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田中利典師の「蔵王供正行/第28日 神と仏と権現さま」

2024年04月15日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、〈蔵王供正行28日目 「神と仏と権現さま」〉(師のブログ 2015.5.28 付)である。「権現さま」とは、神と仏が習合した存在であるがこの日、利典師は、蔵王権現さまのことを〈荒ぶる神と和魂のバランスに出会うとき、やはり日本的な神さまなんじゃないかなと思ってしまう〉とお書きである。
※トップ写真は、吉野山の桜(2024.4.5 撮影)

神道では神の霊魂には、荒魂(あらたま、あらみたま=荒々しい要素)と和魂(にぎたま、にぎみたま=優しく平和的な要素)という2つの側面があるとする。また和魂はさらに幸魂(さきたま、さきみたま=幸せを与える要素)と奇魂(くしたま、くしみたま=奇跡によって幸せを与える要素)という側面があるとする。

これらを総合して考えてみると、蔵王権現さまは日本的な「神さま」ではないか、と思えてくるということで、これは納得できるお話である。では、以下に全文を紹介する。

「神と仏と権現さま」
蔵王供正行28日目(5月28日)。晴れ。今日の一日。
5時に起床。
5時40分、第53座目蔵王権現供養法修法 於脳天堂
7時、本堂法楽・法華懺法         於本堂 
9時、第54座目蔵王権現供養法修法    於脳天堂
10時20分、本堂法楽・例時作法     於本堂
12時半、水行              於風呂場
13時、法楽護摩供修法          於脳天堂
14時、本堂法楽・法華経読誦       於本堂
16時、氏神さまと稲荷山へ散歩参拝。
参拝者はまたもうやの、ゼロ。          

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「神と仏と権現さま」
日本は神の国だと思う。その神を崇める国に、6世紀頃、仏教が伝来する。そこで少しだけ神と仏の相克があったが、そのあと、約1300年間は仲むつまじく、両者の関係はあった。そう明治の神仏分離の時代までは…。

まあ、そのことはいいとして、仲むつまじい神と仏の間は、お互いがお互いを助け合い、補填し合って、日本の文化が創造されてきたように思う。

ところで、私はいま、毎日、権現さまを拝んでいる。権現さまは神でもあり、仏でもある。神仏習合が生んだ日本独自の尊格であるが、毎日毎日拝んでいて、やはり権現さまは神さまなのかも知れないと、思ったりしている。

もちろん、権現さまを供養する方法は密教の十八行道法立ての儀軌なので、仏教式の拝み方なのではあるが、毎日毎日拝んでいる内に、神さまっぽい感じがしてならない。外来の仏たちとは、なんだか異なる尊神のように思うのである。

いや、その形相や教義的裏付けは、仏の世界のものなのだが、その奥に由来する荒ぶる神と和魂のバランスに出会うとき、やはり日本的な神さまなんじゃないかなと思ってしまうのである。

もちろん神でも仏でもいい。お力さえ、いただけるのであれば、私達はそんなことには一向に構う民族ではないのだから…。
コメント
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