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希望の国のエクソダス を読んだ。 バブル後の経済変化などの整理にも役立つかも。

2011年01月01日 22時09分33秒 | 読書評
希望の国のエクソダス (文春文庫)
村上 龍
文藝春秋

希望の国のエクソダスを読んだ。

12月31日に読み終え2010年最後に読んだ本となった。
村上 龍は、テレビや雑誌のコラムなど幾度か目にしていたが、小説そのもの
を読んだことは無かった。
今回、作品を初めて読んで、著者の所見の広さと問題提起の斬新さが新鮮で
あった。実に面白い作品だと思った。

小説のテーマは、旧態の状態で国が経済を牽引する従来の形態から斬新に
国、企業から主導のプレーヤーを変えた場合の国、世間の状況をストーリー
だてて記述している。斬新なプレーヤーとしては、全国で不登校となった
80万人の中学生たち。

80万の中学生の共同コミュニティが母体となり、学校を不登校として
自由闊達な意識付けのもと、収益を得る共同体、起業をし国や企業、
市町村などの一部の場所を借り上げ、北海道に自分たちの共同施設まで
つくり上げる。

しかしこのコミュニティには、社長や企業トップで経営するような1個人
は存在せず、近未来の経済力の低下した日本の中で企業体力の回復を試みる
共同体というひとつの絵姿を見せてくれる。
これは、現在の今の状況のに一部適用できるのではないかと思う。
インパクトある経済の施策しか国際的な急場をしのぐ手がない、ぎりぎりの
ところでASUNAROという共同体が立ち上がり経済活動を活性化させる。

中学生が運営する企業、投資会社、セキュリティ会社、様々な研究機関
複数を多角経営するASUNARO。地方自治体、地元企業にも良い影響を与え
経済の大きな循環をもたらす。

そういう経済運営体がでて来ても不思議ではないので、近未来的な姿として
も面白く読める。

経済衰退の原因は、現実のバブル崩壊後の失われた10年のもっと悲惨な
状態で描いており、この辺は近未来的な描き方にはなっているが、
2010年の時間軸的なところが重なってきたところで、現状と小説の
フィクションを対比すると類似する部分もあり面白い。

経済の衰退やアジア機軸通貨の攻撃など、失われた10年の経済の振り返り
としても、現実を基にして書かれているところもあり、この辺を整理し
イメージ付けするにも良い本だと思う。

長編であるが、ページを進めるのが楽しい本だと個人的には思う。

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