメリカ病、ドイツ病などといわれたわけです。
当時は、その説明ということで「スタグフレーション」とい言葉が大流行でした。このときの教訓は、
①輸入インフレに対しては、賃上げでは対応してはいけない。値上がりには我慢して耐えるしかない。その理由は、輸入インフレというのは、値上がり分の付加価値は、輸出国に移転してしまって、自国にGDPが減ることですから賃金も利益も減ることになるが、皆で耐えて、またGDPを増やして行くよりしょうがないという事です。
②値上がりを賃上げでカバーしようとすると、賃金を増やした分だけ利益が減って、スタグフレーションを招いてしまう。そうすると、経済停滞で雇用も賃金も増えなくなってしまう、それから抜け出すには大変な時間がかかる。だから輸入インフレを賃上げでカバーすることは止めたようがいい。
という二点のようです。