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見えてきた、訪日外国人の民泊。20歳代・長期滞在、奈良県がベスト5入り!/観光地奈良の勝ち残り戦略(118)

2017年12月02日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
観光庁は10月18日、「訪日外国人消費動向調査 平成29年7-9月期の調査結果(速報)」を発表した。今回初めて、宿泊先に関する質問に「民泊」(有償での住宅民泊)の選択肢が設けられたので、民泊を利用する訪日外国人の姿が明らかになった。トラベルボイスが「訪日外国人の『民泊』利用実態調査、20代以下では約6割が利用、都道府県別ツートップは大阪と京都 -観光庁」(11/17)と報じている。

観光庁はこのほど、訪日外国人消費動向調査の一環として、民泊など有償での住宅宿泊利用に関する分析結果を発表した。それによると、2017年第3四半期(7月~9月)は訪日外国人全体のうち12.4%が民泊を利用。観光・レジャー目的では14.9%に及び、特にシンガポール(観光・レジャー目的の39.5%)、フランス(同35.9%)、インドネシア(同29.7%)では3割以上を占めることが判明した。



属性別分析:国・地域別の民泊利用のトップ2はシンガポールとフランス、年代は20代以下が6割
国・地域別にみると、全目的ではフランス人による有償での民泊利用が最多(28.6%)、次いでシンガポール(23.5%)が続く。ただし、観光・レジャー目的に特化した場合は順位が逆転し、シンガポール(39.5%)がトップに。2位がフランス(35.9%)、3位がインドネシア(29.7%)となっている。

年代をみると、民泊利用者は20代以下が61.3%、30~40代が32.8%、50代以上が6.0%。民泊非利用者の分布(20代以下が39.7%、30~40代が40.3%、50代以上が12.0%)と比較すると若年層が中心となっている様子が分かる。また、民泊を利用した場所は大阪府(63.7%)が最多、次いで京都(48.9%)、東京(40.2%)と続いた。



旅行支出:民泊利用者の1泊あたり宿泊費は「4909円」
また、民泊利用者の旅行支出は1人1泊あたり1万9125円で、民泊非利用者(2万6315円)と比較して約7000円安いことも判明。費目別では、宿泊料金は民泊利用者が4909円、民泊非利用者が7584円で2500円の開き。飲食費は民泊利用者が4161円、民泊非利用者が4490円。買い物代は民泊利用者が6960円、民泊非利用者が9385円だった。平均泊数は民泊利用者の方が長く、平均7.6日。民泊非利用者の平均5.9日と比較して1.7日の開きがあった。

「訪日外国人消費動向調査」は、外国人へのヒアリングにて実施するもの。今回の分析は外国人旅行者が日本での宿泊利用種別としてホテルや旅館などを含まない「その他」の割合が急増したことに着目して実施。「その他」とは、ホテル、旅館、別荘・コンドミニアム、学校の寮・会社所有の宿泊施設、親戚・知人宅、ユースホステル・ゲストハウス以外を指す。具体的には、2015年第1四半期では1.9%だった「その他」利用率が2017年第2四半期には15.4%に増加しているという。

なお、観光庁では2017年第3四半期(7月~9月)より、ヒアリング時の選択肢に「有償での住宅利用」を追加。選択肢の表現は「有償での住宅宿泊(Airbnb、自在客など)」とした。利用率については、旅行中に当該施設を1泊でも利用した場合に利用者として計上、複数種類の施設を利用した場合は、それぞれの施設の利用者として計上している。


観光経済新聞(11/25付)は、観光庁長官のこんなコメントを掲載している。

調査結果について観光庁の田村明比古長官は(11月)15日の記者会見で、「比較的若い人たちが家族や友人で民泊を利用し、都市型の観光をしている実態が浮き彫りになった。家族などで少し長期に滞在したいが、費用を高額にしたくないという、既存の宿泊業が対応できていなかったニーズに民泊がはまり、シェアを広げている」と指摘した。

都道府県別で民泊を利用したベスト3は大阪府(63.7%)京都府(48.9%)、東京都(40.2%)だが、続くのは千葉県(30.1%)、奈良県(16.1%)と、奈良がベスト5に入っている。

民泊の利用者像は、奈良県観光局がめざす「欧米豪の富裕層」とは少し違うが、長期滞在者(平均7.6日。民泊非利用者は平均5.9日)である。都市国家のシンガポール人や、歴史好きのフランス人が県内に長期滞在し、県南部・東部に足を運んでくれる、という期待が持てる。これからの奈良県のインバウンド施策に、とても参考になる調査結果だった。
コメント (4)
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