今朝、総務省統計局から2024年8月の消費者物価指数が発表になりました。
結論から言うと、現状、日本の消費者物価指数は安定基調で、それを乱しているのが政府の場当たり的な補助金政策と地球温暖化による異常気象だということです。
アメリカでは、雇用統計と消費者物価指数がFRBの金融政策を左右する主要な統計ということになっているようですが、それはこの2つの統計が、アメリカの実体経済の現状を反映すると、関係者みんなが理解しているから成り立つのです。
アメリカが立派ということではありませんが、経済関係の統計などはなるべく本来の経済の動きを示してくれた方が経済状態を理解するためには好都合でしょう。
ということで、発表になりました8月の消費者物価指数を見てみましょう。
マスコミは前年比2.8%の上昇としているものが多いようです。これはこの所、政府が消費者物価指数の「総合」の数値ではなく「生鮮食品を除く総合」の数字をメインの数字として使っているからのようで、「総合」は3.0%です。
消費者物価指数対前年上昇率(%)
このところ天候不順などで生鮮食品や生鮮魚介や鶏卵の価格が上がっていたので、低い方にしたのでしょう。
政府は数字が低い方がいいと考えるのでしょう。政府が補助金を出して物価をさげたりします。エネルギーの価格が上がったとき石油元売りなどに補助金を出して、ガソリン、電気料金、ガス料金を下げました。
上のグラフで見ても2023年の2月から2024年1月にかけて、青と赤の線が大きく凹んでいるのが解ります。その時説明しましたように、政府の補助金で電気・ガス料金が下げられたけっかです。
緑の線は上に膨らんでいます。青・赤の線はエネルギー料金が入っていますから下がっていますが、緑の線は「生鮮とエネを除く」ですから補助金の影響はなく、本来は緑の線の上に青・赤の線が来ているはずなのです。1年たつと対前年上昇率は本来の位置に戻り、また上昇を始めます。政策で統計が歪んでいます。
緑の線は、エネルギーと生鮮食品を除いていますから国内の正常な経済活動による物価の動きということで「コアコア指数」などといわれますが、これはこのところ下げてきて2%になりました。日本経済自体によるインフレは2%程度になったということでしょう。
8月の物価上昇は、補助金の期限切れ、電気代26%、ガス代11%、それに生鮮の野菜・果物の12%と0%の上昇によるものです。うるち米の30%の上昇は緑の線に含まれていますから、農政の不具合によるコメの値上がりがなければ緑の線も0.1ポイントほど下がっていたでしょう。
下のグラフは原指数の動きですが、次第に、もう少し緩やかな上がり方になるように思います。
消費者物価指数の推移