tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

南部振興課(奈良県地域振興部)の林業・木材産業観光モニターツアー

2012年10月28日 | 奈良にこだわる
「産業観光」という新しい観光のジャンルがある。Wikipedia「産業観光」によると《歴史的・文化的に価値ある工場や機械などの産業文化財や産業製品を通じて、ものづくりの心にふれることを目的とした観光をいう》《愛知県を中心とした東海地方は昔から製造業を中心として栄えてきた地域であり、さまざまな分野の「ものづくり」の現場に直接触れ合うことができることもあって非常に盛んである》。簡単にいえば「工場見学ツアー」であるが、奈良県の場合は工業ではなく、地場産業である林業・木材業の見学ツアーが「奈良県的産業観光」ということになる。
※トップ写真は原木市(吉野木材協同組合連合会)の様子。すべて10/26(金)に撮影した

先日、南部振興課(奈良県地域振興部)のUさんから「近代日本を支えた吉野杉の里とその貯木・木材加工を今に伝える町を歩くモニターツアー」(10/26実施)のご案内メールをいただいた。《概要案ができましたのでお送りさせていただきます。視察先の詳細は後日改めてご連絡させていただきます。業務ご多忙とは存じますが、是非ご参加下さい》とのことだった。なおモニターツアーとは、「お試し」の招待ツアーのことである。その内容は

川上村白川渡(しらかわど)チゴロブチの人工美林。北村林業の所有

~ニッポンの誇り『銘木 吉野材』林業を守り継いで来た川上・吉野地域に学ぶ~【モニターツアー】

近代日本を支えた吉野杉の里とその貯木・木材加工を今に伝える町を歩く

ヒトの暮らしを支えてきた「木」。古くからこの地域では林業に従事し、ニッポンの産業と暮らしに貢献してきた。銘木を育て上げるために、何代も何代もその緻密な技術と丹精こめたモノづくり精神を、今なお継承し続けている。すごいスピードで進化し、変化していく社会の中で、ニッポンに不可欠な『伝統』を守り続けるクールジャパン精神が根付いた川上・吉野地域を訪問し、日本最高峰の良木を産みだす現地の人達に学び、交流してみましょう。



※このツアーは奈良県南部振興課『林業・木材産業観光の導入を検討する調査』事業におけるモニターツアーです。実際に訪問・体験いただくことで導入に向けた意見を頂戴いただくことを目的としています。ですので、ゆったりと楽しめる内容ではなく、まだ受け入れ不十分な近未来の観光資源を駆け足で見ていただきます。予め御了承くださいませ。


というものであった。私は勤務先でCSR(社会的責任経営)を担当しており、奈良県の林業振興にも取り組んでいるので「これは行かねば」と、お邪魔することにした。当日(10/26)は快晴、絶好のツアー日和であった。ツアーにはメディア関係者、旅行業者、ハウスメーカーをはじめ、林業振興に取り組んでいる各種団体などが参加されていた。ざっと見たところ、30人ほどのメンバーである。旅程は



橿原神宮前(8:30)、日本屈指の人工美林見学(9:30~10:15)、生産作業現場見学(10:30~11:30)、昼食(平宗 吉野店 12:10~12:50)、大径木の原木市見学(13:00~13:30)、製材市見学(13:30~14:20)、貯木の街 丹治界隈散策(14:30~16:00)、橿原神宮前(16:45頃)

というものであった。大型観光バスとマイクロバスを乗り継いで回る。いただいたパンフレット(コースの見どころ)から抜粋すると

川上村①樹齢300年レベルの大径本
300年近くもの間、何代も何代も時間と手間を注ぎ込んで育ててきたからこそ存在する「大径木」。吉野村の魅力が一目で理解できます。今回散策いただく「中奥」界隈は、200~300年の大径木が生い茂る圧巻の風景、どこか神秘的で神々しい世界すら連想させてくれます。



チゴロブチでは、川上さぷり(川上産吉野材販売促進協同組合)の上嶌逸平代表理事からお話を聞いた



②生産作業現場
日本最高峰の美林「吉野杉」の生産は、丹精こめた作業の賜物です。間伐作業を実際に見ていただき、厳しい自然環境と共存する日本の伝統産業の現場を体感いただきます。



間伐風景。川上村井氷鹿(いひか)で


枝打ち作業

吉野町①柿の葉寿司 平宗吉野店(昼食)
文久元年(1861年創業)、林業という伝統産業が根付く吉野地域ならではの柿の葉寿司の老舗。昔、山深い吉野では、魚は貴重な食料でした。魚をいつまでも美味しく食べるために、熊野や若狭でとれた鯖の塩漬けを、ご飯と合わせ、抗菌・防腐作用に優れた柿の葉でくるみました。この手法は、保存性と共に、格別の風味をも増したのです。今回はお寿司と鍋焼きうどん、葛餅といった吉野名物セットをご賞味いただきます。







②吉野木材協同組合連合会の原木市・吉野材センターの製材市
100年以上の大径木が出荷される「原木市」。セリ人の掛け声とともに買主の人たちが勢いよく手を上げたり、声を上げたり、迫力があり、圧倒されます。木の値段がどんどん決まっていく様子を、見学いただきます。場所を移動し、次は「製材市」。吉野製材所から集まった様々な寸法の杉や桧の造作材、柱、建具材が市にかけられます。






◎吉野材の魅力
真円:木の外まわりが、真円に近い。無節:木に節が無いので美しい。年輪幅均一:年輪幅がほぼ一定している。本末同大:株と末の太さがあまり変わらない。色沢良好:色よくツヤ良し。






③貯木街の散策
吉野川の中流に作られた木材の集積地。原木市場が開かれ、様々な用途に加工する製材所が集まっている林業の盛んな吉野ならではの独特の町です。銘木吉野材は、この地の目利きたちによって作り出されます。今回は、その中のいくつかの工場や近代産業の遺構などを見学しながら巡ります。


くりやま樽丸店で樽丸(たるまる=酒樽の材料)づくりを見学








スペイン人の彼女も、カンナがけにチャレンジ

<訪問予定箇所>酒樽製造の伝統技術【くりやま樽丸店】/製材風景と杉への思いは必見【吉野中央木材】/iphone5の木材カバーも製造【丸商店】/その他水門など産業遺構など


吉野中央木材では、旧知の石橋さんに説明していただいた



Uさんからの案内には「ゆったりと楽しめる内容ではなく、まだ受け入れ不十分な近未来の観光資源を駆け足で見ていただきます」とのことで、確かに駆け足だったが、ちゃんと「産業観光ツアー」になっていた。事前準備は大変なものだったろうとお察しする。関係者のアポイントはもちろん、マイクロバスに乗り継いだり、大型バスを小刻みに走らせたり駐めたりするのも、大変なことなのである。







今回のコースは、林業・木材業の「産業観光ツアー」として立派に通用するコースだった。原木市などは開催日が限られるし、山に入るには季節も限定されるが、そこは「森と水の源流館」や「川上村林業資料館(山幸彦のもくもく館)」、吉野町商工会の展示場見学などに切り替えれば済むことである。川上村や吉野山に一泊して、ゆっくり回るコースも作ることができる。全体を通したガイド役(日本の林業・木材産業の現況や吉野林業の歴史に関する説明など)が必要なら、奈良まほろばソムリエ友の会が協力できるかも知れない。

Uさん、JTBのYさん、お世話になりました。ぜひこのツアーを「奈良県的産業観光ツアー」として、広めてください!

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