tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政策迷走・経済好調のアメリカ

2017年07月21日 10時43分58秒 | 経済
政策迷走・経済好調のアメリカ
 日本経済は何かエネルギー不足ですが、アメリカ経済はトランプ政権になる前から、上向きはじめ、雇用も好調で、トランプ政権の政策迷走にもめげず、好調を維持しています。

 日本にしてみれば、羨ましい話で、日本人はこんなに頑張っているのに、アメリカの方が先に行くのかと言いたいところです。

 一つ大きな原因を挙げるとすれば、シェールオイル・ガスの開発によって、世界トップクラスの産油国になったことはあるでしょう。この開発が始まったころから雇用の堅調は続いています。

 金融面から見れば、もともと、リーマンショックによる金融恐慌の危機を、バーナンキ流の超金融緩和で何とかしのぎ、経済活動が何とか回復、正常化するという回復過程にあったアメリカ経済です。

 バトンタッチを受けたイエレンFRB議長は、経済の正常化に合わせて金融の正常化を始めました。その手法は極めて手堅く、利上げによるドル高、景気回復へのブレーキを最も警戒しつつ、時間をかけての金融正常化の途上です。

 登場したトランプ大統領は、「アメリカ・ファースト、アメリカの栄光を取り戻す」と元気のよいファンファーレを鳴らし、1兆ドルのインフラ投資、大幅減税といった具体策を並べ、自国中心の保護貿易政策で国内産業を守ると言い、企業には、自国企業、外国企業を問わず米国内に投資し、雇用機会を提供することを強力に求めるという意思をツイッターなどを通じて徹底するという方針を示しました。

 日本では、お蔭でトヨタの株価が下がるなどいう事態になるなど、内外の企業に種々の影響を与えたようです。

 ところが指摘されていますように、トランプ政権になってから、まだほとんど法案が成立していないというのが実態のようです。
 多くの専門家が、そのうちに問題が顕在化するのではないかといった懸念を言ってはいますが、経済は相変わらず好調とは言えないまあでも、順調な動きをしています。

 こうした動きが、単に公約を先取りしたもので、公約の実行が不可能になればいずれ蹉跌するのか、それとも、アメリカの草の根の経済活動が「アメリカ・ファースト」の掛け声に刺激されて目を覚ましたのか、これからが見もののように思われます。

 もともとアメリカは「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」で世界を変えたような開発力を持ち、今でも、先端技術では世界のトップを行く国でしょう。その後楽して儲けようと、マネーゲームに狂奔し、リーマンショックに至りました。

 しかし、シェールオイルの開発もあり、「アメリカの栄光」の掛け声に乗って、実体経済の開発、発展の面に関心がもたれれば、政治の動向は兎も角、アメリカ経済が変質する可能性もないとは言えないでしょう。

 嘗て、アメリカは「エルトン・メーヨー」の「ホーソン工場実験」からハーツバーグの「動機づけ理論」その後の多くの「リーダーシップ論」など、「産業における人間の働きと生産性の研究」に於て、世界をリードし、産業の競争力を育て、アメリカの栄光を築いた国です。

 さて、「腐っても鯛」なのか、「次世代の鯛が育つ」のか、どちらになるのでしょう。