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孤高のメス 第4巻 人生で重要な局面の縮図が垣間見れます。

2017年09月27日 23時09分50秒 | 読書評

 

孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第4巻〉 (幻冬舎文庫)
大鐘 稔彦
幻冬舎

孤高のメス、第4巻は、人生の中で、必ずやってくる親との死別。

この悲しく、やりきれない大きな転換点で、当麻医師は、医師の仕事としても

日本で初めての生体巻肝移植に携わる。こ手術を牽引するのは、大学で志を同じ方角

に向ける実川医師。

実川医師の要請の元、主人公は、ドナーの肝切除を行いレシピアントを担当する

実川医師へ後を託し、亡くなる寸前の親元へ向かう。

 

医師としては、最後まで大手術に加わり、見届けた上で、親元へ

戻りたかったであろう。しかし、そうとはならず、最低限の責任を

果たし、亡くなる寸前の親元へ帰郷する。

最後の瞬間には、間に合わず、喪失感と無念さに、苛まれる場面。

馳せる気持ちに駆られるギリギリ感と葛藤し、冷静に大仕事を

を終えたにも関わらず、残念無念の状況に陥る。

 

自身に振り返ると、冷静さを保ち、命に関わる仕事が

できるとは、到底思えない。その時の慌てようは、想像

したくないと痛切する。

 

大手術後の様々な合併症に掛かってしまう幼い患者。

命を繋ぐため、背一杯の治療をする、実川医師。生体間移植を

行なった現場の医師は、この命が再び明るさを取り戻すよう

次々に発症する困難な症状に立ち向かう。

その現実と、並走して本邦初のこの手術に利権と自らの

地位を天秤に乗せ、騒ぎ立てる大学、肝移植委員会、マスコミ側

の揶揄するような人々の振る舞いは、社会の構図を浮き彫りにしている。

 

この巻は、出る杭は打たれる世の流れと本質的な対処を

断行する賢明な人間の攻防を描いた社会的な描写が

現実的にもありそうな距離感で、親近感が湧く作品です。

 


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